<引用元:FOXニュース 2020.5.3-4>ピーター・ナバロ氏寄稿
米国の基幹電力系統は、我々の国防、重要な緊急サービス、重要インフラ、経済、生活様式を支える電力を供給している。それはますます、悪意のあるサイバー活動を含めた悪意のある行動を起こそうとする敵対的な外国の標的となっている。
トランプ大統領の最新の大統領令、「米国の基幹電力系統の保護」は、大統領の強力な米国製品購入原則と一致して署名した4番目の大統領令だ。それによってエネルギー省は、米国の基幹電力系統をサイバー攻撃とそれ以外の攻撃から守るための措置を、迅速に講じることができるようになる。
連邦政府は米国の基幹電力系統のかなりの部分を運営している―約20パーセントの割合だ。この系統を整えるために、エネルギー省、電力マーケティング管理局、そして他の連邦政府組織は、年に何百万ドルも費やして広範な部品を調達している―管理センター、大型発電機そして発電用タービンから、高圧遮断器や変電所の電圧レギュレーターに至るまで。
現在の政府の調達規則の下では、(大統領令の文脈内で定義されている)敵対国の影響下にある企業が、こうした部品供給のための政府からの受注を得るために競合する―また多くの場合勝ち取る―ことを許されている。現在の調達規則に適切なサプライチェーン統制が欠如していることで、こうした部品それぞれが外国の妨害に対して独自の方法で脆弱である可能性があることから、敵対国が我々の電力系統に脆弱性を作るチャンスが生まれている。
一部の部品ではハードウェアベースのリスクがある。例えば部品が早く、しかも意図的に劣化するように設計された低品質の材料で、意図的に造られている可能性がある。
それ以外の部品でも、ソフトウェアの脆弱性を利用したリスクがある。例えば意図的に設計されたバックドアがあれば、敵対国が電力系統の運用に必要な制御システムや他の設備にアクセスできてしまう。例えばウイルスやマルウェアによって設備が故障したり、設定値の範囲外で運用させられたりする可能性があり、それによって我々の経済を推進し安全保障を支えている信頼性の高い電力が損なわれるかもしれない。局所的、また広域の意図的な電磁波干渉も懸念される。
いうまでもなく、基幹電力系統に対する攻撃が少しでも成功すれば、米国の自衛能力が損なわれ、経済が重大な損害を受け、人の健康と安全と国家安全保障に壊滅的なリスクを引き起こす可能性がある。こうしたリスクは、電力網の一部で起こることが他の場所にも影響を与える可能性があるために、なおさら重要である。ニューイングランド地方での故障がフロリダにまで波紋を広げる恐れがある。カリフォルニアでの問題が他の州を暗闇に変える可能性もある。
この最新の大統領令の署名で、トランプ大統領は米国の基幹電力系統に対する脅威に積極的に対処するための一連の強力な行動を命じた。こうしたリスクは、系統で使用されている数多くの部品がすでに平均寿命を超え、アップグレードやリプレースの必要が出てくる中では特に深刻だ。
新大統領令では、敵対国内にある企業や、取引が米国の国家安全保障や米国市民の安心安全に受け入れがたいリスクを引き起こす企業から、基幹電力系統向けの商品、製品、材料を連邦政府機関と米国職員が調達することを禁止している。
エネルギー長官は命令を実行に移すルールを発表し、必要に応じて他の省庁のトップと相談の上、命令に関して、特定の備品とベンダーを「事前承認済み」と認定するための基準も評価する。
基幹電力系統の回復力を高めるために、エネルギー長官はさらに、米国の基幹電力系統で現在使用されている今回禁止された備品を全て洗い出す作業を主導する。目標は、所有者にこうした品目を必要に応じて特定、区分け、監視、そしてリプレースさせることだ。大統領のタスクフォースも、国家安全保障に対する考慮が連邦政府全体で完全に統合されるようにするための、一連の一貫性のあるエネルギーインフラ調達ポリシーを策定していく。
今回の大統領令の発行で、大統領はまたしても政権の重要な原則を示している。つまり、経済安全保障が国家安全保障である、ということだ。外国の攻撃から基幹電力系統を守ることによって、トランプ大統領はこの国の今後のより良い経済、より安全な社会、そしてより安全な国防を確かなものにしつつある。
ピーター・ナバロ氏は製造業・通商政策担当大統領補佐官であり通商製造業政策局の局長である。