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中国は米国の民主主義をいかに脅かしているか

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<引用元:フォーリン・アフェアーズ 2020.10.21>ロバート・オブライエン国家安全保障問題担当大統領補佐官による論説

数十年間米国では、中国が経済から始まってその後政治において、もっと自由になるのは時間の問題だ、というのが一般の見解となっていた。それは最も大きな間違いだった―1930年代以来の米国外交政策で最大の失敗として存在する誤算だった。そのような間違いをどうやって犯したのだろか?主としては、中国共産党の思想を無視したことによるものだった。我々は、中国共産党指導者の話を聞き、重要な文書を読む代わりに自分たちの信じたいことを信じた。中国の与党は名ばかりの共産主義者なのだ、と。

現在、この思想が重要なのは中国国内のみだと思いこむのも、同様に重大な間違いとなる。事実、中国共産党の思想的な計略は、国境をはるかに超えて広がり、米国でのことを含め、民主主義という思想自体に対する脅威となっている。中国の習近平の支配に対する野望は、中国の国民に限定されない。世界中で、中国共産党はプロパガンダを広め、言論を制限し、個人データを悪用しようと目指している。従って米国は、中国共産党の思想的目的を断じて無視することはできない。ワシントンは、中国の侵略に対する戦いには、手遅れになる前に、まずそれを認識して国内でそれに対して自らを守ることが必要となることを理解しなければならない。

言葉は弾丸である

中国共産党は、自称マルクス・レーニン主義者の組織であり、習は、党の最高司令官として、自身をスターリンの後継者と見なしている。マルクス・レーニン主義は、人生のあらゆる重要な要素は国によって支配されるべきだと主張する全体主義世界観であり、政治思想を支配しようという中国共産党の目的は、公然と語られ、積極的に追及されている。長年中国共産党指導者は、「思想上の安全」の重要性を強調してきた。「思想の現状」に関する2013年の中国の政策では、「間違った考えや見方を広める機会や報道機関は完全になくす」べきだとしていた。

元オーストラリア政府高官のジョン・ガーナウト(John Garnaut)は、「中国の指導者は常に、権力は物理的な戦場と文化的な領域の両方を支配することから生まれると考えてきた」と指摘している。「言葉は弁明と説得の手段ではない。弾丸だ。言葉は敵を規定し、孤立させ、破壊するためのものだ」と。中国の中では、こうした取り組みの結果、共産主義思想に関する強制的な勉強会と、「習近平思想」を教えるスマートフォン・アプリ使用の義務付けが生まれた。全てのメディアは厳しい検閲を受けることになっている。外の情報源は禁止されている―外国の新聞からツイッター、フェイスブック、ワッツアップに至るまで。中国共産党は、聖書を始めとする宗教的な文章を再解釈して、自分達の思想を支え、数多くのウイグル人イスラム教徒や他の少数派を再教育収容所に拘留するために利用している。彼らはそこで政治的な洗脳と強制労働を受ける。

こうした情報と表現の支配を世界で拡大しようという取り組みは、本格化している。米国のほぼすべての中国語報道機関は、中国共産党に所有されるか、その編集方針に従っている。米国人は、12以上のFMラジオ局で北京寄りのプロパガンダを聞くことができる。

中国が所有するTikTokは、中国共産党の政策を批判するアカウントを削除している。2019年8月以降、ツイッターは「世論を巧みに操ろうとし、組織された」プロパガンダを拡散したことで、17万以上の中国共産党に関係するアカウントを削除した。ここ数カ月のうちに、中国が非常に多くの西側の記者を追放しているのは偶然ではない―北京は、世界が自分たち独自のプロパガンダ機関から、中国に関するニュース、特に新型コロナウイルスの起源に関するニュースを得ることを望んでいるのだ。

