<引用元:デイリー・シグナル 2019.8.6>
(シドニー)米豪同盟は「かつてないほどに不可欠」とマイク・ポンペオ国務長官は述べ、中国がインド太平洋地域で影響力を拡大しようとする中、安全保障の課題の新時代に取り組むために2国間のより大きな協力を呼び掛けた。
4日シドニーで、ポンペオは南シナ海での中国の領海権の主張と不公正な貿易慣行を非難し、こうした今まさに起こっている緊張を「壊すことのできない」米豪同盟の世代間の試練と表現した。
「私は豪州がいつでも米国に頼ることができるということを知って欲しい」とポンペオは話し、米国は太平洋の勢力として「定着している」と続けた。
2つの世界大戦と冷戦で一緒に戦った歴史を共有する2国の関係を例に取り、ポンペオはこう続けた。「両国はどちらも、たとえ何年もの大変な働きと断固とした努力を要したとしても、責任から身を引いたことはない」
ポンペオは、年次の豪米外相 · 国防相による閣僚協議の後で記者団に語った。協議には米国のマーク・エスパー国防長官も加わり、豪のマライズ・ペイン外務大臣とリンダ・レイノルズ国防大臣と協議していた。
米国側は遠慮のない言葉で、中国に関して著しく強硬に出た。
「我々はインド太平洋を一国が支配できるものでもなく、そうすべきでもないと確信している」と7月23日に正式に就任したエスパーは話した。「我々は中国からの分散したパターンの攻撃的行動、攪乱的行動に断固として立ち向かう。米国は、どんな国であってもある国が、他社を犠牲にして自己の都合に合わせて地域を再形成しようとする間に、何もせずに待機することはない」
4日の協議は米中間で貿易摩擦が悪化する中で行われた。
1日にドナルド・トランプ大統領は、すでに実施中の中国からの輸入2500億ドルに対する25パーセントの関税に追加して、3000億ドルの中国製品に10パーセントの関税を新たに課すことを発表した。
シドニー中央のニューサウスウェールズ州立図書館で4日に行われた別のイベントで、ポンペオは中国政府の融資手続きを指摘し、「政治的支配」を目的に小国に壊滅的な影響を与える負債を課していることが多いと述べた。
国務長官はまた、中国の景気拡大とインド太平洋中の軍事的足跡拡大との間の直接的な関連を示した。
「人々は国家安全保障とは別のものとして、貿易と経済の問題に関する話をするだろう。間違いなく、中国の能力、やっていることをそのごとく行うための人民解放軍の能力は、彼らが築いた貿易関係の直接の結果だ」
ポンペオは、豪州が中国の虚偽情報を広めるキャンペーンと選挙干渉を阻止しようと取り組んでいることだけでなく、中国の5Gネットワーク――ヨーロッパの同盟国の一部との根強い争いのもと――に積極的に反対していることを続けて称賛した。
5日に米国は中国を為替操作国に認定し、貿易緊張がさらに高まった。
綱渡り
中国は南シナ海で、ベトナムとフィリピンとの海洋での対立が最近相次いでいたが、中国政府が天然の環礁を前哨基地に転換し始めてから、その水域での航行の自由について継続する論争がエスカレートしている。
しかし中国の東南アジアでの軍事的足跡の拡大は、南シナ海に限ったことではない。最近の報道では、カンボジアが国内に中国の秘密の基地を隠れて提供しているという主張があった。また中国とロシアの戦闘機が最近、日本海で合同演習を実施した。
(略)
先週の中距離核戦力全廃条約からの離脱で、米国はインド太平洋地域に地上の中距離ミサイルを配備する可能性を示した。――地域での中国の増大する軍事的足跡に対抗する取り組みの一環だ。
「我々は米国の友人とは一貫してパートナーである・・・・が、常に豪州の国益において我々自身の判断を下す」と豪州のペイン外務大臣は、州立図書館でのポンペオの演説後の質疑の中で述べた。
4日、ポンペオもエスパーも豪州での米国のミサイル(配備)という可能性を除外しなかった。だがポンペオは、領土内に米国の軍隊や軍の設備を配備することについて外国がそれ自体で決定する主権を支持した。
「いうまでもなく、我々がこうしたシステムを友好国や同盟国と共に配備する場合、彼らの同意を得て実行する」とポンペオは述べた。
中国は豪州の主要な貿易パートナーであり、ある方面からは中国政府と不仲になることで経済的に大きな打撃を受けることに懸念も上がっている。
ポンペオは自らの考えとして、中国の経済的揺さぶりを受け流し、他の分野で中国政府に抵抗しようという米国主導の取り組みに全力で取り組むよう豪州に強く促した。
「大豆のために魂を売ることもできれば、国民を守ることもできる」とポンペオは述べた。