<引用元:ザ・ヒル 2019.1.2>ジョン・ソロモン氏による寄稿
世間への沈黙が耳に痛いほどである場合もあるし、さらにいえば誤解を招くこともある。
もう約2年に亘って、情報機関はロシア共謀疑惑に関する秘密の証拠を保持してきた。疑惑は、退役陸軍中将でトランプの元国家安全保障担当補佐官のマイケル・フリンの人物像を、ロシアのカモとして直接貶めるものだ。
フリンがモスクワによって(脅迫の)危険にさらされた可能性がある、とサリー・イェーツ元司法長官代理が公に主張した時も、その沈黙は維持された。
また、民主党ミネソタ州のアル・フランケン上院議員が、国防情報局(DIA)元長官(フリン)は「この国に危機を」引き起こしたと示唆した時も。
また、複数の報道機関が、フリンのロシアとの接触が反逆であるかどうかについて意見を表した時でさえ。
国防総省は、上院司法委員会のチャック・グラスリー委員長(共和、アイオワ)に機密の状況説明を実際行っていたが、3カ月後、その説明情報の一部を公開することを求めた同上院議員の熱烈な嘆願は拒否された。
グラスリーは2017年8月、こう記していた。
「この情報を公開することで、国家安全保障に継続して危険を引き起こすことはないと思われる。その上、機密解除は公衆の利益となり、フリン中将に対する公正の利益にかなうものだ」消息筋によると、グラスリーが要求した情報が公表されていたら、アメリカは以下のことを知ることになったはずだ。
- フリンが ―退役将校およびドナルド・トランプの大統領選挙アドバイザーとして― 2015年12月にモスクワを訪問する前、彼は自身が在籍していたDIAに注意を喚起した。
- フリンはそれから、ロシア・トゥデイ(RT)の夕食会でウラジミール・プーチンと同席する前、またロシア大使のセルゲイ・キスリャクとの会談前、「防御的」または「保護的」状況説明会に参加した。
- 説明会ではフリンを教育して、ロシアの主催者が元防衛高官を侵害しようとする可能性に対して神経をとがらせるようにし、DIAのようなアメリカの政府機関の情報を聞き出す可能性のある会話に向けた心構えを持たせた。
- フリンはモスクワから帰国した時、モスクワでの接触で知ったことについて、時間を割いて情報局員に状況説明を行った。消息筋によると、2名から9名の情報局員が、RTのイベントについてのフリンとの様々な会議に参加したが、その情報は適度に有益であり、公開イベントから予想できる内容だった。
DIA報道官のジェームズ・クドラは2日、フリンに関するコメントを拒否した。
まるで反逆罪のような外交的不手際というより、RTのイベントでのフリンの行為は、アメリカの情報機関に対して幾分かの利益をもたらすものだった。多くの元軍人や元情報局員が、機密取り扱い権限を保持して、退役後も国に提供し続けているものと同じだ。
ロシア共謀の話が始まり、フリンがアメリカの安全を危険にさらす任務を負って、モスクワ訪問時にこの偉大な国を危険にさらしたのではないかと、メディアが逆上に駆られて示唆した時点にまで、何カ月も巻き戻すことが重要だ。
ロシアによる選挙乗っ取り計画の中心人物が、自ら前もって訪問を公開するだろうか?またその後、外国の主催者によって弱みを握られるのを避ける方法についての説明を、最後まで聴くだろうか。またそれから、アメリカに帰国して、誰と会って何を見たかについてアメリカの情報局員に報告するするだろうか?
また、元中将が本当に国家安全保障を危険にさらしていたなら、検察官は懲役刑をほとんど科さないか、全く科さないことを推奨するだろうか?
全くありそうにない話だ。
フリンの行動に対する当初の描写と実際に起こった事実との差異。それが、ロバート・モラー特別カウンセルの下で働く検察官が、先月の中断された判決手続きで、フリンが国家反逆に従事した可能性があるという判事の示唆をあからさまに退けた理由の1つだ。
フリンが犯した過ちを取り繕うことはできない。自身が認めたように、当時駐米ロシア大使だったキスリャクとの2016年12月の会話に、制裁の話が出たという事実について、FBIとマイク・ペンス副大統領を欺いた。トルコの出元から受け取った金銭に対する正式な外国ロビーの書類を提出しなかった。また、RTのイベントで受け取った講演料と旅費の45,000ドルに対して、公表または許可を求める正式な書類を提出しなかったようだ。
それらはフリンが心から報いを受けた、そしてこれから報いを受ける罪だ。
だが今、「ロシア共謀」の話を持ち上げる多くの人たちが、トランプ陣営とモスクワの間の陰謀の始まりとして挙げる出来事が、実はまったく違ったものだったという十分な証拠がある。
フリンがRTのイベントに参加することは、情報機関に前もって公開され、彼は出席者への情報漏洩を回避するために先を見越した措置を講じ、その後アメリカに帰国すると国益をもたらすよう意図された情報を報告した。
フリンは、RTのイベントに関連するいかなる不正についても、嫌疑をかけられていなかった。よってイベント前後の行動に関して後に暴露された新事実は、裁判所での判決にいかなる影響を与えることもない。だが世論という裁きの場では紛れもない影響がある。
そういう点から、ロシアとフリンの疑惑の最初の説明は ―未だに立証されない共謀疑惑についての多くのものと同様―、元中将がRTイベントのためにモスクワを訪問した際に、反逆者ではなく愛国者として行動したことを反映して、修正されるべきだ。