<引用元:CNBC 2019.3.13>
- 2月に平均時給が3.4パーセント上昇、2009年4月以来最大の増加
- ゴールドマンサックスの報告によると、景気回復中で初めて、低所得者がより大きな利益を享受
- 傾向は、一部エコノミストの考え以上に景気に強さがあることを意味する可能性
最近の給与の大幅な伸びには、際立った性質が伴っており、低賃金労働者がより大きな利益を享受している。
先週の労働統計局の報告によると、2月の平均時給は1年前の同じ期間から3.4パーセント上昇した。2009年4月以来で最大の伸びであり、7カ月連続で3パーセント以上の上昇が続いている。
この上昇を際立たせたのは、下位所得者層が上位所得者層を上回って利益を受けているということだ。――実際、ゴールドマンサックスによる見積もりでは、その差は約2倍となっている。傾向が始まったのは2018年で、今年に入っても継続しており、多くの専門家が考えるより強い経済の兆候を示す可能性がある。
「我々の調査結果が示すのは、低所得者の賃金上昇がより循環的で持続性があるということ、また高所得者の賃金がさらに加速する余地があると仮定すると、継続した、堅調な総合的賃金の伸びの余地があるということだ」と、ゴールドマンサックスのエコノミストであるデイビッド・チョイは、調査書の注釈で述べた。
2月の非農業部門雇用者数報告の内訳は、全雇用増加が2万に留まったことを示したが、一般的に低い賃金の業種の労働者の賃金が、ついに実質的にある程度上昇し始めているという見方を裏付けている。
例を挙げると、2018年2月から、小売業の従業員は5パーセント上昇し、レジャー・サービス業では4.6パーセント上昇した。同時に、ウォールストリート関連の金融業ではわずか2パーセントの伸びである一方、専門的サービスとビジネス向けサービスの労働者では2.8パーセントの上昇だった。
より広範なレベルでは、現在の労働市場の動きは、大部分の回復にとって不足していたし、FRBの政策決定者が待ち望んできたようなインフレを指し示している。ゴールドマンサックスの分析によると、高所得者の賃金の上昇がより強い企業利益につながる傾向がある一方で、低所得者にとっての利益は、労働市場が厳しくなるにつれて上昇する傾向にある。
賃金の傾向は、2018年に見られた成長を経済は維持できないという、高まりつつある意見を、反証して退けるのに一役買う可能性もある。
「総合すれば、我々の調査結果は、所得水準全体にわたる堅調な成長を考慮すれば、比較的楽観的な消費見通しを示唆している」とチョイは書いた。「労働供給の制限が引き締まり始めて雇用増加が鈍化しているとしても、これは、特に最低限の消費傾向が比較的高い低所得労働者の間で、ある程度相殺されるはずだ」
1つの危険性として、賃金上昇が、経済危機以降に倍増した企業の利益を侵食し始める可能性がある。
しかしながら、ABバーンスタインの分析によると、それが重大な要素となるには数年かかるとされている。
「資本分配率に対する圧力は残るだろうが、利益が下がっていくということではない。――事実、利益は年間100BPS(1パーセント差)にまでシェアを失う可能性があるが、それでも利益はプラスとなることが見込まれる」と、ABバーンスタインの米チーフエコノミストであるフィリップ・カールソンシュレザックは、注釈の中で述べた。「言い換えれば、労働分配率の上昇に直面しても、純付加価値の総合的な拡大は十分に強い可能性がある」
カールソンシュレザックは、労働が生産の大きな割合を占める産業では、賃金圧力が部門レベルでより感じられるだろうと述べた。例えば、情報技術と情報抽出では影響は最低限で、サービスや小売りでは最も打撃が大きいだろう。