<引用元:マイアミ・ヘラルド 2019.12.21>
ドナルド・トランプ大統領は21日、1時間にわたるスピーチでフロリダ南部での冬期休暇の幕を開けた。それは新北米貿易協定に署名し、政府閉鎖を回避し、弾劾された歴代3番目の米国大統領となっったそれまでのワシントンでの72時間同様に突飛なものだった。
トランプはウェスト・パームビーチのターニングポイントUSA保守青年会議に参加している数百名の学生の前に現れたが、ウクライナ大統領に圧力をかけてジョー・バイデン元副大統領の捜査を行わせようとすることで権力を乱用した疑いに基づく18日の米下院での弾劾に関しては、意外にもほとんど触れなかった。
その代わりトランプは、今回の記録的な防衛予算を大いに宣伝し、自身の選挙公約の1つを実現するメキシコ・カナダとの新貿易協定を称賛した。そして風車に関して脱線してから、高校と大学の学生たち数百人の聴衆に、過去の社会主義を共産主義――トランプははっきり口にしようとしなかったが――へと転換しているリベラル運動を彼らが寄せ付けないようにしていると述べて鼓舞した。
「我々の前の愛国者の世代が働かず、戦わず、犠牲にならなかったので、我々は国を怒り狂う左翼の暴徒に明け渡してしまう恐れがある」とトランプは聴衆に語った。
2020年大統領選を念頭に置いたのか、トランプは大部分を原稿通りに話した。
トランプは米国の低い失業率、高騰する株式市場、そして20日にエアフォース・ワンでワシントンからパームビーチ国際空港へと向かう中で署名して成立させた米国・メキシコ・カナダ貿易協定に焦点を絞った。また先週成立して再度の政府閉鎖を回避した超党派の予算案についても褒めたたえた。
「我々は共和国を救っている。だがまだやるべきことは多い。次の選挙に勝たなければならない」とトランプは語った。
トランプは新たにフロリダ住民として、今後2週間をパームビーチのマー・ア・ラゴの保養所で過ごすことになっているが、ホワイトハウス元高官、共和党議員、極右評論家が主役の会議で演説した。20日にトランプを紹介したのは保守派のメディア著名人であるラッシュ・リンボーで、彼はコメントの中の20秒で「気候変動は作り話だ」と宣言した。
「どうかそれを信じないでください」とトランプのパームビーチの隣人であるリンボーが話すと、聴衆から大きな歓声が起こった。
トランプは自身の演説中に米国のエネルギーを独立させようという政権の取り組みを大きく宣伝した。国内の海域での石油と天然ガスの採掘を拡大しようという取り組みに依存する計画のことだ。また「グリーン・ニューディール」として知られる、民主党が提案している全面的な環境問題解決策を嘲ってから、時折強い関心を見せる風車について深く掘り下げ、カリフォルニアの白頭ワシがそのせいで死に、製造中には有毒ガスが出ると述べた。
だがトランプは自身の政権が環境をきれいにしたと述べた。
「環境の数値は以前より良くなっている。私は地球上で最もきれいな水を望んでいる。あらゆる場所で最もきれいな空気を望んでいる」とトランプは語った。
トランプは弾劾を取り巻く論争に関してある程度時間を割いた。
聴衆の中から「ハンターはどこだ?」と大声が上がると、風車から「不誠実な報道」の問題に話題を移した。
次にトランプは、ウクライナで2015年に検察官を解任させることで「見返り」を企てたのは、自分ではなくバイデンだと主張した。当時ハンター・バイデンを役員に迎えたエネルギー企業に対する捜査が休止状態になった。
それからFBI――トランプ・ロシア捜査に関連する令状取得のために秘密裁判所にいいかげんな証拠を提出したとして最近司法省から批判を受けた――が自身の選挙陣営を「スパイ」したとして非難した。それから2016年大統領選挙に干渉しようというロシアの取り組みと自身の選挙陣営とのつながりに対する2年間のFBI捜査は、民主党の「でっち上げ」だと主張した。
司法省の報告書は、FBIを激しく批判しながら、FBIがトランプ陣営を違法にスパイしたとは断言していない。
「この人たちは狂ってしまった。彼らはロシアの作り話をでっち上げた。米国民に対する過去最大の嘘だ」とトランプは語り、ナンシー・ペロシ下院議長の下で民主党は今2020年大統領選挙を「妨害」しようとしていると警告した。「彼らはこの国を破壊しようとしている」
またトランプは、民主党がワシントンの支配権を取り戻せば国境を解放し言論の自由を無効にするディストピアの未来が待っていると警告した。トランプはこれまで積極的に民主党に社会主義者というレッテルを張ってきたが、演説の中で共産主義者とレッテル貼りすることを思わせぶりに示した。
「私はいわないでおく。リツイートしよう」とトランプは話した。
だがトランプは融和的な言葉で演説を締めくくろうとした。2人の学生をステージに上がらせて左翼抗議者の扇動に会った経験について話した後、二期目を勝利したら国を1つにまとめられることに期待していると述べた。
そして、ペロシが弾劾手続きを共和党が多数を占める上院に送るのを遅らせ今後が不確かな状況にあるものの、議会が20日に休日のために休会になるまでの最後の数日は、トランプにとって論争や悪い知らせばかりではなかった。
最近の世論調査では大統領辞任に対する支持は減り、大統領の支持率は上昇した。また20日の演説は、トランプが米国の未来の指導者だと断言した聴衆の前で行われたが、何と戦っているかよりも何をなしたかに重点が置かれていた。
「君たちはエリートだ。過激な左派は米国を第1に置く保守派の若者に対抗できる見込みはない」とトランプは語った。