ロシア新興財閥創業者、デリパスカ氏によると、ファインスタイン上院議員の元スタッフであったフュージョンGPS社員は、同社のことを「シリコンバレーの億万長者とジョージソロス」の支援を受けた、「政府を陰で支えているメディア組織」だと説明した
<引用元:デイリー・コーラー 2018.3.8>抄訳
コメディー映画の「Wag the Dog(邦題:ウワサの真相/ワグ・ザ・ドッグ)」では、架空の米国大統領がスキャンダルのために選挙に負けそうになる。そのため大統領の選挙陣営は、政治的スピン・ドクター(もみ消し屋)とハリウッドのプロデューサーを雇い、アルバニアとの「偽の戦争」をでっち上げて大衆の注意をそらそうとする。スピン・ドクターはこう説明する。「それは戦争ではなく、ショーだ。テーマ、歌・・・視覚に訴える物が必要だ」プロデューサーは反米の偽映画をアルバニアのせいにする。「彼らは我々の生活を破壊しようとしている!」と。話の流れは、新たに生じる不都合な現実をごまかすために変化し続ける。
米国の政治の中で絶えず変化する「ロシアの話」は、「Wag the Dog」の現代版だ。テクノロジーと、証拠に基づいたジャーナリズムの崩壊によって、驚くほど少数の人物たちで2国間、あるいは多国間の関係を壊すことができる。不都合な現実から自分たちの望む現実へと転換する動機となっているのは、権力、そして軍産複合体による商業的な利益だ。
2月にミュンヘン安全保障会議に参加した際、米上院議員のパネリストが協調して発した異例のメッセージは、モデレーターである前オバマ政権のビクトリア・ヌーランド元国務次官補がまとめたもので、「ディープ・ステートを誇りとする支持者が継続性に対して広範に安心感を与えている」と題したものだった。パネリストの1人であるシェルドン・ホワイトホース上院議員(民主、ロードアイランド)はこう述べた。「ブライトバートの読者たちは『ディープ・ステート』と呼ぶが、我々の中ではそれを『知識の豊富な専門家』と呼ぶ人が多い」その討論会での同一のメッセージは基本的にはこういうものだ。ドナルド・トランプは無視して防衛予算を2パーセントに引き上げよ、なぜなら『政策を運用可能にしている』将軍たちが依然として掌握しているからだ。
世界に18兆ドルの負債がある場合、「防衛のために2パーセントを払う」ようにさせるにはブギーマンをでっち上げるしかない。ロシアの小説家で平和主義者のレフ・トルストイはこう述べた。「戦争は全て政府によって、政府単独で、国民の利益とは無関係に企てられるものだ」
「ディープ・ステート」という優雅さのない名前を付けられたものは、実際こういうことだ。つまり、メディア、ビジネス、政府、また情報機関の中の少数の人物が行使する影の権力であり、彼らは大衆を挑発的で皮肉にも偽の情報で操っているということだ。このような操作から、これらの人々自身が考案した行動計画が生まれる。
残念ながら私は個人的にこのグループに精通している。彼らが米国大統領選挙の結果をひっくり返そうという、より大きな現在の野望へと移行する前には、私とその他の人々を影から20年間口汚い言葉で攻撃してきたのだ。私のために彼らが作り上げてきた様々な筋書きと役割は、厳重な検査を乗り切ることはなく内部矛盾を抱えているが、彼らはひたすら次のような「Wag the Dog」の脚本に従っている。それが真実だと証明する必要はない。必要なのはそれを使って気をそらせること。
セオドア・ルーズベルト大統領はかつてこう忠告した。「見せかけの政府の背後には目に見えない政府が王座についており、国民のために尽くす義務を負わず、国民に対する責任を認めることはない。この目に見えない政府を破壊するということは、腐敗した実業界と腐敗した政治の間の癒着を汚すということであり、それが第1の課題だ」
(中略)
フュージョンGPSのシンプソンは、ニューヨーク・タイムズの論説の中で司法委員会での自らの証言について説明し、ネオコン系ウェブサイト「とクリントン陣営」が「自分たちの行ったトランプに対する調査の、共和党と民主党の資金提供者」だと主張した。司法委員会のダイアン・ファインスタイン上院議員(民主、カリフォルニア)はその後、同委員会委員長であるチャック・グラスリー上院議員(共和、アイオワ)の反対を押し切って一方的に、「記録を正すために」シンプソンの証言を公開した。フュージョンGPSは「ファインスタイン上院議員の勇気を称賛した」。
だが2017年3月16日、ダニエル・ジョーンズ — フュージョンGPSのメンバーであり、自称元FBI捜査官でメディアによればファインスタインの元スタッフであることが判明している — は、私の弁護士であるアダム・ウォルドマンに会い、フュージョンGPSのことを「シリコンバレーの億万長者とジョージソロス」の支援を受けた、「政府を陰で支えているメディア組織」であると説明した。私の弁護士は11月3日に上院情報委員会に対してこれらの事実を証言した。ソロス氏が、ニューネス議員の委員会メモを非難している2つの「倫理監視」NGO(Democracy 21とCREW)に対する資金提供者であるのは偶然ではないだろう。
オバマ政権の元国務省のヌーランドは、フュージョンGPSの文書を検証し流布したもう一人の影の人物であることが最近露呈した。また報道によれば、長年に渡って他の数多くの文書についても同様のことをしてきたとされている。「ディープ・ステートを誇りとする支持者」というのは、フロイト的な無意識の失言だったようで洒落にならない。
でっち上げの話 — 「人民の、人民による、人民のための」ではなく、数名の人物が「自由」と「民主主義」を積極的に損なっているという全く同じ偽善的な巧みな言葉で覆い隠しているもの — は、地球規模の健康問題、気候変動、またエネルギーの未来といった世界で最も差し迫った本当の問題に対する国際的な共同の取り組みを妨げている。私自身の「母なるロシア」には問題と課題が多く、いまだにソビエト体制からの移行の途上にある。中には永遠に移行中のままであることを明確に願っている者もいるのだ。
しかし、この古い映画は止めさせる必要がある。
(オレグ・デリパスカ氏は、クリーンで再生可能な水力発電を使用した世界で有数のアルミニウムメーカー、UCルサールの創業者。)