米国人が中国に関して受け取る情報に影響を及ぼすことに加えて、中国共産党は、米国の言論を支配するためにますます影響力を行使するようになっている。バスケットボールチーム、ヒューストン・ロケッツのゼネラルマネージャーが、香港の平和的抗議者に対する支持をツイートした時、中国共産党はロケッツの試合を中国のテレビで放送しないと発表し、ツイートを批判するようにスター選手を含めた他のリーグ関係者に圧力を掛けた。中国共産党の圧力を受け、アメリカン航空、デルタ航空、そしてユナイテッド航空は、ウェブサイトと機内誌で台湾についての言及を削除した。メルセデスベンツは、ダライ・ラマの心に響く引用を投稿したことを謝罪した。MGMは、レッド・ドーンのリメイク映画の中で、侵略軍の国籍を中国から北朝鮮にデジタル編集した。ムーランの2020年のリメイク作品のクレジットで、ディズニーは新疆ウイグル自治区の治安・プロパガンダ局に謝意を示した。中国共産党はそこで、何百万人もの少数派を強制収容所に収監しているというのに、だ。

中国共産党は、米国人のデータ―言葉、購買、所在、医療記録、投稿、文章、社会的ネットワークを収集することで個人に対する影響力も積み上げている。こうしたデータは、盗難だけでなく、ハードウェア、ソフトウェア、通信のセキュリティ欠陥やバックドア、そして遺伝関連製品(多くはファーウェイやZTEのような中国共産党の補助を受けている企業による工作)によって収集される。北京は、2014年にアンセム医療保険、2015年に、何百万人もの政府職員のアクセス権限情報を抱える米国人事局、2017年にエキファックス、2019年にマリオット・ホテルをハッキングした。こうした実例だけでも、中国共産党は、生存する全ての米国人の少なくとも半数について重要な情報を収集した。それには名前、生年月日、社会保障番号、信用情報、医療記録、そしてパスポート番号が含まれる。中国共産党は、こうしたデータを、中国の国境内で使用するのと同じ方法で利用するだろう。つまり、米国人を標的にし、影響力を行使し、嫌がらせを行い、脅迫さえして、彼らが中国共産党の利益になるようなことを話し、行うようにするために。

また中国共産党は、コンプライアンスを強制するために貿易を利用する。例えば、オーストラリアがコロナウイルスの起源と拡散についての独立調査を呼びかけた時、北京は、オーストラリアの大麦輸出に80パーセントの関税を課し、オーストラリアの農産物の購入もやめると脅し、中国の留学生と観光客がオーストラリアへ渡航するのを禁止すると示唆した。ごく最近では、中国共産党は報道によると、輸入業者にオーストラリアの石炭の購入をやめるよう命じた。

国際機関を再形成することも中国の計画の1つだ。中国は多くの国際機関の中で指導的立場を追及しており、15の国連特別機関のうち4つを主導している。これはフランス、ロシア、イギリス、米国(国連安全保障理事会の常任理事国)の合計より多い。北京はこうした機関のリーダーの立場を利用して、自分達が望むメッセージを繰り返し、施設に中国の通信設備を導入している。

(略)

断固たる行動

米国の政策立案者は、ドナルド・トランプ大統領の指導力の下で、中国共産党が行っていることに気付き、全面的に対抗するための断固たる行動を取っている。司法省とFBIは、米国の政策に影響力を及ぼそうとする外国の代理人の特定に資源を割り当てている。例えば司法省は、中国の国営メディア企業のCGTNアメリカに、外国代理人登録法で規定されているように外国代理人として登録する義務があることを伝えた。同法では、登録者は自分たちの活動を連邦当局に公開し、自分たちが流通させている資料を適切に分類することが義務付けられている。国務省は、中国の国の支配下にあるプロパガンダ報道機関を、「外交使節団」―人員と資産の報告義務が課せられる―として指定し、中国の外交官に通知を義務付け、場合によっては、州・地方政府当局者や教育機関との面談前に米国政府の許可を得ることを義務付ける政策を施行した。

