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バイロン・ヨーク:トランプの国境取引は「グラスに4分の1」の状態

投稿日:2019年2月16日

<引用元:ワシントン・エグザミナー 2019.2.15>バイロン・ヨーク氏による論説

「グラスにまだ半分あると考えるタイプ」と言えば、例え現実は複雑でも、あらゆる状況のプラス面を見ようとする人物という意味だ。議会が成立させた国境安全と予算案の場合、トランプ大統領が国境の障壁の予算として議会に求めた57億ドルのうち、わずか13億7500万ドルしか勝ち取れなかったことを考慮すると、政権側の観点からすれば、グラスにまだ半分あるという結果だと呼ぶのは困難だろう。その一方で、トランプは大きな成果を上げて交渉を切り抜けた。――国家非常事態宣言を検討する前であってもだ。

トランプが今後数カ月を思慮深く動くなら、大統領に取ってグラスの4分の1、ことによるとそれ以上まだ残っている。

注目すべきプラスの1つ目は、ともかく大統領は障壁のために得たものがある、ということだ。民主党の立場は、ナンシー・ペロシ下院議長が繰り返し示していたが、トランプは障壁のために何も得ることはない、というものだったことを思い出して欲しい。――民主党は文字通り「何もない」という意味で言っていた。大統領が政府閉鎖を終わらせるための手段で得た結果が、まさしくそれだった。周知のとおりだが、ペロシはトランプの壁の提案を「不道徳」と断言した。だが最終的に、下院民主党は――ペロシも含む300票で――、大統領の提案した障壁を55マイル分建設するのに十分な予算を承認した。

つまり、障壁のために何も提供しないと誓った後で、ペロシは今55マイル分の不道徳を承認したのだ。

確かに大統領が求めたものではなかったが、政権がすでに新しい障壁に交換しつつある、およそ125マイルの不十分で壊れかけた古いフェンスと合わせると、国境の安全策にとっては最終的にはプラスである。

それから国家非常事態がある。トランプの行動を単に非常事態宣言と呼ぶのは、実際語弊がある。実際に大統領は、障壁建設のための追加予算を利用するために3つの異なる方法を提案したが、その中で非常事態宣言を必要とするのは1つだけだ。次の大部分は、共和党のマイク・リー上院議員のコミュニケーション・ディレクターであるコーン・キャロルが、トランプの行動をツイッター上で説明した内容から引用したものだ。

まず、キャロルが指摘しているように、ホワイトハウスは「非常事態宣言を必要としない、財務省の没収資金から6億100万ドルの資金を供給すると発表」した。この資金は、麻薬カルテルや他の犯罪活動の起訴によって没収された資金を含むものだ。議会は、その資金が移民税関捜査局(ICE)と税関国境警備局に渡るよう明確に指示した。ともかく、ホワイトハウスは、その資金の利用に外部の承認や非常事態宣言は必要ないと考えている。

2つ目に、キャロルが気付いたように、ホワイトハウスは、「麻薬密売と戦うために(軍建設資金から)壁の建設費として25億ドルの資金を供給すると発表」した。

3つの資金を合わせると――議会が承認した13億7500万ドル、没収資金からの6億100万ドル、軍建設資金からの25億ドル――障壁建設のために合計で44億7千万ドルとなる。キャロルは、ホワイトハウスがその資金を順次使う計画だと指摘しており、まず充当された予算、それから非常事態宣言なしに利用できる資金を使用するということだ。それによって新しい障壁を相当建設することができるだろう。

一方で、その建設が進む中、政権は裁判所で非常事態宣言の訴訟を行うことになる。大統領が法廷闘争に勝てば、宣言によってホワイトハウスは、非常事態宣言を実際必要とする軍建設資金で36億ドルを使用する計画を立てることができる。

少なくともそれが計画だ。民主党議員が、国家非常事態宣言だけでなく、非常事態宣言を必要としないとホワイトハウスが主張する予算も止めようとするのは間違いない。いつものことだが、それがどうやってうまく収まるかを正確に予測することは不可能だ

だが大統領は、議会が障壁建設のため明確に割り当てた13億7500万ドルから始める。これはいつでも使用できる本当の予算だ。また障壁建設のための資金に加えて、予算は国家非常事態にも有利だ。トランプは、議会が明白に禁止した行為に着手するために国家非常事態を宣言しているのではない。実のところ大統領は、新法案に議会が盛り込んだより以上の金額を望んでいるとしても、議会が明確に承認した――障壁を建設するという――ことを実行しようとしているわけだ。

バークレーの法学教授でブッシュ政権元司法省高官のジョン・ユーは、最近書いた論文で、議会決議をトランプの非常事態宣言と、ハリー・トルーマン大統領が提案した鉄工所の押収を裁判所が差し止めた、最高裁の有名なヤングスタウン判決との違いとして次のように指摘した。

ヤングスタウンと違い、ここでは議会と大統領の間に直接の不一致はない。議会は大統領に国境保護のための手段を講じる権限を与えない法律を成立させていない。それどころか、実際議会は2006年に、超党派多数によって壁建設を認める法律を成立させた。デームズとムーア対リーガン裁判(1981年)では、例えば経済制裁を課す権限のように、議会が外交分野で広く一般的な権限を行政機関に委任する場合、大統領がその権限を行使するのを排除するものとして、より限定された関連する権限を許可するのを議会が怠ったと解釈することはない、と判決を下した。その代わりに、非常事態の際には、議会の沈黙を大統領の主導権に対する黙諾として扱うものとした。それがまさに今回の件に当てはまる。つまり議会は壁と国境での他の安全策を承認し、そのような壁を禁止する法律を成立させておらず、また大統領は壁の建設を継続するための委任権を行使した。

他の法律専門家も、全くトランプのファンではないが、大統領の側に確固とした論拠があると述べている

現在、これまでの大統領とトランプ自身によって宣言された、31の議論の対象となっていない国家非常事態が有効になっている。今大統領はもう1つの非常事態を宣言している。それはこれまでの行動と根本的に異なっているのだろうか?議会から明確に禁止されているのか?そうした疑問は裁判で解決することになる。だが今のところ、トランプは建設開始のための予算を手にした。――ナンシー・ペロシが絶対にトランプに渡さないと語った予算を。

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