<引用元:cleveland.com 2018.6.13>ダレル・スコット牧師による論説
(オハイオ州クリーブランドハイツ)この20年でドナルド・トランプとキム・カーダシアン・ウェストほど、マスコミに広く報道された有名人はほとんどいない。
ところが、リアリティーショーのスター(片方は「元」でもう片方は現役だが)である二人が、アメリカ社会に影響をもたらす重大な問題に共に取り組んだ時、主要なマスコミは本当の話を完全に見過ごしてしまった。それはドナルド・トランプ大統領が急速に、現代の歴史において最も偉大な公民権大統領の1人となろうとしているということだ。
大統領が就任から500日で取り組んできたことの中には、何百万人ものアメリカ人が服役後にもっと機会に恵まれるようにするという、刑務所改革を支持するというものがあった。大統領は下層の麻薬犯罪者を投獄するクリントン時代の「スーパープレデター」政策から抜け出し、ジャック・ジョンソン(訳注:関連記事参照)を恩赦することで105年に渡る間違いを覆した。
だからこそ、カーダシアン・ウェストのようなヒラリー・クリントンを強く支持する人でも、トランプ大統領と協力できると分かったのだ。彼女がホワイトハウスを訪問してからわずか1週間後に、大統領は初犯の非暴力麻薬犯罪者であったアリス・マリー・ジョンソンの刑罰を減刑した。
ジョンソンはオバマ政権に3度に渡って減刑を求めたが、オバマが任期を終える数日前に却下された。
また忘れてはならないのが、数多くの大統領がジャック・ジョンソンの死後恩赦を求める議会決議に従うことを拒否してきたということだ。ジョンソンはアメリカで初めての黒人ヘビー級ボクシングチャンピオンであったが、ジム・クロウの時代にマン法(商業的放蕩、売春、人身取引を防止するための法律)を適用されて投獄された。
これらの取り組みはトランプ大統領が実行力のある人であり、アメリカ人の忘れ去られた共同体のための改革の仲間であることの証左だ。
1月に、私はホワイトハウスで行われた刑務所改革についての会議にトランプ大統領と共に参加した。大統領はその会議で誰よりも強く刑務所改革を訴えていたが、この数週間で大統領が起こした行動こそがまさに、刑事司法制度で是が非でも必要とされる変化をもたらす勇気があるのは何故かということを証明している。
クリントン時代の失策を覆すことは、私にとっては個人的な関りがある。1990年代半ば、近い親戚が「クリントン犯罪法」と呼ばれる法律によって悲惨な人生を送ることになってしまった。当時ヒラリー・クリントンはアフリカ系アメリカ人の若者のことを、「良心を持たない」「共感性のない」「スーパープレデター」だとレッテル貼りし、政府は彼らを「服従」させなければならないと語った。
私の家族のように数多くの人たちは、「初めての黒人大統領」とされる男が導入したこれらの偏見に満ち差別的な政策のために、最終的に人生を破滅へと追いやられた。このような法律が原因となって、アメリカには世界人口の5パーセントしか住んでいないというのに、世界の囚人全体の25パーセントを占める結果になっているのだ。
最も危険で暴力的な犯罪者を刑務所に入れることに集中する代わりに、この国の刑事司法制度は非暴力的犯罪者に数十年の刑期を課すことが余りにも多く(アフリカ系アメリカ人に偏って)、その結果として貧困、失業、服役の悪循環が起きている。
これはそのような若者やその家族にとって悲劇であるが、納税者にとっても悪いことだ。連邦と州の刑務所と地方刑務所の運営には、年間800億ドル(約8兆8千億円)がアメリカの納税者の負担となっている。
トランプ大統領はこのお金を、アメリカのインフラや社会の再建に使った方が良いと考えている。そのため大統領は、FIRST STEP法(H.R. 5682)のような両党による立法を歓迎し、先月法案を下院で通過させるためにニューヨークのハキーム・ジェフリーズ議員のような民主党議員と協力した。
FIRST STEP法は刑務所に大変革をもたらすものであり、量刑改革となる。それは大量投獄に歯止めをかけ、囚人が更生して社会復帰できるようにし、納税者の負担を減らすことになる。
この法案では、個人が社会に復帰するのを助け、根拠に基づく復帰プログラムを拡大することでそれを実現する。それには薬物治療、職業訓練、カウンセリングが含まれる。また囚人に時間貯蓄性で良い態度によって正しい行いが奨励される仕組みを提供し、訴訟手続きを早め、税金の負担を減らし、最も重要なこととして2度目の機会を与える。
FIRST STEP法とトランプ大統領が口にする国内での指導力を結びつけるなら、大量投獄の影響を受けた共同体を助けようと、これほど意欲的になっている大統領は近年では他にいなかった。大統領は少数派の失業率を記録的に低下させることに成功し、歴史的な間違いを正す取り組みを大統領として行ってきた。
トランプ大統領が私たちの共同体を助けることに積極的であることを、キム・カーダシアン・ウェストが認めることができるのであれば、私たちはみな、偏見のない心を保って、全国の黒人社会を改善する改革を受け入れるべきだ。