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メディアは新米国気候レポートについて全く勘違いしている(オピニオン)

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<引用元:ニューヨーク・ポスト 2018.11.28>ビョルン・ロンボルグ氏による論説

活動家は、気候変動に取り組むコストを過小評価する一方で、その影響を誇張する傾向がある。新しい米国気候評価報告書に対する受け止めは教訓的だった。報告書は大筋が慎重に科学的であるべく努めており、IPCCとして知られる国連の気候科学パネルによる、さらに慎重な世界的報告書に従っている。

残念ながら、正確な科学はよいテレビ番組の制作には役立たないが、終末の予言は役に立つ。

中でも、取り上げられることの多い気候学者のマイケル・マンは、NPRとCNNに対して報告書のことを好意的に語り、予測はすでに現在の「前例のない異常気象」において実証されていると述べた。

実際のところ、評価報告書と科学では別の物語を語っている。報告書には「米国本土全体での干ばつの統計値は減少している」とされており、「1930年代のダストボウル時代は、今も干ばつと猛暑の基準となっている」ことが思い起こされる。

洪水につて、評価報告書はIPCCの調査結果を受け入れており、それは「洪水の変化は人為的な影響の結果ではなかったと考えており、検出可能な洪水の規模、継続期間、頻度の変化も報告されなかった」というものだ。

CNNの見出しは、「気候変動が(米国の)経済を10パーセント縮小させる」という派手なもので、より一層劇的なものだった。その数字はニューヨーク・タイムズの一面も飾った。

実際、国連の気候シナリオでは、米国の1人当たりのGDPが今世紀末には3倍以上になると描いている。だからこの10パーセントの減少は、現在より300パーセント大きな経済から生じるということになる。言い換えれば、大儲けからわずかに下がるということだ。

だが10パーセントという数字自体も怪しいものだ。今世紀末までには気温が華氏14度(訳注:摂氏約7.8度)上昇すると仮定している。これが起こる可能性は低い。米国の気候評価では、気候に対する顕著な取り組みがなされない場合、米国の気温は5から8.7度(訳注:摂氏で約2.8から約4.8度:華氏での1度差は摂氏5/9度差となる。以降、摂氏への換算は省略)上昇すると推測している。高い方の8.7度という推定値を使用するなら、損害は半分の規模に留まり5パーセントとなるだろう。

しかし、8.7度という温暖化の推定値は非現実的なほど悲観的なものだ。この元となっているのは、全世界の大半が大量の、つまり現在から5倍の量の石炭使用に逆戻りするという高排出シナリオである。

次に、ある研究によるとそれは、妥当に使用可能な化石燃料の量を遥かに超えて想定している。別の研究でも同様に、そのシナリオは「起こる可能性が非常に低い」ことが分かっている。

つまり、米国の経済が5パーセント低下する場合であっても、起こる可能性の少ない最悪の場合のシナリオが選択された結果でしかないのだ。

さらに、経済に対する10パーセントの損害とされるものの3分の2は、ただ1つの範疇から生じるもの、つまり熱による死亡だ。

異常な暑さの時に多くの人が死亡するのは本当のことだが、暑い場所で寿命が短くなるというのは事実に反する。それは人が順応するからだ。移民に対する調査結果で、人々が非常に速く、数週間以内に順応することが分かっている。

米国での気温と死亡率の関連性が、1世紀の間変わらないと推測するのはばかげている。これは、たとえ気温が14度上昇したとしても、多数の人が死亡すると推定することであり、人々が時間が経つにつれて気温の変化に順応するということが示されてきた事実を無視している。それから、2100年までの80年をかけて、エアコンを入手することから建築方法を変えることに至るまで、この危険を減らす多くの変化をもたらすこともできる。

つまり、良く報道される、温暖化で経済が10パーセント縮小するという考えは、大規模な経済成長を無視しており、報告自体が予想する最悪の場合の気温の損害の2倍を想定しており、しかもそうした高いコストはほぼ例外なく、容易に防止できる熱による死亡に由来するとしているのだ。

活動家たちは気候変動のコストを誇張する一方で、逆のことは政治的な意志の問題だと示唆している。実際には、気候に対する取り組みには大きなコストがかかる。そこでよくあるのが、比較的安価で効率的な化石燃料を、まだ競争力のないグリーン・エネルギー源で代替するというものだ。

気候と経済学の専門家であるウィリアム・ノードハウスは、地球規模で協調して徐々に炭素税を増加させると、20兆ドルの生産力損失のコストを払って気温上昇を7.4度から6.3度に低下できるが、気候コストを低下させることで採算が取れる以上の結果になることを示した。

ところが、これには非常に適切に策定され、組織された世界的な政策が要求される。現実世界では、気候政策は一般に効果が乏しく費用がかかるものだ。

ノードハウスは、3.6度を目標とするパリ協定のようなより野心的な政策では、約1340億ドルのコストがかかるとしており、これは関連する気候関連の利益を遥かに超えている。気候変動に対するそのような規定は、疾病よりも悪い。

確かに我々は、環境保護の研究開発に投資することで化石燃料からの移行を加速する必要がある。誇張は理解できるが危険なことだ。というのも、間違った政策の解決策に、資源を無駄遣いする危険を冒すことになるためであり、このような現実の課題を無視する人たちに攻撃材料を与えることになるためだ。

ビョルン・ロンボルグはコペンハーゲン・コンセンサス・センターの所長。

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