<引用元:デイリー・シグナル 2019.6.6>ヘリテージ財団、テッド・ブロマンド氏による寄稿
ドナルド・トランプ大統領の英国公式訪問は、5日に完了したが、大成功だったと言っても過言ではない。奇妙なことに、米国メディアはわざわざその事実を無視するよう努めた。
ニューヨーク・タイムズが多くの米国の報道を代表している。同紙は公式訪問が始まった3日、「トランプは女王に敬意を表し、ロンドン市長を『負け犬』と侮辱」と見出しを飾った。
5日に大統領が英国を出発すると、タイムズ紙は再びこうまくし立てた。「トランプ大統領、英国で不人気、それでも実力者を演じる」。ほとんど失敗して欲しいと思っているかのようだ。
メディアの筋書きは単純だ。共和党の大統領が外遊している時、正しいアプローチは全てを大統領のせいにしてできるだけ否定的な事を大きく扱うことだ。だがリベラルの大統領の場合、過度の称賛は、政争が水際で止まるという伝統に対する裏切りだということにもならない。
だが奇妙なことに、英国メディアの多くはそれに付き合うのを拒んだ。
英国でも報道は党派的だったが、もっと偏りがなく、予想通りBBCは最悪を望んでいたが、デイリーメールとサン――英国で最も人気のある新聞――は、訪問について肯定的に扱った。
実際、デイリーメールは、「あなたがこの国にすぐにまた来てくれることを願います」という大統領に対する女王の最後の言葉を見出しに採用した。
さて、女王は英国の元首としての役目にこの上なく優れており、熟練している。大統領に対する女王の言葉は、礼儀と慣習として求められるものであって、それ以上でも以下でもなく――個人的な感情を表したものではなかった。そしてそれがポイントだ。
大統領の訪問は、基本的には通常のものだった。だが訪問前の期待は、人為的に、またばかげたほど低かった。
最終的に、3日のバッキンガム宮殿の晩餐会でのトランプのスピーチと乾杯は好評を博し、女王との関係もうまく行き、テレーザ・メイ首相との記者発表は、いくつかの難問についての合意と礼儀正しく表現された相違が混じり合ったものと感じられた。
確かにロンドンでは抗議デモがあった。ロンドンを定期的に訪れる者として言わせて欲しいのだが、ロンドンではいつも抗議をやっている。
大統領を迎えた抗議は、私の予想よりも小規模だったし、抗議団体ですら「数万人」の抗議者だったと述べた。警察とBBCは抗議者の数を「数千」とした。
前回のトランプ訪英に対する抗議者は約25万人だったということ、そして今回の参加者が少ないことについて主催者たちが言い訳をしなければならなかったことを念頭に置くと、抗議は失敗だったと言えるだろう。
一方大統領は、素晴らしい祭典行事を行った。自身の強調したい点――とりわけ、英国と米国が防衛協定を結ぶことができるようにブレグジット完了が必要であること――を強調し、フランスでのDデー記念式典の完全参加へと向かった。