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2016トランプタワー会談はロシアとクリントンの罠だったという可能性がますます濃厚に

投稿日:2018年8月15日

<引用元:RealClearInvestigations 2018.8.13>by リー・スミス

共和党大統領選挙陣営の幹部と、ロシア政府とつながりを持つロシア人弁護士との間で2016年6月に行われたトランプタワーでの会談は、依然としてドナルド・トランプが選挙を乗っ取るためにロシアと共謀したという主張の土台となっている。

ところが多数の増え続ける証拠が示すのは、会談が罠であったという可能性である。つまりはトランプ陣営を傷つけるための大掛かりな取り組みの一環ということであり、そこにはロシア政府と繋がる人物に雇われたヒラリー・クリントンの工作員と司法省の職員が関わっている。この見方は、言うなれば本当の共謀が行われたのは会談に参加したトランプ関係者というよりも、それをお膳立てした者たちの間であったのではないかという話であり、2つの全く異なる系統の証拠をここで初めてまとめ上げることによって裏付けられるものだ。即ち新しく公開された記録と、トランプ陣営とロシアを結び付けようとする試みのパターンのことだ。

1つ目の系統の証拠は、最近司法省が議会に引き渡した電子メール、携帯メール、そしてメモだ。これらによって明らかになったのは、司法省高官と連邦捜査局がフュージョンGPSの雇用者と緊密に協力し合っていたということだ。フュージョンGPSはワシントンに拠点を置く調査会社であり、報道によればトランプ陣営のスキャンダルを探るためにクリントン配下の人物から100万ドル(約1億1千万円)で雇われていたという。

それによって、当時次官代理という司法省で4番目に位置する立場にあったブルース・オーが、フュージョンGPS創設者のグレン・シンプソンと選挙中と選挙後に協力し合っていたことが判明している。シンプソンはクリントン陣営とロシア人の仕事をしており、元英国スパイのクリストファー・スティールはシンプソンが雇った。

それらの電子メールでは、話し合いのテーマは明らかになっているが詳細までは分かっていない。が、2人の経営者がその中心である。それはドナルド・トランプとオレグ・デリパスカというウラジミール・プーチンに近いロシアのアルミ産業の有力者だ。スティールは特にデリパスカの米国ビザに関する問題の解決に関心を持っていた。デリパスカのビザは2006年に組織犯罪とのつながりの疑いのために失効になっていた。この話に重なり合うもう1つのしるしとして、ロバート・モラー特別カウンセル(検察官)が2009年にFBIを率いていた時、捜査局は元FBI捜査官のロバート・レビンソンの居場所を探すのを手助けするために、デリパスカに数百万ドルを寄付するよう求めていた件がある。レビンソンは2007年にCIAの仕事をしている時にイランで拘束された。今も行方不明のままだ。

オー、スティール、シンプソンのやり取りには、トランプのロシアとのつながりについて、元英国スパイがフュージョンGPSのために行っていた活動に関する言及があるようだ。選挙の数カ月前、スティールはオーに「相互利益の仕事で」もうすぐワシントンに行くことになると伝えていた。

司法省高官の妻、ネリー・オーがフュージョンGPSに雇われたという事実によって、親密な関係は強化されていた。

スティールがマスコミに漏らしたことが2016年10月31日の記事になったためにFBIに解雇されると、ブルース・オーはトランプ陣営に関するフュージョンGPSの調査結果を直接FBIに中継する役割を引き継いだ

彼らの努力を結集した頂点である、トランプとロシアの未確認のつながりについての35ページの文書は、トランプ陣営をスパイするための令状を確保するためにFBIによって利用された。RealClearInvestigationsは司法省にコメントを求めたが回答はなかった。グレン・シンプソンの弁護士、ジョシュア・レビーも同様だった。

トランプタワーの会談を見直す2つ目の系統の証拠――オー、スティール、シンプソンのやり取りの後――は、RealClearInvestigationsが6月に最初に報道していたものだ。それによると、FBIの秘密の情報提供者と他の西側情報機関とクリントン陣営関係者は、2016年3月を皮切りに、クリントンについての不利な情報を約束すると言ってトランプ陣営に接近していた。トランプタワーでの会談は、トランプ陣営がライバルの不利な情報を受け取ることに乗り気であることを実に示したことから、このようなアプローチの中では最も成功したものとなったと言える。

