<引用元:ニューヨーク・ポスト 2018.9.20>ジョナサン・S・トービン氏寄稿
トランプ政権はイランに対する新制裁から3カ月で、石油価格を著しく上昇させることなくイランの石油輸出に打撃を与えることに成功している
トランプ大統領が5月にイラン核合意から米国を離脱させた時、外交エスタブリッシュメントは全員一致で反対した。
彼らの落胆はバラク・オバマの遺産に対する忠誠心とトランプに対する個人的な軽蔑に根差していた。だが批判者の指摘には、イランの石油輸出に対して米国が制裁を再び科すことに警告を発する中、反論できないと思われる点が少なくとも1つあった。
ロシアと中国がイランとの取引を継続するというだけでなく、ヨーロッパの同盟国の利益のために、トランプの一方的な動きは必ず失敗するだろうというものだ。だが万が一うまくいっても、米国の消費者はガソリンスタンドで深刻な石油の値上げを実感することになる、と専門家は確信していた。
しかし専門家は間違っていた。ブルームバーグ・ニュースの報道によると、ニューヨーク・タイムズも同調しているが、新しい制裁を加えて3カ月で ―またトランプ政権が、米国の同盟国に影響するイランとの取引に対するさらに広範囲にわたって制限しようとするまで2カ月を切った中で―、石油価格を著しく上昇させることなくイランの石油輸出に打撃を与えることに成功していると伝えている。
イランの外貨の主要供給減は枯渇しつつあり、米国が目につくほどガソリン代に支払う必要なしに、不人気な独裁政権に対する圧力が徐々に高まっている。
どうやってそれが可能になるのか?
(略)
オバマ政権が指針にしていた2つの仮定は重大な間違いだった。
1つ目の仮定は、イランの核に対する野心、弾道ミサイル開発、また世界のテロリズムの主要スポンサー国としての役割を制限する唯一の方法は、ロシアと中国はもちろん米国の同盟国と協力することだというものだった。オバマとジョン・ケリー元国務長官は、米国が勝手に行動を取っても何も成し遂げられないと確信し、米国の政策について拒否権を発動するために、各国がイランとの貿易をやめるよりも行うことに大きな利益を得られるようにした。
もう1つの仮定は、国際的な制裁を加えてもイランは強すぎるので屈しないというものだった。つまりオバマとケリーは、西側にとっての唯一の選択肢は戦争か宥和政策のどちらかだと見ていた。
そこで彼らは核の問題をミサイルやテロリズムと結び付けようとすることを諦めて、最終的には交渉で譲歩に譲歩を重ね、西側が最悪の取引を受け入れる中でイランが求めるものをほとんど全て与えるという形で終わった。
だがトランプの新しい外交チームの対イラン強硬派 ―マイク・ポンペオ国務長官とジョン・ボルトン国家安全保障補佐官― は、核合意を廃止しないよう大統領に強く要求していた「大人たち」よりも事態をよく理解していることが分かった。意志薄弱な同盟国に米国の政策を決定させるのではなく、トランプは宥和政策推進者に何をすべきか伝え、米国経済の力によって定着させることができるのだと悟った。
世界を石油であふれさせることになったエネルギー市場での転換 ―米国が今では外国の産油国に依存するのではなく正味の輸出国となっているという事実も含めて― は、イランの西側に対する影響力が少ないということも意味している。
(以下略)
ジョナサン・S・トービン氏はJNS.orgのチーフであり、ナショナル・レビューの寄稿者