<引用元:デイリー・シグナル 2022.6.1>プレストン・ブレーシャーズ氏(ヘリテージ財団・税務政策担当上席政策アナリスト)による論説
連邦議会予算事務局の2022年5月の予測で、2017年の「トランプ減税」後10年で、政府の税収が2017年12月の税制改革法案の可決前に予測されていたより、増加する見込みであることが判明した。
減税―当時の政府の記録係たちは10年で1兆5千億ドルの負担になると話していた―は、左派の一部が信じるように仕向ける財政の悪夢のようなものにはなっていないようだ。
3月にナンシー・ペロシ下院議長(民主党、カリフォルニア)は、2017年のトランプ減税を2兆ドルの「共和党税金詐欺」と呼んだ。
バーニー・サンダース上院議員(無党派、バーモント)は、減税を支持しながら議会のやり放題な巨額支出に反対するのは偽善だとして共和党を非難した。
バイデン政権ホワイトハウスは、「トランプ減税は10年で2兆ドルの赤字を付加した」と主張するプレスリリースを発表した。
だが数字は別の物語を語っている。政治的な巧言にもかかわらず、税収は上がっているのだ。
予測を2022年のドル相場に調整すると、減税前に政府は2018年から2027年の間の所得税、法人税、給与税の税収として40兆7千億ドルを見込んでいた。最新の予算予測では、同じ期間の税収として41兆3千億ドルを見込んでいる。1兆5千億ドルの税収減少どころか、最新の予測では税収が予想より5700億ドルの増加となることを示しているのだ。
法人税減税についてはどうだろうか?間違いなく法人税を35パーセントから21パーセントに減税したので、法人税収は劇的に減少したに違いないだろうか?
政府の予算の数字によるとそうではない。
政府は現在、2018年から2027年までの間に3兆8千億ドルの法人税収を見込んでいる。減税前に予測していた3兆9千億ドルとほぼ等しい。その上、税金は真空中には存在しないので―そして法人税改革はさらなる所得の増加を推進することで所得税と給与税が増加するので―法人税改革は採算が取れる可能性が高い。
連邦議会予算事務局(CBO)は、単に減税前の予測で税収を少なく見積もっていたのだろうか?
そうかもしれない。だが予算事務局は、歴史的に見て税収を過大に見積もることのほうが多かったとしている。政府の予測によると、「CBOの税収見積もりは、この数十年平均すると高すぎであり、景気停滞のタイミングと特質を予測するのが困難であることがおもな理由」である。
では、10年間にはパンデミック関連の世界的な活動停止が含まれることを考慮すると、なぜ予測された税収の低下が起きなかったのだろうか?予算事務局の予測は、税収の「説明のつかない強さ」に対して少なくとも5つの点を引き合いに出している。
経済学者のタイラー・グッドスピードとケビン・ハセットによると、2017年の減税以後、設備投資は減税前に比べて9.4パーセント上昇した。企業にとって実際の投資は14.2パーセント増加した。同様に2021年のヘリテージ財団報告書によると、投資と賃金の劇的な上昇が減税後に起きたことが分かった。投資増加を引き起こした重要な要素は、オフショアではなく米国市場に再投資することを選択した多国籍企業だった。
(以下略)