FBIの情報提供者、ウィリアム・キャンベル氏は、ロシアによる米国のウラン市場を独占しようとする計画に関する証拠を、6年間に渡って収集していた。ザ・ヒルはその5,000ページ以上の文書を検証し、新たな事実を11月20日に報道している。
米国政府は2010年に、ロシアの国営企業ロスアトム社が米国のウラン鉱山を所有するウラニウム・ワン社を買収することを認可した。しかし、その認可以前にロスアトム社に関する贈収賄やリベート、マネーロンダリングといった不正を政府側が把握していたかどうかが焦点となっている。
米司法省はこれについて、不正が明るみに出たのは認可後のことであり、認可と不正は無関係だと主張している。しかし、ザ・ヒルは、それとは矛盾する証拠を文書の中から発見したという。
まず、ロシア側の基本的な目的は何だったのかという点については、文書と取材から次のことが明らかになったと伝えている。
文書とインタビューによると、その目標には、旧ソビエトの核弾頭を米国の核燃料に転換するという取り決めが2013年に期限を迎える前に、ロシアのウランに対する米国の依存を高めるというものがあったいうことだ。ロシアには、米国内にウラン濃縮施設を建設するという野心もあったことが文書から明らかになっている。
調査記録によると、FBIの防諜部が最初に汚職による違法な支払いを記録したのは2009年11月のことであり、CFIUS(対米外国投資委員会)がウラニウム・ワン買収を認可する1年前のことだった。
キャンベル氏は、2010年の初めから様々な犯罪行為に関する詳細な情報を、FBIに対する報告書に記録していた。
また、キャンベル氏自身が直接同僚から、ウラニウム・ワンの件に対する反対を切り抜けるための協力を求められていたことが、文書から判明している。
クリントン財団との関係についても、文書から次の内容が判明したとされている。
また、キャンベル氏の報告書ファイルによると、同氏は2010年に、ビルおよびヒラリー・クリントン氏に関係の深いワシントンのある団体についてFBI捜査員に定期的に言及しており、その団体は、米国でのTenex(ロスアトムの販売系関連会社)の事業拡大を支援するために、数百万ドルの支払いを受け取っていたことが分かっている。文書によれば、その団体はロシア人に雇われてから、クリントンの慈善活動に対して資金援助の額を増やし始めた。
ザ・ヒルの記事では、キャンベル氏の職務について全容を知る消息筋の話として、同氏が議会に対して重大な新情報を提供し得るという発言を次のように引用している。
「彼(キャンベル氏)は、ロシアがウラニウム・ワンの認可前に犯罪行為に従事していたと我々が知っていたことを証明できるか。もちろんだ。ロシア人は政治的な影響力を使い、政治的にてこ入れして米国政府からそれを勝ち取ろうとしていたか。その通りだ」