トランプ政権は、中国の有害な行為を浮き彫りにし、虚偽の作り話に対抗し、透明性を強いるための活動も行っている。米国当局者は、米国の利益と価値に反する中国共産党の計略を推進するために、米国の自由で開かれた社会が悪用されていることに関して、米国民を教育する取り組みを主導している。それには、米国教育機関で北京が自国民(と米国市民)を互選・強制することへの対抗、米国の大学内で中国人留学生の権利を守るために大学と協力すること、中国共産党のプロパガンダと偽情報に対抗するための情報提供、そして、米国の教育環境で倫理的行動規範が確実に理解されるようにすることも含まれる。中国軍の研究者が、米国で特定の先進技術の学位を得ようとすることはもう許されない。だが、盗むのではなく学ぶために来る本当の中国人留学生はいつでも歓迎する。

政権は、中国共産党の取り組みをほう助する中国企業の有害な活動にも対抗してきた。中国のインテリジェンス・安全保障機関の指揮下にある、ファーウェイのような会社に制裁を課した。ファーウェイが米国の半導体技術を利用することに制限を課すのもその1つだ。政権は、中国政府の支配する企業が、扱いに慎重さを要する技術と、米国市民の個人情報を持つ米国企業を買収することができないようにしている。2018年に法制化された外国投資リスク審査現代化法は、国家安全保障を脅かす外国の投資を米国が審査する能力を大きく拡大させた。国防総省は最近、米国人が一緒にビジネスを行う企業について完全な情報を得ることができるように、米国で工作を行う人民解放軍につながりのある企業のリストを、議会に提出した。

またワシントンは、ウイグル人や他の少数派に対する中国の抑圧、大量の恣意的な拘束、強制労働、監視に加担した(中国政府機関に加えて)数十の中国企業に制裁を課した。こうした虐待に関与した高官は、もう米国に入国することはできず、ウイグル人の強制労働を利用して生産された商品は輸入できない。その一方、司法省は中国の技術窃取に対する起訴に資源を集中させている―FBIは中国の経済スパイに関する事件を10時間に1つ立件しているのだ。証券取引委員会は、中国の公開企業が、米国や他の国の企業が従わなければならないのと同じ公開会社の監督・会計基準を守るように要求することで、投資家を保護するために取り組んでいる。また政権は、中国による互選の曲解を受けて国連人権委員会を離脱し、世界保健機関もパンデミック対応で、中国共産党の恩義を受けていることが分かったために、同機関との米国の関係を打ち切った。

名を正す

こうした措置は、40年間の一方的で不公平な中国との関係を是正する、もっと長い過程の始まりに過ぎない。その関係は、米国の経済、そしてもっと最近では政治的な健全性に重大な影響を与えてきた。トランプ政権は、中国共産党の真の性質について率直に話し、透明性を持つよう注目を浴びせてきたが、今後もそれを継続していく―言葉を現実に一致させる、孔子の言う「正名・名を正す」だ。中国共産党は世界的な影響力・プロパガンダ組織として活動しており、米国はそう認識しなければならない。そして我々独自の価値に再びコミットし、同盟国や協力国に我々を結び付ける共通用語を再活性化することによって、世界での談話を支配しようという試みを無力化するのだ。そうする中で、我々は機関、同盟、協力関係の弾性を向上させ、中国が示す課題に打ち勝つ―思想的にも他の面でも。

またワシントンは、米国と同盟国や協力国の不可欠な国益を損なう活動を止め、また減らすよう北京に強いるために、費用を負担させ続けなければならない。米国はもはや、これ以上我々を犠牲に、あるいは我々の援助で、中国共産党を成長させてはならない。消極的でばか正直だった米国の時代はもう終わりであり、我々はこれまでの米国政策立案者が願っていたようにではなく、現実に即して中国共産党に関して話し、対応し続ける。2017年の国家安全保障戦略では、この取り組みを「原則に基づいた現実主義」と呼んでいる。

永続的な平和は力によって実現する。米国は地球上で最強の国であり、正々堂々と意見し、反撃し、そして中でも、中国共産党が採用するマルクス・レーニン主義思想とは全く対照的な立場の原則―特に言論の自由―に忠実であり続けなければならない。

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