<引用元:フェデラリスト 2018.5.27>
本物のホワイトハウス高官による本物の会見があったのだろうが、ニューヨーク・タイムズはホワイトハウス高官が語ったことを正確に要約したかという点では信用できない。またそれは些細な事ではなかった。
6月12日の北朝鮮との首脳会談へと進む中、ジャーナリストはドナルド・トランプ大統領が成功を切望する余り、交渉のテーブルから歩み去ることはないだろうと主張した。
ワシントン・ポストのデイビッド・ナカムラは、「批判者が恐れているのは、前任者が失敗した点で成功を宣言しようと決意する大統領が、交渉内容より偉業となる取り決めを優先させてしまうことだ」と書いた。同じ日に、ワシントン・ポストのポール・ウォルドマンは、トランプの成功願望を嘲笑し、そのためにトランプが道化にされて手玉に取られることになると述べた。
その後トランプ大統領は、マスコミが決してやらないと言っていたことをやってのけた。北朝鮮の態度を理由に交渉テーブルから歩み去ったのだ。マスコミはこれまでの分析ミスをほとんど認めることもなく、トランプに対して新たな非難を始めた。
ニューヨーク・タイムズのマーク・ランドラーとデイビッド・サンガーは、記事の中でトランプと高官の間に大きな隔たりがあると主張した。NYタイムズはその主張を裏付けるために、トランプ政権高官が6月12日の首脳会談は「不可能(impossible)」と言っているのに、トランプはまだ可能だと言っていると述べた。
<引用>
この大統領に関わる非常に多くの問題同様、側近の見方はトランプの実際の発言にほとんど影響力がないことが多い。例えば24日にホワイトハウス高官は記者に、会議が復活したとしても、時間が足りず必要な計画の量を考えると6月12日に行うのは不可能(holding it on June 12 would be impossible)であると語った。25日にトランプはこう話した。『12日もあり得る』と。
<引用終わり>トランプ大統領はそれに答えて、それはフェイクニュースだとツイートした。
トランプが正しくないのは、ニューヨーク・タイムズが高官の話を「引用」したという点だ。それは実際には発言の性質を言い表したものだった。だが彼らは、ホワイトハウス高官が6月12日は不可能だと話したと確かに主張していたのだ。
マスコミはすぐにニューヨーク・タイムズの擁護に回り、自分たちも参加した内密の会見でホワイトハウス高官が「不可能」と言うのを聞いたと主張した。
ヤシャール・アリはニューヨーク・マガジンとHuffPoに記事を書いているが、報道陣に内密の会見を行った人物の名前を公表し、ニューヨーク・タイムズの描写を裏付けるものだと誤解して音声を提供した。
4. I’ve obtained audio of the WH press briefing. You can hear Raj Shah, Deputy Press Secretary, introduce Pottinger (along with the terms – which are standard) and then Pottinger makes the statement that POTUS says was never made. Lots of reporters in briefing room and on phone. pic.twitter.com/2gEYkRSyTv
— Yashar Ali 🐘 (@yashar) 2018年5月26日
音声では次のように言っている。
<音声引用>
記者:あなたは明確にできるのですか?・・・大統領は明らかに書簡で発表して、首脳会談は取りやめになるとしています。しかしその後、当初の通りか後日、首脳会談を行うことは可能だと言いました。大統領は6月12日にまだ可能だと言っているのですか?ホワイトハウス高官:それは・・・
記者:あるいはもう手遅れでしょうか?
