<引用元:ワシントン・フリービーコン 2020.10.20>
バイデン、アドバイザーは米国の主要同盟国に対する支援を縮小しようとしてきた
トランプ政権の台湾強化の取り組みを捨て去ろうとするジョー・バイデン元副大統領の姿勢は、地域で大きな問題を生み出し、中国を強化する恐れがある、と防衛専門家は話す。
「私はあまり高い期待を持っていない。中国は多くのカードを持つことになるだろう」とヘリテージ財団の国家安全保障専門家である、ジェームズ・ジェー・カラファノは語った。
「台湾は新たな香港であり、新たな鉱山のカナリアだ。西側にとって、台湾のために立ち上がらないということは、どこであっても中国に抵抗するつもりはあまりないのだという実に強いメッセージとなる」とカラファノは続けた。
バイデンは、その外交政策の代理人とアドバイザーのトップが執筆したものだけでなく、本人の台湾に関する記録でも、米国と台湾の両方にとって危険性を秘めた政策を示唆している。2001年にバイデンは論説を執筆し、米国が台湾を支持すれば「台湾海峡全体での戦争に引き込まれる」と主張した。一方、バイデンのインド太平洋アドバイザートップの一部は、最近出た論説の中で、米国の軍事支援を軽視し、防衛費を削減し、北京に対抗するためにもっと柔軟な抑止力に頼る台湾構想を詳述した。アメリカンエンタープライズ研究所の中国研究者であるザック・クーパーは、そのような措置は地域での中国の野心を煽るだけだと述べた。
「防衛予算に対する深刻な下向きの圧力が掛かるだろう。民主党はこれが本当の緊張につながることを知っていると思う」とクーパーは本紙に語った。
カラファノは同様の不満を申し立てた。「我々の敵に関する問題は、彼らがみな無視できないということだ。防衛をいかにしてもっと賢く行うかについて我々はこうしたことを全て行うことはできる・・・。それでも大国の競争には何の影響もない」
バイデン陣営は、副大統領としての8年間を含め、民主党の過去の台湾に対する扱いに関するコメントの要求に回答しなかった。カラファノによると、オバマとそのアジア担当者は台湾・米国関係に苦労し、「必要最小限」以外のことを行うのを嫌がった。政権は自由貿易合意を構築することができず、概して台湾に上級外交官を送ることを渋っていた。それにひきかえ、トランプ政権は2020年に2人の上級レベルの行政機関高官を送っており、台湾のワシントンとの最初の自由貿易協定を結ぶために動いている。
オバマは北京に対して「エンゲージとヘッジ」戦略に基づいて行動した。つまり、重要な課題については中国に協力するが、中国共産党が米国の利益に反する決断をする場合は、制止するということだ。専門家はバイデン陣営に同様の「競争するがヘッジする(安全策を取る・制限を設ける)」戦略を予測しているが、新しい大国間の競争時代を認識するにはほとんど効果がないとしている。
「彼らがバンパーに貼る標語のアイディアの全体像は、中国との共存だ。我々が備える必要があるのは、中国が誠実にそれに取り組むことはないということだ」と語ったのは、アメリカ外交政策評議会のインド太平洋専門家である、マイケル・ソボリクだ。
台湾は、米国産業の中国からのオフショアリングを支える主役となっており、中国共産党に対抗する取り組みにおける重要な同盟国だ。この同盟を破棄することは、世界の民主主義の未来に対する困難の前兆となる恐れがある、と専門家は警告した。北京は台湾侵略のための能力を向上させ続けている。政権はすでに、島国を急襲することを見越して軍事演習を実施している。
ソボリクは、選りすぐり戦略が中国の影響力に対抗する重要な米国の同盟国を効果的に弱体化させる、と本紙に述べた。専門家は、バイデンの台湾政策は、他の2つの重要な分野とも緊張関係にある。つまり、台湾防衛の用意と、同盟・協力国との提携だ。
「中国共産党は、憲法修正第1条の行使に対する実存的脅威だ。米国民は、我々の国で言論の自由を脅かしているのと同じ政権が、アジアの仲間の民主主義国の政治的存続も脅かしていることを理解する必要がある。それは米国を断固として支持する民主主義国だ」とソボリクは語った。
同盟・協力国も台湾からの方向転換で損害を被ることになる、と専門家は本紙に述べた。チェコ共和国から日本にいたるまで、同盟国は、ワシントンが主導する取り組みが増す中、台湾―北京に屈しようとしない民主主義国の仲間―に対する公の申し出を大幅に増加させてきた。バイデン政権が誕生してそうした支持から引き返すなら、「民主主義国が存続できるのかどうか、あるいは中国から強制的な、または軍事的な圧力を受けることになるのか」に関して疑問を提起する、とクーパーは語った。
バイデンの中国・台湾に対する過去のアプローチは、選挙遊説で提示したメッセージと食い違っている。台湾からの撤退は、バイデンの外交政策綱領の主要な政策である、同盟・協力国との関係改善に反する、とカラファノは本紙に語った。
「彼らは同盟国ともっと協力したいと言い、トランプが行ったことと全て逆のことを行いたいと言う。そうした発言は論理的に矛盾している。現実として、我々はアジアの同盟国との協力関係が良くなっており、同盟国の台湾に対する関与は増している。この政権が行った多くの関与に背を向ければ、実際同盟国をうんざりさせることになる」と彼は警告した。
バイデン政権になれば、台湾を地域のあまり重要でない問題と見なす可能性があるが、専門家は危険性が最高潮に達していることを明らかにした。中国は長い間、島に対する主権を主張しているが、バイデンのアドバイザーは過去に、中国が歴史的に引き起こして来た台湾に対する脅威を軽視するコメントを出している。
「現在我々が行う必要があるのは、すべての側、とりわけ北京に忍耐を促すことだ」とバイデンのアドバイザーであるカート・キャンベルは2001年のインタビューで語った。キャンベルは、毛沢東が台湾との外交に関して「類まれな忍耐」をしていたと持述べた。
しかし毛沢東は、1954年と1958年に台湾に対して軍事行動を起こすことを選択した指導者でもあった。1958年の紛争中―危うく世界的な核危機を起こしかけた―、毛沢東は当時のソ連のアンドレイ・グロムイコ外相に、中国は中国内部に撤退することでワシントンとの核戦争に持ちこたえることができると考えていると述べた。ソ連でさえ、毛沢東の台湾奪還に向けた果てしない敵意に驚いていた。
中国の習近平主席は、台湾の獲得の決意において毛沢東とほとんど区別できない。先週習は、中国の海兵隊に戦争に備えるようにと語った。
「全身全霊を掛けて戦争に向けて準備せよ。完全な忠誠心を持ち、完全に純粋に、完全に信頼できるようにせよ」と習は、中国の兵士に語った。