消息筋によるとFBIは上院の捜査チームに、ヒラリー・クリントン氏の個人メールサーバーに対して当局が行った捜査に関する、数百ページにわたるメモを引き渡し始めた。
消息筋の話では、司法省は3日遅くに上院司法委員会に通知し、FBIはその後すぐに、ジェームズ・コミーFBI元長官によるクリントン氏のメール事件の対応について議会が再検証するのを支援するために、メモの提出を始めたということだ。
メモには、クリントン氏が国務長官として、自身の個人メールサーバーで機密情報を送受信していたことに対する犯罪容疑の追求を、当局指導部がどのようにしていつ取りやめていたのかが詳細に記されている。捜査は2016年の大統領選挙以来、議論の的になっていた。
コミー氏は2016年7月に、FBIはクリントン氏を起訴しないと発表した。FBIはその後2016年の10月に捜査を再開。ある側近のコンピューターから新たにメールが発見されてた後のことであり、選挙間近であったことから政界に衝撃を与えた。
コミー氏がその後、起訴するつもりはないと二度目の発表を行ったのは、クリントン氏がトランプ氏に選挙で敗れるわずか二日前のことだった。FBIの対応はクリントン氏、トランプ氏両サイドから激しい非難を浴び、今年トランプ氏がコミー氏を解任した理由の一つともなった。
上院司法委員会に提出される新たな資料は、FBIがどのように決定を下したのか、関与したのは誰か、またクリントン氏を起訴しないという決定が、FBI捜査員による聴取をクリントン氏が受ける前のことだったのかを明らかにすると考えられている。
また、この発表の数時間前にはある連邦裁判で新たな資料が公になっており、FBIのアンドリュー・マッケイブ副長官がクリントンのメール捜査から忌避したのが正確にいつのことだったかが判明している。マッケイブ氏は利益相反の疑いのために捜査から退くことになったのだが、それは妻の選挙運動にクリントン関係者(テリー・マコーリフ州知事)から数十万ドルの資金がつぎ込まれていたためだった。
保守派団体のジューディシャル・ウォッチに対してFOIA(情報公開法)訴訟の下で公開された資料によれば、マッケイブ氏が捜査から忌避したのは2016年の11月1日であり、それは捜査が公式に完了するわずか6日前、そしてドナルド・トランプ氏がクリントン氏に大統領選挙で勝利する8日前のことだったことが判明している。
マッケイブ氏が最初にクリントンのメール事件に関わったのは、ワシントン支局のFBI長官補佐として事件に対する情報提供を行った時であり、その後副長官となった2016年2月から正式に捜査を指揮していた。