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クロスファイアー・ハリケーンを「回す」=NYタイムズのFBIトランプ捜査報道

投稿日:2018年5月19日

<引用元:ナショナル・レビュー 2018.5.17>アンドリュー・C・マッカーシー氏による論説

NYタイムズは、1つ以上の手掛かりを埋めた

衰えゆくベビーブーマー世代なら、FBIがトランプ・ロシア捜査に「クロスファイアー・ハリケーン」というコードネームを付けたことに、にやりとしたことだろう。ローリング・ストーンズの昔懐かしい「ジャンピン・ジャック・フラッシュ」へのオマージュだ。考えてみれば、オバマ政権のCIA長官であったジョン・ブレナンにはもってこいの呼び名かもしれない。事件の重大な岐路には、彼の亡霊が必ず姿を現すからだ。

若者は信じないかもしれないが、それが「クラシック・ロック」と言われるようになる前は、Spotifyのストリーミングでクロスファイアー・ハリケーンをかけるわけにはいかなかった。(レコードを)回す必要があったのだ。それにふさわしく、ニューヨーク・タイムズが16日にトランプ・ロシア捜査の発端について報道し、大きな話題となった記事がまさしくそれだ。

4,100語の作品を簡潔に説明すれば、NYタイムズは「手がかりを埋めた」ということだ。結構なことだ。FBIが「少なくとも1人の政府の情報提供者」をトランプ陣営に仕掛けていたことを発見するには、ずいぶん深く穴を掘る必要がある。タイムズがこれを知ったのは、「現役の当局者と元当局者」が、機密情報を記者にリークしたからだ、と指摘するにしてもだ。しかも、ほんの数日前には議会にその同じ情報を求められ、司法省は「脅迫だ!」と言って悲鳴を上げていたのだ。

だがそれですら、埋められた手掛かりの中で最も重要なものではない。タイムズの記事が明確にしているのは、控えめな表現で学術的に言うと、オバマ政権は敵対政党の大統領選挙陣営を捜査するために、対諜報能力を利用したということだ。

すなわち、トランプ陣営スタッフに対する捜査を正当化するような、犯罪だと言える根拠はなかった。それでFBIは犯罪捜査に着手しなかった。その代わりに捜査局は対諜報捜査に着手し、トランプのスタッフが犯罪を犯した証拠が浮上することを期待した。しかし、事実上、犯罪捜査そのものを実施するために、スパイ行為と電子的監視を含めて対諜報能力を使用するのは、権力の乱用である。

タイムズはその物語の中で、対諜報という言葉にほとんど触れていない。それは偶然ではない。同紙はマスコミ・民主党志向の話を巧妙に作り上げている。内容がどのように(レコードのように)回されているのかといえば、こういうことだ。FBIはクリントンのメール捜査については広く公開した。選挙の直前であってもそれについて情報公開した。ところが、ロシア政府がトランプに有利になるように、選挙に対する工作活動を行っていたことを示すインテリジェンスがあったにもかかわらず、トランプ・ロシア捜査のことは固く秘密を守った。これによってクリントンの立候補は崩され、トランプに大統領の座を明け渡すことになった。

そいつは最高だ!(訳注:原文はIt’s a gas, gas, gas!で「ジャンピン・ジャック・フラッシュ」の歌詞の一節)

また、それはたわごとだ。FBIの2つの事件がどちらも「捜査」とされているからと言って、2つが同類ということになならない。

クリントンの事件は犯罪捜査であり、それを裏付ける有罪を示す証拠が山ほどあった。クリントン氏がFBIに持つ1つの不満は、理に適うものだ。つまり、当時のFBI長官ジェームズ・コミーが、彼女にとって不利な証拠の一部(しかし決してすべてではない)を公表したということだ。法執行機関当局が犯罪捜査の証拠を公表するのは、正式に起訴されていない限り適切なことではない。

