<引用元:ワシントン・エグザミナー 2019.5.11>スーリャ・グナセカラ氏による寄稿
5月はアジア系米国人と太平洋諸島の住民の伝統月間であり、我が国を豊かにし、その歴史を形成してきたアジア系米国人と太平洋諸島の住民の伝統が果たした目覚ましい功績を称える期間だ。ホワイトハウスの宣言でも、「これらの米国人は、家族、地域社会、そして国のためにチャンスを生み出して拡大させる起業家、事業主、そして従業員として国の経済を高めている」としている。
アジア系米国人は国の最も成長力の高い多文化グループの代表であり、今年の終わりまでに2,500万人の人口に達すると予測されている。文化的に、アジア系米国人は起業家精神の強さが実証されており、自立、革新、そして回復力を中心とした精神を持つ。国勢調査局のデータによると、景気後退後の史上最低の回復率の中で記録的な数の企業が破綻した2007年から2012年まで、アジア系米国人が所有する事業は24パーセント成長し、全ての人種グループの中で最大の売り上げ増加率となった。
また、アジア系米国人の所有する事業は広く成功している。実際、ニールセンの報告によると、「10億ドル以上の資産価値を持つ87社の米国のスタートアップ企業のうち、19社はアジア系米国人が設立したものだ」という。
2年の好調なトランプ経済を経て、アジア系米国人コミュニティは大いに祝うべきだ。経済全体としては2019年第1四半期に3.2パーセントのGDP成長率を享受し、アジア系米国人の失業率は、2.1パーセントという信じられないような数字で我が国の歴史上最低に達している。トランプ大統領の規制撤廃方針と2017年の減税・雇用法が、アジア系米国人にとって恩恵となったのは間違いない。ニューヨーク・タイムズのコラムニスト、ジム・タンカーズリーは、アジア系米国人が2018年に減税で最も恩恵を受けたことを無意識に認めてしまった。タンカーズリーが、白人が「最大の利益を得ている」という見出しをつけて、彼の引用した調査結果によると実際は白人よりはるかに利益を得たはずのアジア系を、まるで余りにもちっぽけだから無視できるかのように扱っているのは全く滑稽だ。
総合すると、アジア系納税者は平均で2,560ドルの減税となり、小規模ビジネスや経済全体により多くの資金を投資できるということになる。資本が利用できることは、依然として多くのアジア系米国人の小規模事業主にとって課題であるので、自分自身のお金をより多く保持できることは大きなプラスだ。これは特に、融資限度額や起業融資の得るために必要な信用枠が全くない、比較的新しいアジア系移民にとって当てはまることだ。彼らの大部分は、起業のために個人の貯蓄に依存せざるを得ない。
ありがたいことに、減税法にはアジア系米国人の小規模事業主にとって役立ちそうな規定が他にある。オポチュニティ・ゾーン制度は、州政府が指定して財務省の認可を受けた区域で投資されたキャピタルゲイン課税を延期させることで、都市と地方の低収入のコミュニティーにおける長期投資を促している。
(中略)
オポチュニティ・ゾーンが集中する郡では、賃金が8パーセント上昇しており、全国平均を上回っている。さらに、オポチュニティ・ゾーンの資産価値は20パーセント以上急騰している。スティーブ・ムニューシン財務長官は、オポチュニティ・ゾーンで1000億ドル規模の投資の可能性があると見込んでいる。オポチュニティ・ゾーンもアジア系事業主にとって大きな勝利だ。資本流入、資産価値の上昇、そして節税の可能性の全てが、結果を生み出すビジネス環境を作り出す。
アジア系米国人ホテルオーナー協会の、チップ・ロジャーズCEOは、減税とオポチュニティ・ゾーンが「経済再生と長期成長の条件を作り出している」と書いた。2020年大統領選挙が迫る中、アジア系米国人はいくつかの激戦州で重要な支持層となるだろう。例えば、バージニア、コロラド、フロリダ、ネバダ、ニューハンプシャー、ノースカロライナ、ペンシルベニア、そしてウィスコンシンの激戦地区で、選挙資格のあるアジア系米国人有権者は、2016年のトランプとヒラリー・クリントンの間のマージンを薄れさせるだろう。経済的な利益と成長傾向がこの重要な有権者層をトランプ支持に揺さぶるかは、時が経てば分かることだ。
スーリャ・グナセカラは、スリランカ系米国人小規模事業主であり、U.S.-Asia Institute Congressional Circleのメンバー。