<引用元:デイリー・シグナル 2018.10.30>デニス・プレガー氏による論説
生まれてからずっと、私がアメリカのユダヤ人同胞に言い聞かせてきたことは、これまで非ユダヤ系の国で生活した者の中では、我々が最高に幸運なユダヤ人だということだ。
自分が言っていることは分かっている。私は反ユダヤ主義についての本を執筆し、ブルックリン大学でユダヤの歴史を教えた。また21歳の時から反ユダヤ主義と戦ってきたが、その時イスラエルは、ソビエト連邦にユダヤ教の宗教的な品物を密かに持ち込み、著名なユダヤ人を密かに連れ出すために私を送り込んだのだった。
ピッツバーグのシナゴーグ(ユダヤ教礼拝堂)で11人のユダヤ人が虐殺された後でも、この評価は依然として正しいものだ。
だがアメリカの歴史上最悪の虐殺は、アメリカでの悲劇としては類のないものだ。
それが悲劇である理由のひとつは、アメリカがとうとう、ユダヤ人がユダヤ人であることを理由に殺害された国に仲間入りしてしまったという点だ。これはおそらく不可避であったのだろうが、アメリカに3億3千万人が暮らしているとすれば、アメリカ人としても、また同様にユダヤ人としても、私にとってつらいことだ。
2つ目に、クリスチャンが教会で殺害されることも、ユダヤ人がシナゴーグで殺害されることも、命が失われ愛する者が受ける苦痛という点で違いはないが、ユダヤ人がユダヤ人であるという理由で殺されることには固有のものがある。つまり反ユダヤ主義者は根絶主義者だということだ。反ユダヤ主義者は単にユダヤ人を迫害し、奴隷化し、追放したいだけでなく、皆殺しにしたいのだ。
(中略)
大学とイスラエル嫌いの左派を除いて、アメリカで反ユダヤ主義が増加しているか見当もつかない。名誉毀損防止同盟やその他のユダヤ人団体、ユダヤ人コミュニティ新聞を、可能であれば信頼したいところではあるが。残念ながらそうしているのは左派のユダヤ人だけだ。というのもこうした組織の大半が左翼の、反トランプ的方針を持っているからだ。
次のようなうってつけの例がある。
主流の左翼系メディアは、左翼系ユダヤ人の組織やメディアと共に、ドナルド・トランプが大統領になった後何カ月ものあいだ、毎日我々に反ユダヤ主義が大きく増大したと伝えた。彼らは、ユダヤ人コミュニティ・センターが多数の爆破の脅迫を受けたことに言及した。
だがそうした脅迫の90パーセントが、イスラエルに住む精神障害を抱えた10代のユダヤ系アメリカ人によるもので、残りの10パーセントは元彼女に罪を着せようとしていた黒人急進派の人物によるものだと判明した。
やがてそうした主張はニュースから消えたが、ユダヤ系、非ユダヤ系組織も、報道機関も、混雑した劇場で反ユダヤ主義の「火事」を叫んだことに、謝罪するところは1つとしてなかった。
不誠実な人たちは、今度はピッツバーグの虐殺をトランプのせいにしている。だがそれは爆破の脅迫をトランプのせいにしたのと同様の、大きなウソだ。実のところ、ピッツバーグ事件の殺人犯は、トランプがユダヤとイスラエルに緊密なつながりを持つことを批判していた。
ユダヤ人がハリー・トルーマン(子供も孫もユダヤ教徒である唯一の大統領)以来最も親イスラエルの大統領に、反ユダヤ主義の増大の責任をなすりつけるのは、このユダヤ人である私が生まれてこのかた知っている、自明の理のもうひとつの例だ。すなわち、自分たちの価値観のほとんどをユダヤ教から得ているリベラル系ユダヤ人と異なり、左翼系ユダヤ人は民族的にはユダヤ人でも左翼主義から価値観を得ているのだ。
過去10年ほどの反ユダヤ主義の最大の増加は、左派から来ている。ほとんどのアメリカの大学キャンパスでヤムルカをかぶる若いユダヤ人や、親イスラエルを公言する若いユダヤ人に尋ねてみれば良い。またこの世代のユダヤ人抹殺の脅しは、イランやアラブのイスラエルの敵から来ている。
安息日には必ずシナゴーグに行くユダヤ人として、また銃の携帯を支持する者として、アメリカのシナゴーグで武装警備員が必要とならないことを心から祈る。アメリカの独自性は、ユダヤ人がシナゴーグに武装警備員を必要としないという事実によって実例となってきた。
ずっとそうであることを祈る。
あなたがユダヤ人を好きではなくても―アメリカ人だけが好きであっても―、反ユダヤ主義とは戦う必要がある。ユダヤ人が行くところに、彼らが住む国の運命も向かうのだ。
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デニス・プレガーはデイリー・シグナルのコラムニスト、ラジオ全国放送番組司会者、またPragerUの創設者である。
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