MSNBCのレイチェル・マドー・ショーの番組放送中、べネスエラで広がっている反社会主義抗議運動が実際はドナルド・トランプ大統領に対して反対するものだとほのめかす字幕が放送された。
木曜日に放送されたその番組は、ベネズエラの国営石油企業の子会社が、ドナルド・トランプの大統領就任式に対して50万ドルを献金したことが最近の抗議運動の原因であるとほのめかした。
ある場面で献金を説明する画面下部の見出しには、「トランプ献金に関するベネズエラでの混乱」とあり、20年近く続いている社会主義の失敗の直接的な結果として食料や医薬品の欠乏が拡大している事に言及していない。
その場面でマドーは、「ベネズエラの国営石油企業がトランプの就任式に50万ドルを提供して、非常に、非常に不可解なほど過度に資金提供したという、連邦選挙委員会がホワイトハウスから受けたばかりの内容にベネズエラ国民は激怒しています」と主張した。
マドーは、ベネズエラ国営石油会社(PDVSA)のアメリカにおける関連企業であるシットゴー社が、トランプの就任式に50万ドルを献金したことに言及した。昨年11月の報道によると、ベネズエラ国営石油会社には過去10年間で110億ドルの使途不明金があるということが分かっていた。
マドーは抗議運動を直接その献金に結びつけてはいなかったが、彼女がその抗議運動について説明したと言えるものは、「反政府抗議運動への参加中に43名が殺されてから、アメリカは2014年に制裁を加えた」という内容だけだった。
その放送の中で、良心の囚人の投獄を含めて、社会主義政策や左翼政党による抑圧といったものは言及されず、2014年の抗議運動の犠牲者のほとんどが警察、国家警備隊、また政府系のギャングなどによって殺されたことを彼女が説明することもなかった。
市民の混乱の背景の理由がその献金であるという証拠はない。反政府指導者のエンリケ・カプリレスは、最近理由なく15年間公職に就くことを禁止されたが、反対を止めさせようとする政府の軍事計画と戦うために抗議を呼びかけ、「ベネズエラが憲法にのっとった秩序を回復するまで休むことはない」と約束した。
多くのベネズエラ人は、ニコラス・マドゥロの社会主義独裁政権の下で飢えに苦しんでいる。最近の調査によると、平均的なベネズエラ人は食料不足により2016年を通して20ポンド(訳注:約9キログラム)体重減少したということだ。ベネズエラ人の15パーセント以上が生き残るための食料として廃棄物に依存している。
マドーは、産業の大規模国営化のようなベネズエラの社会主義政策を、その国の現在の危機に結びつけることはまったくしなかった。
その番組は後に、字幕について謝罪し放送のウェブ版ではそれを更新した。
「レイチェルは明らかにベネズエラの抗議運動が『反政府』であるとしていましたが、彼女の発言中の画面の字幕は正しくありませんでした。テレビ番組として我々はその両方を明確にしなければなりませんが我々は間違うこともあります」とMSNBCは声明の中で述べた。オンライン版に出されたバージョンでは、プロデューサーが今から思えばベネズエラの状況やマドーのコメントを正確に示すものではなかった、と見なす字幕を含んでいなかった。
亡き独裁者、ウゴ・チャベスは全面的な社会主義改革を実施して国の経済を衰退させる事になり、前述の企業の専有化によって多くの多国籍企業が国を離れた。彼の死後、ニコラス・マドゥロは、大規模な食糧、医薬品、電力の不足を監視して、配給制度と厳しい物価管理を強制し、問題を悪化させた。
今週、ベネズエラの反政府派は全国で「すべての抗議の母」を実施し、国の衰退をもたらしたマドゥロの支配と社会主義政策を終わらせることを求めた。木曜日にゼネラルモーターズは、政府がバレンシア市の工場の管理を掌握した後、ベネズエラでのすべての事業を停止したことを発表した。
金曜日にAP通信は、最近の抗議デモで抗議者が機動隊や政府系民兵と衝突し、20名が殺されたことを報道した。