<引用元:ワシントン・エグザミナー 2019.5.28>マイケル・レディーン氏による寄稿
バー司法長官は、トランプ=ロシア共謀捜査がどのように始まったかを解明しようとしている。長官は自身の持つ疑いよりもっと複雑な話を見いだすことになる恐れがある。反トランプ活動を行う悪意を持ったFBIとCIAの捜査官は、マイケル・フリンを標的としたもっと限定的な範囲の企てに端を発したものである可能性がある。ドナルド・トランプが自分のチームに最初は陣営顧問として、それから国家安全保障会議のリーダーとしてフリンを招き入れるずっと以前のことだ。
人生とは一直線に進むものではなく、インテリジェンス・コミュニティの高官がフリンを長い間目の敵にしてきたのは、彼がイラクのアルカイダに対して、またその後はアフガニスタンのタリバンとイランの支援を受けたテロリストに対して諜報活動のやり方を変えてからのことだ。変更によって機密情報収集と反テロリスト工作は主として戦場で管理することになり、ワシントンを拠点とする情報当局者の権限は大きく減少した。以来この高官たちは、フリンが国家情報長官室、それから国防情報局に移る中で、ずっと敵対していた。
フリンは、ジェームズ・クラッパー国家情報長官に辞任すべきだと言われ、要するに国防情報局を首になった。これはフリンが議会の宣誓証言で、オバマ政権がアフガニスタン政策に失敗したことを非難した直後のことだった。このことからもまた、フリンが我々のやり方がいかに悪かったかを理解し、インテリジェンス・コミュニティと手を結ぼうとしなかったことが示された。実際にフリンは、(誰もずっとやったことのない)中央情報局の設立以来の秘密の資金に対する監査を実行するつもりだった。
したがって、フリンが2016年に何名かの共和党予備選挙候補者の顧問になった時に、情報機関高官の標的になったのは驚くに当たらないことだった。フリンが国防情報局から排除された状況をバーが調べれば、同じ人物たちの多くが、選挙後にフリンとトランプを狙っていたことが分かるだろう。実のところ、フリンがロシア人と共謀しており、またスーザン・ライス国家安全保障補佐官が次期大統領に警告したように、ローガン法違反の可能性があるというインテリジェンス・コミュニティからの訴えによって、反トランプ作戦は始まった。
例えば、インテリジェンス・コミュニティで長年の情報提供者だったステファン・ハルパーのことを考えて欲しい。ハルパーはフリンがロシア人の侵害を受けていると主張し、6か月後にフリンは辞任に追い込まれた。ハルパーはその後、トランプ陣営に関する情報を探るFBIの情報提供者となった。
フリンに対する工作は、ほとんどの反トランプ運動にとってのテンプレートを提供したのだと思う。それはFISA承認を受けた傍受によって監視された人々の「身元開示」から、英国とイタリアの情報機関との緊密な協力にまで至る。工作員たちはフリンに対する工作が成功した時、同様の手法で大統領自身を落とせる可能性があると気づいたに違いない。全ての要素は整っていた。チームは結成され、外国のカウンターパートとの国際的な協力関係は無傷であり、トランプが自分の選んだ国家安全保障担当補佐官のために戦おうとしないのを見た時、彼らはトランプも同じ手法の餌食になるだろうと考えた。
逆説的ではあるが、バーが今捜査している反トランプ工作は、2016年の選挙結果を取り消すために作られたものではなく、すでにあったのだ。反トランプ運動は、インテリジェンス・コミュニティ内での内部抗争の手法が応用されたものであり、直ちに次期大統領に向けられ、その後大統領になってからも向けられた。
すると「それ」はいつ始まったのか?司法長官は「それ」などないという全く現実的な可能性を考慮しなければならないと思う。2つの作戦があり、片方がもう片方に流入した。両方ともインテリジェンス・コミュニティから出たものだ。1つは成功したが2番目は失敗した。人生とはそういうものだ。
マイケル・レディーンは民主主義防衛財団のフリーダム学者。38の著書を上梓している。