<引用元:デイリー・コーラー 2022.3.2>
ジョー・バイデン大統領は就任以来、積極的に反化石燃料政策を推し進め、米国のエネルギー自給目標に悪影響を与え、ロシアによる侵略を可能にしたと専門家は述べた。
バイデン政権は一貫して米国の化石燃料業界に反対する政策を実施している―パイプラインを拒絶して掘削プロジェクトを見捨て、重くのしかかる規制を推進して連邦政府の重要な石油・天然ガス承認プログラムを遅らせた―積極的な気候問題対策の一環として、だ。その一方で米国は、ロシアの石油を含めてますます輸入に依存するようになっており、ロシアは世界の天然ガス市場で主要なプレイヤーの地位を確立した。
The Uけれども連邦政府の予測によると、米国はバイデン政権下で2022年に原油の純輸入国に戻ろうとしている。米国は石炭と天然ガス両方の取引を考慮すると、2019年に全エネルギーの純輸出国となり、2020年には石油の純輸出国となった。
「ウラジミール・プーチンには、バイデン政権が米国の石油・天然ガス業界の支援を今後も積極的に継続するつもりであるか確認する機会があった。この政権がエネルギーと石油・天然ガスに関して起こした全ての措置は、正反対だった」と、エネルギー研究所(IER)のトム・パイル所長はインタビューで本紙に述べた。
ガソリン価格を決定する主要な要因である原油価格は、ロシアによるウクライナへの全面的な軍事侵攻後に高騰している。ロシアのウラジミール・プーチン大統領が先週ウクライナに軍を送ることを決定したことで、ロシアの国有生産者が優位に立つ世界のエネルギー市場に不確実性が加わった。
ロシアは2021年に、カナダを除く他のどの国よりも米国に石油を提供したことが、米国エネルギー情報局の年間データからわかった。2021年に米国はロシアから全体で約30億バレルの石油、つまり1日でおよそ67万バレルを輸入した。
比較すると、連邦政府のデータによれば、米国はロシアから2020年と2019年にそれぞれ、1日に54万バレルと51万8千バレルを輸入していた。
ロシアは、2020年に掘り出した原油の1日当たり1050万バレルのうち約65パーセントを輸出したが、ヨーロッパ最大の石油供給国でもある。ヨーロッパは天然ガス供給でもロシアに依存している。
「お祭り騒ぎはヨーロッパで再び地上戦が始まるまでのことだった」とパイルは続けた。
「エネルギー政策には真剣な人々が関与すべきであり、これまでのことに基づけば、バイデン政権はこうした愚行―風力と太陽光発電に簡単にシフトでき、それが答えになると期待できるという考え―を何が何でもやるつもりのようだ」と彼は述べた。
「地政学的・経済的資源」
バイデンの大統領としての最初の行動は、キーストーンXLパイプラインの連邦政府承認を破棄することだった。承認されていればカナダから米国への原油輸入が増加していた。政権はウィロー・プロジェクトも破棄した。トランプ政権が承認した重要な石油・天然ガスプロジェクトであり、実現すれば1日当たり10万バレルの石油を産出していた。
連邦政府所有地での新規掘削リースを禁止しようとするバイデン政権の試みを、連邦政府判事が停止するよう命じた後、内務省は裁判所が命じたプログラム再開に対する締め切りを何度も長引かせたうえ、拒否した。また内務省は、秋に促進していたメキシコ湾での海洋掘削リースを禁止した最近の判決を上訴しないことにするという意志を示した。
2月25日の時点で、米国には合計わずか522の原油掘削リグしかない。2019年にその数は900に達していた。
バイデンが任命した連邦政府規制当局者は、天然ガスを含む一連の政策変更を進め、鉄道による輸送を禁止するルールを提案し、気候問題に関連して新たなパイプライン承認を妨害する制限を追加した。25日にバイデン政権に対する書簡で、25州の司法長官が鉄道車両ルールに対する反対を表明し、同盟国に天然ガス輸出を促進することが重要だと述べた。
