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スティーブン・ムーアを恐れているのは誰か?またそのワケ

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<引用元:ナショナルレビュー 2019.3.24>ジョン・ファンド氏

エスタブリッシュメント思考に対する挑戦が相次ぐ中傷を引き起こした

中世では、鍛冶屋から醸造者まで、あらゆる種類の商売に誰が就くことができるかについてギルドが独占権を握っていた。ギルドは競合を制限するために、新規参加者に高いハードルを設けるか、完全に阻止していた。

フランスの財務総監、ジャン=バティスト・コルベールは、「この手段によって有能な人物のグループと組織を構成し、無知な人々は受け入れないようにするため」、フランスの全手工業者にギルドを作るよう命じた。だが偉大な自由市場の経済学者であるアダム・スミスは、ギルドについて異なる見解を持ち、それを「民衆に対する共謀」と呼んだ。

ワシントンの政策ギルドが、破壊的な思想を持つ「無知な」異端者を排除しようと図り、中世ギルドのように行動するのはよくあることだ。経済において金利レベルを設定することが主要な役割である連邦準備制度理事会の理事に、トランプ大統領がエコノミストのスティーブン・ムーアを指名したことに対して、彼らがヒステリックに過剰反応しているのを見ればわかることだ。

ムーアは議会共同経済委員会の主席エコノミスト、ヘリテージ財団のエコノミストを務め、またウォールストリート・ジャーナルの編集員を務めており、私はそこで彼のことをよく知るようになった。彼は明るい性格と協調性で有名だ。

だがワシントンのギルドメンバーにとって、彼は嫌われているサプライサイド経済学派のメンバーである。経済的インセンティブを重視する考えだ。サプライサイダーは、米国経済が2008年のリセッション後に陥った沈滞状態から抜け出して上昇するのに、減税と健全な財政政策が役立つと主張している。安定した強いドルに加えて、トランプの減税は雇用と賃金の上昇を引き起こすのに役立った。

だがワシントンの政策ギルドにとっては、この実績があるからこそなおさら、ムーアに対する敵視と軽視が起きている。ムーアはトランプ大統領の政策立案者であり、「Trumponomics(トランポノミクス)」という本を執筆したので、FRBの中立性を維持できないことが予測されるのだと批判者は言っている。彼は、トランプが2016年の選挙運動で、通貨委員会のエスタブリッシュメントにFRBの内部を調べるよう求めたことを支持していた。さらにもう1つの罪は、ムーアがFRBに、金利を設定するのに石油や他の商品を追跡する「価格ルール」に従うよう求めたことだ。多くの面でそれは、レーガン時代にポール・ボルカーFRB議長が、インフレを和らげるために使用したルールと共通点がある。FRBは独自の評価システムを好むが、独自のミスにつながることが多い。――例えば2008年の景気後退の前段階のように。FRBは中間点での神経に障る修正を行うことがよくある。FRBは昨年12月、2019年中に2度の金利引き上げを計画した。3月20日、FRBは金利引き上げは全く行わないことを決定した。

ムーアの答えはこうだ。「時間をかけてルールを保てば、価格システムは安定する」

ひょっとすると、ワシントンのギルドメンバーの目から見て最も悪いのは、ムーアがFRBの官僚主義に異議を唱える「独立した」代弁者となるということかもしれない。彼はこれまで間違いなく、多くの銀行家のようにFRBに媚びへつらわなかった。「ドナルド・トランプは沼地を一掃したかった。FRBは沼地だ」とムーアは語った。

ムーアについて語られる不安と嫌悪は、個人攻撃的な言葉で表現されることが多い。ニューヨーク・マガジンで記事を書くジャーナリストのジョナサン・チャイットにとって、ムーアは「有名なバカ」だ。経済学者のスティーブン・テイラーは、「外から見る限りは、ムーアが主流の経済理論に反対するのは単に彼がそれらを理解していないためだ」と一笑に付す。テイラーは、ムーアは「経済学者ではなく、理論家であり評論家である」とし、その理由を、彼がその分野でPh.Dを持つ「学問に熟達した経済学者」ではないからだと結論付けた。

そこにはギルド的な物の考え方が十分に見て取れる。結局、現在のFRB議長であるジェローム・パウエルも経済学のPh.Dを持っておらず、FRBの歴史上でもほとんど、議長は経済学者でなかったことが分かる。だが、パウエルはワシントンのギルドシステムのお気に入りであり、そうした批判も免除されているのだ。

ムーアがFRB理事になれば、FRBがドナルド・トランプの気まぐれに無謀に従うようになるという指摘は荒唐無稽だ。重要なFRBの決定は全て、12名のメンバー――ホワイトハウスが指名する7名の理事と地区ごとの連邦準備銀行の総裁5名――から成る委員会によってなされる。ムーアはテーブル上の1人の発言者となる。

ムーアのFRB理事指名に対するヒステリックな反応で本当に驚くべきことは、ワシントンの政策コミュニティの中心に存在する知的な不安定さと排他性を、それが大きく暴露しているということだ。さもなければ、自分たちのあらかじめ備えた見識に異議を唱える1人の男を、なぜそれほど怖がるというのだろうか?

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