けれでも一般的な事態として、これは小さな違反だ。ここでの不祥事は、クリントン氏が起訴されなかったことだ。彼女は自分が敗れたのをコミーのせいにしたい。だが、彼女に勝機があったのは、オバマの司法省とFBIが自らに対する事件にわざと負けてやったからでしかない。そのやり方というのもまさしく、オバマ前大統領が彼らに公の場で説明するよう促すというものだった。

一方、トランプの件は対諜報捜査だ。犯罪事件と異なり、対諜報事件は機密保護される。捜査員がそれらを公表すれば犯罪を犯すことになり、外国情報業務に対する厳粛な取り決めを破ることになる。米国の安全保障当局が国を守るために必要な情報を、そういった業務で共有する場合、必ずそのような取り決めがなされる。

けれでも一般的な事態として、FBIがクリントンの件で機密義務を破っておきながら、トランプの件ではそれを尊重した、ということが問題ではない。不祥事は、FBIが、トランプ陣営の犯罪捜査に着手することを正当化するのに必要な、犯罪を示す証拠がないままに、対諜報捜査に着手することを決めたということだ。オバマのホワイトハウスのおかげで、FBIは政府が敵対国をスパイすることを可能にする権限を得て、それを利用して米国人をスパイした。たまたま政敵であった米国人を、だ。

タイムズはこの点から目をそらしている。共和党の政権が、民主党の候補者にこのようなことをやろうとするなら、それだけに重点が置かれるだろう

司法省とFBI同様、同紙は事態を混乱させるためにロシアに頼っている。明らかにロシアは選挙に干渉しようとしていた。主としてサイバー活動、つまりハッキングによってだ。結果、FBIがロシアに対する対諜報捜査に着手することに関しては、なんら不適切なことはなかっただろう。実にそうしなければ無責任なことになってしまう。対諜報活動の権限はそのためのものである。

だが、ロシアに対して対諜報捜査を実施することは、トランプ陣営に対して対諜報捜査を実施することと同じではない。

マスコミ・民主党複合体は、最初からこの2つの事を一緒くたにしようとしてきた。プーチンはトランプに勝たせたかったのだと、死に物狂いで大衆に納得させようしてきたのはそういうことだ。トランプ陣営の人物とロシア人との接触を、どれほど取るに足らないものであっても強調するのは、そういうことだ。人に気づかれないようにと願いながら、大きな割れ目をふさごうとしている。たとえプーチンがトランプに勝たせたかったとしても、トランプ陣営のアドバイザーがロシア政府とつながりのある人物と実際に接触していたとしても、トランプ陣営がロシアの諜報活動に加わっていたという証拠はない。

2016年の大統領選挙の真っただ中で、FBIはCIAと協力し合い、米国の政治的選挙陣営を捜査した

それが、米国人に対する捜査を正当化するために必要であった証拠だ。連邦法の下では、米国人が外国勢力の工作員の役割を果たしていると立証するためには、政府はその米国人が外国勢力のために、意図的に秘密の活動に従事し、またこれらの活動が刑法に違反していることが確からしいと証明しなければならない。(FISA, Title 50, U.S. Code, Section 1801(b)(2)を参照のこと。私の12月17日のコラムの最後の6行でさらに説明している。)

だがいうまでもなく、FBIがそのような証拠を持っていたのであれば、対諜報捜査に着手する必要はなかっただろう。FISA裁判所の令状を取得するために、クリントン陣営による対抗候補者調査 — スティール文書 — を利用する必要はなかった。FBIはその代わりに、犯罪捜査に着手していたことだろう。クリントンが重罪を犯したという証拠がある中で、彼女に行ったのと全く同じように。

それとは反対に捜査局は、(a)犯罪を示す証拠も(b)、トランプ陣営がロシアの諜報活動に加わっていたとほのめかす証拠もないままに、対諜報捜査に着手した。2016年の大統領選挙の真っただ中で、FBIはCIAと協力し合い、米国の政治的選挙陣営を捜査した。彼らは外国情報監視と内部情報提供者を利用した。

クロスファイアー・ハリケーンというのは実はそういうことだ。

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