ロシアは2016年に、米国に対するサイバー工作の一環として米国におけるアイデンティティ政治を促進し煽ることを意図してフェイスブックの広告を利用したことが、新たな報道で分かった。
ロシアが米国内で行った影響工作に関するこれまでの報道は、圧倒的に米国の右翼勢力を扇動しようとする試みに焦点を絞っていた。しかし、最新の報道で分かったことは、ロシアは米国の左翼勢力の中で幅を利かせているアイデンティティに焦点を当てた政策も推進しようとしていたということだ。
ロシアのアカウントは、ブラック・ライブズ・マター(BLM)運動のメッセージを使ってボルチモアとファーガソン(どちらも人種差別反対運動の拠点)をターゲットとしていたとCNNは伝えた。ワシントン・ポストは、ロシアの広告がBLMに加えて他の「アフリカ系アメリカ人人権団体」を宣伝していたと報道した。
同様にロシアの工作は、反アメリカのメッセージを使って米国のイスラム教徒もターゲットにしていた、とデイリー・ビーストが伝えている。
ロシアの資金を受けたアカウントは、イスラム教団体を装って反アメリカの陰謀論を宣伝していた。例えば、ウサマ・ビン・ラディンは「CIA工作員」だったーリビアの独裁者カダディは「ロスチャイルド家の所有する中央銀行」を持っていなかったのですばらしいーなど、反ユダヤ主義的な陰謀論に言及していた。
フェイスブックの最高セキュリティ責任者、アレックス・スタモス氏は今月初めに声明を発表し、ロシアの活動に対するフェイスブックの調査の結果、「2015年6月から2017年5月までの間に約10万ドルの広告費が約3,000の広告に関連して使用されており、規約に違反する約470の偽のアカウントとページにつながりがあったことが判明した」と述べた。
3,000のロシアによる広告の「圧倒的多数」は、「特に大統領選挙、投票、特定の候補者といったことを引き合いに出したものでなかった」とスタモス氏は述べた。
また、次のようにも述べている。「それらの広告とアカウントは、思想的な領域の中で対立を招くような社会的政治的なメッセージを拡大させることに焦点を当てていたようであり、LGBTの問題から人種問題、移民、銃の権利に至る話題にまで触れていた」
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