FBIと司法省のFISA悪用に関する報告書が米下院内で公開された件に続いて、FBIの信用をさらに失墜させるような事実が露呈している。FBI捜査官ピーター・ストラック氏と不倫相手の同職員リサ・ページ氏の間で交わされた、重要な期間のメールが消失していることをFBIが明らかにしたのだ。
ピーター・ストラック氏はFBIの防諜部門のベテラン捜査官であり、不倫相手であったFBI弁護士のリサ・ページ氏との間で交わしたメールから、極めて反トランプ的な姿勢が発覚し、ロバート・モラー特別顧問のロシア疑惑捜査チームから外された人物だ。
ストラック氏はヒラリー・クリントン元国務長官の私設メールサーバー事件の捜査にも携わり、解任された元国家安全保障担当補佐官のマイケル・フリン氏の聴取も担当している。
司法省は、ストラック氏とページ氏との間の384ページに上るメッセージを議会の捜査チームに追加で提出した。しかし同時に、約5カ月分のメッセージが技術的な問題で消失してしまったことを伝えてきたのだ。
FBIが司法省に伝えた理由は、「新製品や設定、ソフトウェア・アップグレードに関連する設定ミスの問題でFBIの収集能力との間に食い違いが起きた」というものだった。
メールデータが消失している期間というのは、2016年12月14日から2017年5月17日までであり、バイロン・ヨーク氏がワシントン・エグザミナーで指摘したところでは、この期間に次のような重要な出来事が起こっている。
- トランプ氏の国家安全保障担当補佐官(当時)のマイケル・フリン氏とロシアのセルゲイ・キスリャク大使(当時)との間の会話
- 2016年大統領選でのロシアの介入についてインテリジェンス機関が調査を完了し発表
- ジェームズ・コミーFBI長官(当時)がドナルド・トランプ次期大統領(当時)にトランプ(スティール)文書について説明
- 大統領就任式
- 司法長官の任命と決定
- FBIによるフリン氏への聴取(ストラック氏が担当)
- トランプ氏が捜査対象ではないことをコミー氏がトランプ氏に確認
- 捜査中の様々なトランプ関係者について、おもにワシントン・ポストとニューヨーク・タイムズで暴露記事
- ジェフ・セッションズ司法長官がロシア捜査から忌避
- オバマ司法省からの留任者サリー・イェーツ氏の解任
- トランプ氏が盗聴されたと訴えるツイート投稿
- トランプ氏がコミー氏を解任
- 消失したメールの最後の日、2017年5月17日にロバート・モラー特別検察官任命
特にこの期間の最後の日、5月17日というのが奇妙なことにロバート・モラー特別顧問(または特別検察官)が任命された日であることに注目すべきだろう。
ヨーク氏によると、議員の中には「信じがたいことだ」「FBIへの信頼はゼロだ」といった声もあるという。
また、FOXニュースによると今回提出されたメールから、さらにFBIの捜査に疑問を抱かざるを得ない複数の内容が浮上しているという。その一つとしてトレイ・ガウディ下院議員は、FOXニュースに次のように語っている。
「選挙の翌日、つまり二人が本当に起きて欲しくないと思っていたことが起きた翌日、(ストラックとページの間で)メールのやりとりがあり、こう書いていた。『ひょっとしたらこれが秘密結社の最初の会議かもしれない』
もちろん私は知りたい。『秘密結社』とは何のことなのか?」
ある議員の話では、FBIは前回メールを提出した際には、5カ月分の欠損があることを示していなかったという。
ジェフ・セッションズ司法長官は、FOXニュースに対する声明の中で、消失したメールについて次のように述べている。
「なぜメールのメッセージが現在提供できなくなっているのか、徹底的に確認し、消失したメッセージが別のところから復旧できるかどうか判別するために、可能な限りあらゆる技術を駆使するつもりだ」