「米国のガス産出の増加は、地政学的・経済的資産であり、国内と世界のエネルギー安全保障に貢献している」と書簡には書かれていた。
2月18日、ウォールストリート・ジャーナルの社説でも同様に、パイプラインに対する新たな承認プロセスによって米国の生産者が天然ガスを輸出するのが困難になると主張した。措置はヨーロッパ最大の天然ガス供給国であるロシアをつけあがらせることにもなる、と社説は述べた。
「ヨーロッパへの天然ガス輸出の拡大に関心がないという意志を示すことになる」とパイルは本紙に語った。
「差し迫ったエネルギー政策の見直し」
「原油価格が100ドルに迫り、ロシアが政府予算―軍とウクライナ侵攻も含まれる―の資金獲得のためにエネルギー販売に依存する中、ロシアのエネルギー輸出が西側に及ぼす影響力に今世界は注目している」と、米国商工会議所世界エネルギー研究所のマーチン・ダービン所長は1日のブログ投稿で述べた。
「この現実から、こうした依存の一因となっているエネルギー政策を至急見直さざるを得なくなっている」とダービンは続けた。
ダービンは、政権は石油と天然ガスのリースを加速させ、5年間のリース調査プログラムを開発すべきだと主張した。また、政権は最近のパイプライン政策変更を破棄し、承認待ちとなっている6件の天然ガス輸出基地の新設・拡張を許可すべきであり、それによってヨーロッパがロシアからの依存を減らそうとしている時に、米国の輸出枠を25パーセント増加できると述べた。
世界エネルギー研究所の所長は、バイデンは、ヨーロッパの天然ガスインフラの拡大を支援する計画である三海洋イニシアチブ向けに、米国が2020年に資金提供を約束した3億ドルを放出することもできると付け加えた。金曜日にバイデン宛ての合同書簡を主導した米国LNG協会は、バイデンに直ちに資金の放出を行うよう求めた。
先週ロシアによるウクライナ侵攻が展開され、大手化石燃料業界団体はダービンの意見に賛成し、バイデンに石油と天然ガスの採掘を促進するようバイデンに訴え、米国の安全保障と海外の安定性の両方にとっての重要性を指摘した。
だが政権は、国内の生産者にさらなる採掘を推し進めず、石油輸出国機構(OPEC)に増産を繰り返し求めてきた。2月4日にホワイトハウスのジェン・サキ報道官は、バイデンは「OPEC加盟国と供給国に対して明確に、市場の需要に応じることが重要である」と伝えてきたと述べた。
10月に、ホワイトハウスのエネルギー政策アドバイザーのアモス・ホッホシュタインは、ロシアは天然ガス供給をヨーロッパに対する地政学的な武器として使用する恐れがあると示唆した。
「今年の冬の時点でヨーロッパのエネルギー安全保障に実に大きな違いを生むことができる供給国は、ロシアだ」とホッホシュタインは述べた。
「支配的なエネルギー生産」
1日に下院民主党は、連邦政府がエネルギー市場におけるロシアの支配を埋め合わせるために、米国の石油・天然ガス生産を「解放」するよう義務付けることを提案する共和党の米国エネルギーのロシアからの独立法案の検討を阻止した。
「プーチンとロシア経済は、支配的なエネルギー生産と他国への輸出に依存している」と、法案起草者であるエネルギー商業委員会幹部メンバーのキャシー・マクモリス・ロジャースと、天然資源委員会幹部メンバーのブルース・ウェスターマンは2月28日の共同声明で述べた。
「(プーチンは)そうすることで権力を得ており、彼の軍隊と攻撃的な行動の資金源となっている。プーチンに対抗するために、我々の法案は米国のエネルギー雇用、生産、輸出の推進にスイッチを入れるものだ」と彼らは続けた。
さらに、大統領は下院と上院の民主党の中から助言を聞き入れることを選択し、1日にはエネルギー省に緊急用石油備蓄を放出するよう命じると発表した。米国は備蓄から3千万バレルを引き出すが、他の数十カ国も備蓄から同じ量を放出する。
政権は非常用の石油備蓄補充のための計画をまだ立てていない。
ホワイトハウスは即座に本紙からのコメント要求に回答しなかった。
エネルギー・環境担当記者・Thomas Catenacci