<引用元:ワシントン・エグザミナー 2018.12.5>バイロン・ヨーク氏による論説
マイケル・フリンは1年以上判決を待っている。元陸軍中将であるフリン氏は、トランプのホワイトハウスで国家安全保障問題担当補佐官として24日間務め、トランプ・ロシア疑惑捜査でFBIに虚偽供述をしたことについて、2017年12月1日に有罪を認めた。彼はロバート・モラー特別カウンセルに協力することに同意していた。
フリンの判決は、理由を公表されることなく何度も延期されていたが、ついに12月18に実施されることが予定されている。4日の遅い時間、モラーは判決レポートと呼ばれるものを提出した。モラーは、捜査に対するフリンの「相当な支援」に言及し、「懲役を課すことのない刑罰を含めて、指針の範囲で最低の刑罰」を推奨した。
フリンが投獄を免れたとしても驚くことではない。これまでに、トランプ・ロシアの件では2人の人物が、フリンと同じ罪である捜査官に対する虚偽供述の判決を受けている。アレックス・ファン・デル・ズワーンというポール・マナフォートとつながりのある端役は、30日間の懲役刑を受けた。トランプ陣営で短い期間外交アドバイザーを務めたジョージ・パパドポロスは、14日間の懲役刑を受けたが、それはパパドポロスが捜査に協力しているとされていた時に、彼が協力的でなかったとモラーが不満を漏らしてからのことだった。
一方フリンは、米国に長く尽くしてきた経歴を持つ退役将校であり、モラーは懲役なしを推奨するのにそれを考慮に入れた。モラーはこう書いた。
「被告の軍隊と公職での経歴は、(特別カウンセルの)捜査の一環として起訴された他の者とは一線を画すものである」判決勧告書が取り上げなかったのは、フリン捜査の怪しげな始まりのことだった。それは、次期国家安全保障問題担当補佐官としての移行期間中、フリンが当時のロシア駐米大使であるセルゲイ・キスリャクと電話で会話したことを、オバマ政権が快く思わなかったことに端を発していた。キスリャクは米国の監視下にあったため、米国の情報機関と法執行機関は電話の会話を記録していた。その中でフリンとキスリャクは、オバマが2016年の選挙干渉に対する報復としてロシアに課した制裁について話し合っていた。
次期国家安全保障担当補佐官が、移行期間中に外国の大使と話をすることには何の問題もない。制裁について話すことは何も問題ない。だが、オバマ司法省の高官は、フリンがローガン法に違反した可能性があると判断した。それは218年前に作られた法律であり、これまで誰も起訴されたものはいないが、民間人が外国政府と係争中に米国の代表として行動することを禁じている。
またオバマ政権高官は、フリンがマイク・ペンス副大統領との会話の中で、制裁について話し合ったことを否定したという報道に懸念を示した。高官はこれによって、何らかの形でフリンがロシアの脅迫に晒される可能性があったのではないかと感じた。
そこでオバマが任命した司法省幹部は、ホワイトハウスにFBI捜査官を送ってフリンの事情聴取を行い、最終的にフリンはその聴取で虚偽供述したことで起訴された。
FBIはもともとフリンが嘘を言っているとは考えなかった。トランプ・ロシア疑惑に対する捜査についての委員会の報告書によると、2017年3月、当時のFBI長官ジェームズ・コミーの下院情報委員会に対する答えは次のようなものだった。フリンに尋問した2人のFBI捜査官は、聴取中に「何のごまかしも見いだせなかった」のであり、「嘘をついていると(フリンが)分かっていることを示すものは何も見いだせなかった」というのだ。コミーは上院司法委員会に対して、基本的に同じことを答えており、チャック・グラスリー委員長の説明では、「司法省は聴取での虚偽供述のために(フリンを)起訴することはないだろうと・・・我々が信じるよう促すものだった」。
FBIのナンバー2、アンドリュー・マッケイブは下院に同じことを話した。「(フリンを)聴取した2人は彼が嘘を言っているとは思っておらず、虚偽供述事件のきっかけとしては重大なものではなかった」とマッケイブは情報委員会に対して語った。
後になって、コミーが解任されてモラーが捜査を始めてからのことだが、フリンは虚偽供述で訴えられた。最終的に彼は有罪を認めた。
モラーの判決勧告書は、フリンがローガン法に違反した疑いについて明確に触れている。オバマ政権司法省が言っていた脅迫のことについては何も触れていない。
共和党議員は長い間、フリンの事件について懐疑的だった。だが彼らは、何が起きたかを教えてくれる可能性のある重要な文書と証言の一部を入手することができなかった。
下院捜査チームは今週、7日にコミーが司法委員会と監視委員会のメンバーとの非公開の聴聞会に出席する際に、さらに知る機会がある。
議員は終了後一両日中に、聴取の記録を公開すると約束している。それによって国民は、フリンの事件についてもっと完全な全体像を、ひょっとしたら知ることができるかもしれない。捜査チームはコミーに、フリンの聴取を行った捜査官が、彼の回答と態度をどのように特徴づけていたのかを明確に尋ねることができるだろう。フリンが起訴されることになると、コミーが考えていたのかどうか尋ねることもできる。フリンが実際に嘘を言ったと示すどんな証拠をコミーが見出していたのか尋ねることもできる。また、コミーが、捜査官が聴取について説明するために書いた報告書、いわゆる302を見たのか尋ねることができるだろう。
議会はずっと以前から、司法省に302と他の文書の引き渡しを求めて来た。これまで、その答えはノーだった。だがまもなくフリンの事件は完全に終わることになる。おそらくその時、国民はついにアメリカ合衆国対マイケル・T・フリンで本当に何が行われていたかを知ることになるだろう。