これらの2系統の証拠――司法省がクリントンの雇った調査会社に協力していたことと、トランプ陣営をロシアに結び付けようとした試み――は2016年6月9日にマンハッタンのミッドタウン、トランプタワーで同時に生まれたものだ。

全ての中心にいたのがフュージョンGPSだった。彼らには2つのクライアントがいたが、トランプタワーでの会談は両者の利益に適ったものだった。そのクライアントとはロシア人とクリントン陣営だ。

会談からは何ら黒い陰謀の証拠が出ることはなかったが、明らかにその見掛けで十分だった。昨年の上院での宣誓証言でシンプソンは、会談はフュージョンGPSの契約者であったスティールがまとめた報告書における、重要な主張の1つを裏付けるものだと主張した。「トランプと側近たちはロシア政府から定期的に情報を受けており、それには民主党やその他の政敵に関するものが含まれている」というものだ。

にもかかわらずシンプソンは、ドナルド・トランプ・ジュニアとその他の人々の会談については、昨年報道されるまでは全く何も知らないとも証言していた。その話を疑うのには理由がある。

事実として、会談の中心であるロシア人弁護士、ナタリア・ベセルニツカヤはシンプソンのクライアントだったのだ。

ベセルニツカヤは、その話し合いの中でシンプソンがロシア政府のために作り上げた論点を使用したことを公表した。ロシア政府当局も検事総長のウェブサイトにその主張を上げており、訪問した米国の議員団に説明していた。

さらにシンプソンは、会談の前夜と会談後の夜にベセルニツカヤと夕食を共にしたと証言している。

会談でベセルニツカヤに同行したのがロシア系米国人ロビー活動家のリナート・アフメチンだった。アフメチンはソ連軍の対諜報部隊に従事していた人物だ。彼の役割は不透明のままだが、シンプソンがほのめかしていた情報源であった可能性を示す証拠がある。シンプソンがほのめかしたのは、オーに「トランプ陣営のロシアとのつながりに関して収集した(情報の)ほとんどは、米国在住の元ロシア情報将校(?不明瞭)から来ている」と話したのをオーが録音した2016年12月のことだった。

ベセルニツカヤは2014年春にシンプソンを雇ったが、シンプソンの証言によると、その仕事は「2016年の半ばから終わり」まで続いたという。

フュージョンGPSは、ベセルニツカヤ(ピョートル・カチーフとその息子デニスの弁護人)が2012マグニツキー法の下でロシア当局者に制裁を加える米国の法律を撤廃しようとするのを支援していた。マグニツキー法は警察による拘束中に死亡したロシアの腐敗の内部告発者であったセルゲイ・マグニツキーから名前を取ったものだ。消息筋によるとシンプソンは、それらの制裁の背後にいた推進役に対する組織的中傷活動を行う仕事を引き受けていた。その推進役とは、マグニツキーの雇い主であったシカゴ出身のウィリアム・ブラウダーという投資家だ。

トランプ陣営はクリントンのスキャンダル情報を受け取るためにベセルニツカヤとの会談を了承したが、彼女は会談をマグニツキー法とブラウダーを中心とするものに転換することに成功した。それにはブラウダーが脱税と着服をしていると訴える、シンプソンが作った主張も含まれた。ブラウダーはベセルニツカヤが公に認めたことを引き合いに出し、RealClearInvestigationsに対してこう語った。「私には、ベセルニツカヤがドナルド・トランプ・ジュニアとの会談で使用した論点を、シンプソンが書いたように思える」

ブラウダーはトランプタワーの会談には気づいていなかったが、フュージョンGPSがロシアの国益のためにやっている仕事に大きな懸念を持っていたため、シンプソンとアフメチンの両者を司法省に告訴した。その理由は、ロシア政府のための仕事をしながら外国の代理人としての正式な登録を怠ったことだ。

