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トランプ国境演説の5つの主張をファクトチェック

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<引用元:デイリー・シグナル 2019.1.9

ドナルド・トランプ大統領は8日夜、南部国境の物理的な防壁を拡張して、不法移民と麻薬の流入を食い止めるため、議会に壁のための570億ドルを求める論拠を述べた。デイリー・シグナルは、大統領がホワイトハウスから行った10分間の演説中の5つの主張を検証した。

1.「アメリカ人は全員、野放しの不法移民によって損害を受けている。公的資金に負担がかかり、雇用と賃金が押し下げられている。中でも最も打撃を受けているのは、アフリカ系アメリカ人とヒスパニック系アメリカ人だ」

人権委員会のピーター・カーサナウによると、アフリカ系アメリカ人は、不法移民によって偏った影響を受けている。

カーサナウは2017年のデイリー・シグナルとのインタビューで、「黒人男性はより一層、不法移民による競争を経験することが多い」と述べた

カーサナウはこう話した。
「相当数の黒人男性が初心者レベルの仕事に就けないために、梯子の段が外されているということだ。黒人の競争と失業だけではない。賃金水準も押し下げられている」

また、2010年の人権委員会の調査報告では、不法移民が特に黒人男性に大きな影響を与えていることが分かった。報告書には次のようにある。

この数十年の米国への不法移民は、低技能のアメリカ市民の賃金と雇用率を低下させており、その数は黒人男性に偏っている。悪影響に関する経済専門家の意見は、控えめなものから重大なものにまで及んでいる。全体的にはわずかな影響だというパネリストでも、精肉や建設のような産業分野では重大な影響を認めた。

ハーバード・ケネディスクールで、経済学と社会政策を専門とするジョージ・J・ボージャス教授は、2016年にポリティコでこの問題について次のように論じた

移民の流入によって影響を受けるのは、低技能と高技能の国民双方だ。だが移民はあまり技能を持たない割合に偏っているため、この賃金低下で大部分の損害を被ったのは低技能のアメリカ人労働者であり、その多くは黒人とヒスパニックだった。金銭上の損失は相当大きい。典型的な高校中退者の年収は約2万5,000ドルだ。国勢調査のデータによると、過去20年で入国を認められた高校卒業資格を持たない移民は、低技能労働人口の規模をおよそ25パーセント拡大させた。結果として、特に影響を受けやすいこのグループの収入は、年間800ドルから1,500ドル低下した。

2.「チャック・シューマー上院議員――今夜その話を聞くことになるだろうが――は、他の多くの民主党議員と共に、過去何度も物理的防壁を支持してきた。彼らは私が大統領に選ばれて初めて考えを変えた」

上院少数党院内総務であるシューマー(民主党、ニューヨーク)は、現在民主党議員のトップだ。2006年にシューマーは、――他の民主党幹部と共に――フェンス拡充法案(Secure Fence Act)に賛成票を入れた。

その提案は、特にフェンスがない700マイル以上の南部国境に物理的な防壁を要求するものだ。

(略)

つまりシューマーは物理的な防壁に賛成票を入れていたのだ。もちろん、正確には「壁」ではなく「フェンス」に賛成したのだ、と主張することもできるだろうが。

提案を支持した他の民主党上院議員には、イリノイ州のバラク・オバマ、ニューヨーク州のヒラリー・クリントン、デラウェア州のジョー・バイデンもいた。今の上院議員では、カリフォルニア州のダイアン・ファインスタインが提案に賛成票を投じた。

中には実際一貫して物理的な防壁に反対する民主党員もいた。例えば、現在民主党の院内幹事であるリチャード・ダービン上院議員は、2006年の法案に反対した。

だが下院では、ナンバー2であるメリーランド州のステニー・ホイヤー同様、当時下院少数党院内総務であったカリフォルニア州のナンシー・ペロシは、フェンス拡充法案に反対票を投じた。

3.「ヘロインだけのために毎週300人の市民が亡くなっており、その90パーセントは南部国境を超えて流入している」

疾病対策センターによると、2017年に「米国でヘロインを含む薬物過剰摂取で1万5,000人以上が死亡」した。つまり1週間の死亡者数は約288人となる。

麻薬取締局の2018年の報告書には、「法執行機関による捜査と科学的データを含めた、得られる限り全ての情報源によると、依然としてメキシコが米国で入手できるヘロインの主要な出元である」と書かれている。

報告書は、無人の国境の範囲ではなく通関手続き地が、ほとんどのヘロインが密輸される場所だと示唆している。

(略)

4.「メキシコ経由の危険な旅では、3人に1人の女性が性的暴行を受けている」

中米北部三角地帯と呼ばれるエルサルバドル、ホンジュラス、グアテマラ地域からメキシコへの入国者を調査した、国境なき医師団による2017年の報告では、「調査対象の女性の3分の1近くが、旅行中に性的虐待を受けた」としている。

(略)

5.「過去2年で、ICE(移民税関捜査局)捜査員は、犯罪歴のある26万6,000人を逮捕しており、それには暴行10万件、性犯罪3万件、凶悪な殺人4千件で起訴、または有罪判決を受けた人々が含まれている」

2017年と2018年にまとめられた米国入国税関捜査局(ICE)の数字によると、トランプのいう逮捕者数は正しい。

ICEが逮捕した不法移民の数は、同局による12月の報告書によると、2014年以来最高である。

ICEの報告書では、2018年度に15万8,581人の不法移民が逮捕されており、うち13万8,117人に犯罪歴があった。これは、14万3,470の不法移民が逮捕され、うち12万7,992人に犯罪歴があった2017年度から、11パーセントの増加だ。

ロイターは、「2018年にICEが逮捕した、告訴されている人の数は、2017年に比べて48パーセント高いが、有罪判決を受けた人の逮捕者はわずかに減少した」と報じた。

ワシントン・ポストによると、報告書から「送還された14万5,262人が有罪判決を受けた犯罪者で、2万2,796人は刑事告訴を受けていた」ことが分かる。

報告書によると、テロリストだと思われる42人に加え、合計5,872人のギャング・メンバーまたはその疑いのある者が逮捕された。

ICEの報告書では、逮捕後の容疑と判決を分析している。

2017年の報告書によると、4万8,454人の不法移民が、暴行で起訴または有罪判決を受けた。2018年の報告書でも同様の数字を示しており、5万753人の不法移民が暴行で起訴または有罪判決を受けた。

殺人に関しては、2017年に1,886人が起訴または有罪判決を受け、昨年は2,028人だった。

3万件という性犯罪の数に達するにあたり、トランプは3つの区分から集めたようだ。

  • 暴行や商業化されたセックスを含まない性犯罪(2017年の6,664件の起訴または有罪判決と昨年の6,888件)
  • 性的暴行(2017年の5,118件と昨年の5,350件)
  • 商業化された性犯罪(2017年の1,572件と昨年の1,739件)

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