ホワイトハウス高官:私が思うには、主要なポイントは現時点では北朝鮮側にボールがあるということです。また本当にあまり時間がありません。必要な時間を相当失ってしまっており、つまり、ホワイトハウス、国務省、また他の機関も含めこれまで数カ月にわたり膨大な準備をしてきました。しかし、会談の席に着いて実際に会って交渉する際に、またできれば合意を行う際に、2人の首脳の間で議題が確実に明確になっているようにするために、相手側との間で実務レベルの一定の対話が実際に必要です。そして6月12日と言えばもうすぐのことです。しかし、大統領が言ったのはいつか・・・キム氏と会うことを期待しているということです。
<音声引用終わり>ホワイトハウス高官が6月12日は「不可能」と言っているところはなく、「手遅れである」とか時間切れだという話に同意しているところもないことに気づくだろう。彼が確実に言っているのは、首脳会談のための時間が不足していることを考慮すると準備が難しいだろうということだ。話のポイントは彼も言っている通り、ボールは北朝鮮側にあり彼らはすぐに行動する必要があるということだ。
エリック・ブレアも次のようにツイートしている。
It’s not a question of semantics. Take it from someone with an M.A. in English: “very or exceedingly difficult” /= “impossible”. People climb Mt. Everest, don’t you know? No one says it’s “impossible”.
— Eric Blair (@MinistryOfSooth) 2018年5月27日
(訳:意味論の問題ではない。英語の修士号を持っている人からすれば、”very or exceedingly difficult”と”impossible”は等しくない。人はエベレストに登るよね?それが”impossible”だという人はいない)
明らかにニューヨーク・タイムズはフェイクニュースを広めた。本物のホワイトハウス高官による本物の会見があったのだろうが、ニューヨーク・タイムズはホワイトハウス高官が語ったことを正確に要約したかという点では信用できない。またそれは些細な事ではなかった。
彼らの特徴づけの全体を思い出してみると、この高官はトランプと意見が食い違い、トランプは高官の意見に耳を貸していないというものだった。トランプと高官の意見は不一致になっていないという事実によって、ニューヨーク・タイムズの記事の論点全体が損なわれる。
しかしマスコミは、ニューヨーク・タイムズが不正確であり、その記者たちはトランプの高官の話をちゃんと聞いておらず、あるいは正確にその発言を伝えていないことを認めることなく、トランプが嘘をついていると主張した。その理由は会見を行ったホワイトハウス高官は存在するからだと言って。トランプは6月12日が不可能だと話した消息筋は存在しないと言った。―しかし、消息筋は存在するがそうは言っていなかった。ゆえに、トランプは嘘をついたと。
読者は上記に論理的間違いがあることに気づくだろう。たとえトランプ大統領が言うべきことが、ニューヨーク・タイムズはフェイクニュースを本物の消息筋のせいにしたということだったとしても。
マスコミは、録音音声のおかげでニュースを正確に伝えていなかったことが暴露されると、即座にゴールポストを動かしてあたかもそれが問題であったかのように、ホワイトハウス高官は存在すると主張しにかかった。数え切れないような例があるが、ニューヨーク・タイムズのマギー・ハーバーマンがその典型だ。
ニューヨーク・タイムズが主張するような発言をした消息筋は存在しない。ゆえにその会見を行った人物は、ニューヨーク・タイムズが全く無能な仕事をしていることにおそらく憤慨しているだろう。ニューヨーク・タイムズが、自分が言っていないことを言ったと主張することにおそらく立腹しているだろう。Twitterの社説では以下の通りだ。
もう一度言うが、トランプが会見を行ったホワイトハウス高官は存在しないと言っていたと、あなたがどういうわけか考えているのであれば、これは大きな問題となるだろう。ニューヨーク・タイムズが言ってもいないことをでっち上げておらず、こういった消息筋のせいにしていないと思っているのであれば、これは問題とはならない。
トランプは不正確なことで悪名高い。その言葉は、ツイートであれ口頭であれ、解析の困難なこともある言葉のサラダだ。言葉の選択、追い込むような文、そして一貫性なく大文字を使うことにはイライラさせられる。大統領のコミュニケーションのやり方を批判するのはもっともなことだ。それには、ニューヨーク・タイムズがフェイクニュースを偽の消息筋のせいにしたということではなく、フェイクニュースを本物の消息筋のせいにしたことを非難すべきだったということも含まれる。
この大統領の責任を追及しようと望むマスコミは、単にニュースの記事を正確に書かなければならない。ここでは著しく失敗しており、自身の責任を負うこともできていない。こういうわけでマスコミの信頼性はボロボロであり、トランプ大統領やその他の人々から容易に嘲笑を受けることになるのだ。