<引用元:デイリー・シグナル 2018.11.1>ジャレット・ステップマン(Jarrett Stepman)氏による論説
アメリカ人は自分たちのメディアのファンではない。
最近行われた調査で分かったのは、多くの人がドナルド・トランプ大統領が不和を生んでいると考えている一方で、メディアが不和を生んでいると考えている人がさらにいっそう多いということだ。
ポリティコ及びモーニング・コンサルトの調査で、アメリカ人の56パーセントが、トランプ氏は国を分裂させることをしていると考えているのに対して、64パーセントがメディアはもっと分裂させていると考えていることが分かった。
回答者の中で、全国メディアが国を団結させるために尽力していると思うと答えたのは、わずか17パーセントだった。
トランプ氏が国を団結させているか分裂させているかについては、党派によって意見がはっきり分かれているが、メディアに対する評価は政治的志向に関わらず悪い。
この調査結果を補強しているのが、保守派のメディア監視団体であるメディア・リサーチ・センターによる調査であり、トランプ氏と共和党に対する報道は圧倒的に否定的であり、党派的だとしている。
その調査結果で、トランプ氏に対する放送網による報道は、わずか8パーセントが肯定的であるのに対して、92パーセントが否定的だということが分かった。
アメリカにおける分断は、多くが自然で手に負えない物かもしれないが、大統領に対してい非常に強く否定的なメディアは、この国の対立の高まりに対してさらにいっそうの責任がある。
それどころか、調査結果によると、メディアはトランプ氏をこの国におけるヘイト風潮の原因としてレッテル貼りする前に、自らを省みる必要があることが分かる。他にも相当な原因があるのかもしれないが、メディアがこの好ましくない環境のけん引役であったのは明らかだ。
10月29日に、CNNのアンカーであるドン・レモン氏がCNN司会者のクリス・クオモ氏にコメントした内容ほど、これを示す例はおそらく他にないだろう。
レモン氏は息を弾ませてこう話した。
「我々は人々を悪者扱いするのをやめて、この国で最大の恐怖は白人男性であるということに気づかなければなりません。彼らの大半は極端に右傾化しています。彼らについて何らかの手を打ち始めなければなりません。白人禁止というものはありません。ではそれについてはどうしたらいいでしょうか?」メディアに対する信頼度が、概して損なわれていることが世論調査から分かることには、疑いの余地はない。ニュースの著名人の中には、救いようがないほど党派的で、普通のアメリカ人全般に対して悪意を持っていることをさらけだしている人もいる。
人々は気づいているし、言論界に対する信頼は弱まりつつある。
ワシントン・エグザミナーのフィリップ・クライン氏が書いたように、おそらくこれで、トランプ氏のメディアに対する攻撃が非常に効果的であった理由の説明がつく。クライン氏によると、トランプの言葉遣いは「支持基盤を焚き付ける方法として作用するだけでなく、一般大衆の中であまりマイナスにはならない。というのも、彼らはジャーナリストが国を分断するのに大きな役割を果たしている、という考えに共感しているからだ」という。
メディアに対する信頼の欠如は、トランプ政権以前から存在しているが、今ではもっと悪化していると私は10月に書いた。調査結果では、メディアが意図的に、―特にトランプ氏について―ウソのまたは誤解を与えるようなニュースを出していると、アメリカ人が考えていることが分かる。
ブレット・カバノー氏の公聴会の間、性的暴行の訴えが現在の最高裁判事に対して投げつけられたが、メディアはまれな形で、最大限のダメージのためにタイミングを計ったような数多くの、根拠に乏しい話を報道していた。
その後上院がカバノー氏を承認するとすぐに、メディアはその話を追求するのを完全にやめてしまい、それが真実の追求というよりも、アジェンダの一部だったということを示唆している。
地域のレベルで、また全国レベルでも優秀なジャーナリストはまだいるという事実にもかかわらず―また真面目な報道によって、権力のある人たちの誠実さを保つ必要が本当にあるにもかかわらず―、多くのアメリカ人は現在のメディアの状況に全く敵意を抱いている。そして、このようなメディアに対する信頼性の欠如は、自らをトランプ氏に対する抵抗勢力、そして唯一の真実の担い手と見なすメディアの支配者層によって修復されることはないだろう。
おそらく解決策は、アメリカの人々に耳を傾けることに回帰することであり、またトランプ氏をはじめとする人たちのメディア批判の中には、国民の大半に当てはまることもあるのだということを受け入れることかもしれない。
ジャレット・ステップマン(Jarrett Stepman)氏はデイリー・シグナルの編集解説員。