警告を発したにもかかわらず、ブラウダーの懸念は無視されてしまったようだ。オーは継続してフュージョンGPSに協力した。記録によると2016年8月22日にシンプソンが送った「電話できるか?」というタイトルのみの親しげな電子メールに対して、オーは即座に返答していた。また司法省とFBIはシンプソンの会社が準備した(ロシアの情報源を利用した)文書を、2016年10月にトランプ陣営のアドバイザーであったカーター・ページの通信を監視するための令状を取得するための証拠として利用した。

令状は3回更新されたが、2回は上院司法委員長のチャールズ・グラスリー上院議員が、ブラウダーの訴えの状況について2017年3月に司法省に質問状を送った後のことだった。ブラウダーの訴えに対する回答はまだ行われていない。

トランプの元個人弁護士、マイケル・コーエンがトランプタワーでの会談についてロバート・モラー特別カウンセルに話したという報道があったが、共和党議員は会談をトランプとロシアの共謀の証拠と見なす解釈を退けている。彼らは、会談は共謀がロシアとクリントン陣営の間のものであることを示していると主張している。

ある議会捜査担当者はこう話した。「シンプソンは法律事務所を通してクリントン陣営に接触し、自分はトランプとロシアのスキャンダルをかき集めることができると伝えた」「競争相手のスキャンダルを得ようという試みについて、トランプ陣営とクリントン陣営で異なる点は、クリントンが最後までそれをやり遂げてそのために金を払ったということだ。彼らの情報源であるグレン・シンプソンはロシア新興財閥の仕事をしていたというのに」ロシア新興財閥とはカチーフとのつながりに対する言及だ。

トランプタワーの会談でずっと謎のままであるのは、その調整役を務めた男、英国の音楽広報業者のロブ・ゴールドストーンだ。6月3日、ゴールドストーンはドナルド・トランプ・ジュニアにメールを送り、最初は検事総長事務所での会談を申し出た。そこはベセルニツカヤのロシア政府との接点だった。ゴールドストーンは「ヒラリー自身と彼女のロシアとの取引とって不利になり、君のお父さんにとってとても役に立つ正式な文書と情報」を約束した。

トランプ・ジュニアは即座にこう返信した。「君の言う通りだと素晴らしいね」

ゴールドストーンのメールにある次の言葉の特異性は、共謀の事実を作り出そうと意図されたもののように思える。「これは明らかに非常に高度で秘密の情報だが、ロシアとその政府によるトランプ氏への支持の一環だ」

ゴールドストーンのメールでの言葉遣いよりもずっと気になる点は、会談のお膳立てで彼の果たした役割だ。ゴールドストーンは2017年7月に会談のニュースが出てからは目立たない存在だったが、議会の前で自分の果たした役割を今は後悔していると証言した

スティール文書によると、トランプ自身もポール・マナフォートやカーター・ページ同様、ロシア政府と秘密裏に接触していたということだった。FBI元捜査官のマーク・ワウクはRealClearInvestigtionsに次のように話した。「ロシア政府が申し出をするのになぜ英国の音楽広報業者を必要としたのか不明確だ。またなぜロシア政府は英語を話せないロシア人をトランプタワーに送る必要があったのだろうか?どちらかといえば、会談が罠として意図されていたことを裏付けるものだと言える」

2016年6月9日、ゴールドストーンはトランプタワーでトランプ・ジュニア、マナフォート、そしてジャレッド・クシュナーと会うために、ベセルニツカヤを連れてきた。トランプ陣営の幹部たちは彼女がブラウダーとその関係者の話をしたかったのだと分かって失望した。

トランプ・ジュニアはベセルニツカヤとの約束を早めに切り上げた。だがこれが、定期的に接触していたとは知られていない司法省幹部の支援をおそらく受けて、シンプソンが画策したおとり作戦であったとしたら、損害はすでに与えられたということだ。

ある議会捜査担当者はこう語った。「会談の目的は、トランプがロシア人からライバルのスキャンダルを受け取っていたという、クリントンがスポンサーとなった文書の主張を裏付けることにあったのだ」

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