<引用元:ニューヨーク・ポスト 2019.10.19>スティーブン・W・モッシャー氏(人口研究所(Population Research Institute)所長で、「Bully of Asia: Why China’s ‘Dream’ is the New Threat to World Order」の著者。)による寄稿
レブロン・ジェームズは、中国での「状況について教育を受ける」必要性について他人に説教してもいいが、世間知らずの人間だ。その共産主義大国に約20回――おそらくその合計で何千万ドルも稼いだことだろう――訪れているにもかかわらず、自分のギャラを支払ったのがどのような怪物なのか全然わかっていないようだ。
香港の人々――レブロンはその人たちが自由を求めて必死に戦っていることを無視したいようだが――は、もっとよくわかっている。中国共産党が国境の向こうで支配しているのは単なる警察国家ではなく、13億の国民を常に監視することを文字通り目標とする世界最先端の刑務所だと理解している。
香港の人々は、共産党が世界最大の強制収容所ネットワークを管理しており、何百万もの政治犯と少数民族がそこで安価な輸出用製品の製造を強いられていると知っている。
少しでも国を分断させようとするなら「体は打ち砕かれ骨は粉々に」なるだろう、と中国の習近平主席が警告したことを彼らは知っている。最後に、米国が自分たちの苦境に対して無関心を示せば、習が悪質な脅しを行動に移す可能性がよりいっそう高くなると知っている。
いうまでもなく、中国にへつらうのはレブロン・ジェームズとNBAだけではない。米国の個人と団体――それが最も裕福で高名であっても――は、米中関係のまさに初期から中国に頭を下げてきた。
富を追及して、米国企業は1980年代から北京の政権と協力してきた。何百もの米国企業は、中国が奴隷のような条件で進んで提供する安価な労働力を巧みに利用するために工場を作り、その過程で米国の労働者を裏切った。
現在でも米国のハイテク企業は、中国が自由を損ねるほどに監視国家を築くのを手伝い続けている。グーグルが人工知能開発で中国との協力を継続しているのは1つの例に過ぎない。
これまでの一連の政権は、蔓延する人権侵害をほとんど無視して、米国人に中国での投資を奨励してきた。例えば1989年に北京の街で1万人の学生が意図的に虐殺されても、当時のジョージ・H・W・ブッシュ大統領が親中政策を断念するよう説得するには不十分だった。
米国の数十年にわたる中国融和政策の邪魔をする人は誰でも――香港を支持するツイートをしたヒューストン・ロケッツのダリル・モーリー・ゼネラルマネージャーがそうしたように――犠牲にならなければならなかった。
私に尋ねてくれ。知っているからだ。裏切られたのは私が最初だった。そして実にスタンフォード大学ほどの一流の機関によって、だ。私は人類学で博士号の最後の仕上げをしようとしていた。1949年以来中国で研究する初めての米国人社会科学者に選ばれたためだ。私は到着した時にぎりぎりで、中国が新たに発表した一人っ子政策の恐怖の目撃者となった。
私の「犯罪」は、中国が若く妊娠した母親たちを逮捕し、刑務所に入れ、堕胎させたことを本で非難した事だった。
中国はこれを「中国国民に対する攻撃」と解釈し、大学に私に対する「厳しい処罰」を要求した。そしてスタンフォード――世界の一流大学の1つ――は屈服し、私が獲得した博士号を否定し、私を解雇した。
スタンフォードを屈服させた脅しは何だったのだろうか?
スタンフォードは、私の情報提供者が危険にさらされたことを懸念したと主張したが、これは人類学的な倫理に違反しており、私は排除された本当の理由を知っていた。つまり中国は、スタンフォードの学者を全員無期限に中国から追放すると脅していたのだ。
私の件に関する臆病さはカーター政権のトップにまでずっと拡大した。カーター政権国家安全保障会議ですらスタンフォードに中国の要求に従うよう強く促した。
中国は米中学術交換プログラム全体を中止すると脅していたことが判明した。
NBAを追放すると脅したのと全く同じだ。
このパターンがわかるだろうか?
「アジアのいじめっ子」の初期動作――嫌いなものを見る時の――は脅迫することだ。
幸運なことに、我々の今の大統領には屈服する習慣はない。ピーター・ナバロ通商顧問とロバート・ライトハイザー米国通商代表の協力を得て、トランプ政権ホワイトハウスは融和政策の終了を提唱しており、議員と企業役員の両方に中国に対抗するよう――また米国の典型的な自由の価値観と表現の自由を支持するように強く促している。
それがとても良いことだと思わないのであれば、香港の抗議者たちに尋ねてみることだ。