米下院情報委員会は、議論の的になっていたニューネス委員長による、いわゆるFISAメモを公開した。民主党はトランプ大統領をロシア疑惑の捜査から守るためのものだとして、公開に反対していた。同委員会は今回を第一段階と位置付け、次の段階として国務省などをターゲットにしていく意向を発表している。
(注:FISAとは外国情報監視法と呼ばれるもので、米国政府が外国人による諜報活動を監視するための法律)
ワシントン・エグザミナーによるメモの要点を以下に引用する。(括弧内は訳者による注釈)
- スティール文書(英国の元スパイがヒラリー氏と民主党全国委員会の資金提供を受けた会社の依頼で作成した資料)は、カーター・ぺージ(元トランプ陣営選挙スタッフ)に対して行われた最初のFISA申請とその後3回のすべての更新申請で不可欠の要素を成していた。
- アンドリュー・マッケイブ氏(FBI元副長官)は、FISA裁判所から取得されたFISA令状が、すべてスティール文書の情報によって得られたものであることを確認した。
- 4つのFISA監視申請に署名したのは、組み合わせは様々だが次の通り。ジェームズ・コミー、アンドリュー・マッケイブ、サリー・イエーツ(元司法長官代理、入国禁止大統領令に反対した人物)、デイナ・ベンテイ(元司法長官代行、オバマ政権)、ロッド・ローゼンスタイン(司法副長官)
- FBIはスティールへの文書作成作業費の支払いを許可した。FBIがスティールとの合意を解消したのは10月の終わりであり、マザージョーンズ紙の記事で、スティールが同紙に(FBIへの捜査協力について)語ったことを読んで知ったときのことだった。
- スティール文書の政治的な出所については、司法省とFBIの上層部は知っていたが、FISA申請からは除外された。
- 司法省のブルース・オーは2016年の初夏、スティールと面談しており、スティールが偏向しているという情報を司法省に伝えた。スティールはオーに、自分はドナルド・トランプが大統領に選ばれないように必死であり、彼が大統領にならないよう情熱を傾けていると語っていた。
またザ・ヒルの報道によると、下院情報委員会は今後、国務省を含む他の政府機関も捜査の対象とすることを表明している。同委員会のニューネス委員長は次のようにFOXニュースに対して語ったという。
「我々は、私が捜査の第二段階と呼んでいる中にある。その捜査は他の政府機関を含むものであり、特に国務省がこの一部に関与したことについてのものだ」
ニューネス氏を筆頭とする委員会は、何カ月も前からFBIと司法省に捜査資料の提出を要求していたが、激しい抵抗を受けてきた。今回の公開に先立っても、FBIは「メモの正確さに根本的な影響を与える重要な事実の欠如に関して、深刻な懸念を持っている」と表明し発表に反対の立場を取った。
ジェームズ・コミーFBI元長官は、公開されたメモに対し、「それだけか?」と非難のコメントをツイッターに書き込んでいる。
これに対しニューネス委員長は、「FBIは民主党が代金を支払った情報を使用して、他方の政党の人に対する捜査に着手し、その令状を取得するために秘密法廷に行くべきではないということを、米国民は理解していると思う」と述べた。