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ネバー何だと?=The Case for Trump著者の反論

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<引用元:ナショナル・レビュー 2019.3.12

The Case for Trump著者でハドソン研究所上級研究員であるビクター・デイビス・ハンソンによる寄稿

ドナルド・J・トランプがいかにして、なぜ大統領に選ばれ、また、なぜこれまで政策課題を成功させてきたのかを分析しようという――トランプに職業上の投資をしておらず、彼に会ったことも、トランプのホワイトハウスを訪問したこともない部外者としての――取り組みの一環として、私はThe Case for Trumpという本を執筆した。ガブリエル・ショーンフェルドという人物が、ビル・クリストル――チャールズ・サイクスの新しいBulwark(ウェブサイト)の記事で、その取り組みに対するヒステリックな非難を発表した。またそれは、大統領の個人的支持者に対する、その立場の期待通りのネバー・トランプ的個人攻撃を象徴するものだ。サイクスを最近インタビューしたThe Atlanticは次のように指摘する。

しかし今後数カ月で、彼(サイクス)の話では、The Bulwark は特定の種類の「詐欺師と荒らし」に狙いを定めるのだという。――今もミート・ザ・プレスに呼ばれ、一流の新聞に執筆するあの日和見主義的なトランプ容認者たちのことだ。サイクスにとって、こうした人たちは真の裏切り者であり、公然とトランプ主義と浮気することで彼らに悪臭が残ることを彼は願っている。

ショーンフェルドは、「悪臭」が残ることを願っているのに、それどころか我々に、残念な自己卑下の練習をさせている。また彼の批評は、ネバー・トランプの個人的悪意と支離滅裂さという貧しさの実例を提示している。

ヒトラー背理法

ショーンフェルドは自身の論評の中で、カール・シュミットやマルティン・ハイデッガーのような、ヒトラーに仕えた第三帝国のユダヤ人嫌いの名前を提示して、あたかも私がトランプに対して同等の役割を果たしているかのように示唆している。ショーンフェルドはタイミングという点で全く奇妙な感覚の持ち主だ。ハドソン研究所の非常勤研究員であるショーンフェルドが、The Bulwarkで非難を突きつけたのと同じ日、彼の本拠地でもあるハドソン研究所で、私は本について話していた。何よりも私が話したのは、トランプのイスラエルに対する支持と民主党の危険な反ユダヤ主義傾向のことであり、その晩のテレビでも私が繰り返し話したテーマだった。ナチ同調者の名前を挙げることで、ショーンフェルドは私が反ユダヤ主義(数多くの論文を執筆したCommentary誌の元支援編集者だった自分からすれば、奇妙なことだ)だとほのめかしたいのだと思う。――特にロジャー・キンボールのようなトランプ支持者に対する卑劣な非難の中で、彼が過去に使い回した錯乱した言い回しだ。

素人くさい暗示的看過法の流儀で、私を間接的に、第三帝国の反ユダヤ主義者、また概してスターリン、ヒトラー、毛沢東を称賛した人々と対比してから、ショーンフェルドは咳ばらいをして、私がスターリン主義者、ナチス、あるいは大量虐殺の毛沢東主義者だと言っているわけではないのだとしている。陽否陰述の二流実践者としての彼の主張は、そうした名前を挙げたのは、プロパガンダを執筆することに身を落とした知識階級の(私のような)裏切者の、長い伝統があることを示唆するためだというものだ。

では一体、私のナチス的な思想犯罪とは何だったのか?

ドナルド・トランプが、がさつな言い回しや振る舞いをたびたびしていながらも、いかにして2016年の予備選挙と本選挙を勝利したのか、また最初の2年間で、最良の裁判官を任命し、米国内の停滞に対処しようとしながら、いかにして経済成長と外交を再較正するという政策課題を成功裏に成立させたのかについて、私は分析を提示した。

嘆かわしい人たちを取り換える

ショーンフェルドは、The Case for Trumpが、トランプ浮上の状況を説明するのに、進歩主義者がレッドステート(共和党優位な州)と地方を見下しているという、「説得力のある」説明をしていることを認めている。

だが、彼が都合よく読者に伝えていないことは、いわゆるネバー・トランパーが、地方の労働者層の米国人について話したり書いたりしていたはるかに不穏な話も、私は提示したということだ。左翼エリートは、労働者層に対して鼻持ちならない見下した気持ちを心に抱いている一方で、私の知る限り、数々の辛辣なネバー・トランパー同様、同胞である「嘆かわしい」米国人を、大挙してやってくる合法・不法両方の移民と取り換えることは、夢にも考えたことがないのだ。人間をそのように交換するなら、2016年に共和党の有権者に何の影響ももたらさなかった、1年にわたるネバー・トランプ長談義を何百万もの執着者が無視したことに対する、理想的な復讐となるだろうと思う。

人種差別主義者という使い古した作り話

ショーンフェルドはさらに、いわゆるドナルド・トランプが偏狭だという話を強く主張しないことを理由に、私のことを人種差別主義者だとほのめかしている。人種差別主義者の黙認者というには、私は奇妙な生き方をしている。――私が育った家庭は、貧困にあえぐ多民族の田舎にあり、もっぱら「白人」だけというにはほど遠い拡大家族に属していたし、多くが私の故郷の近隣地域から来ていて、学生の大部分がマイノリティーである州立大学で教えている。もし、同化、融合、近親婚というるつぼの政策を擁護することも――そしてマイノリティー社会で生活し、標準以下だが多様性のある公立学校に子供をやることが――過去に「純粋な悪に仕えた」証拠であるなら、自分の罪を認めよう。

さらに重要なこととして、トランプの経済政策は、過去の共和党や民主党の大統領の政策よりも、はるかにマイノリティーの求職者に貢献してきた。民主党の多くの彼の敵と違い、トランプはカトリックを軽視しない。第一線に立って、議会の新世代の進歩主義的な反ユダヤ主義を非難してきた。アフリカ系米国人社会を荒廃させ、多くの黒人指導者が黒人の「大虐殺」と呼び、過去の影響が良くてもリベラルの同意、最悪の場合、進歩主義者の優生学に対する完全な支持のどちらかを得てきた妊娠中絶権に、これほど堅固に反対してきた大統領は他にいなかった。2020年には、そういう理由も含めて、トランプは黒人、ヒスパニック、ユダヤ人の票を、例えば2012年のミット・ロムニーよりも高い割合で得る可能性が十分ある。

(中略)

故意に目をつぶる

諜報活動の研究者だとされるショーンフェルドが支離滅裂であるのは、驚くことに彼が次のように、概して行政国家の行き過ぎについて、特にロシア共謀騒ぎを煽ったスティール文書の役割に関して無知である点だ。

ハンソンも陰謀的な思考を満たした杯でひどく酔っている。彼は4ページに渡って極悪な「ディープ・ステート」について並び立て、それが「要求次第で無制限の政府予算」を持っおり、その「活動の前提として、多文化主義、フェミニズム、そしてアイデンティティに基づく政治を進んで活用してきた」と主張している。このディープ・ステートは、トランプの膝を撃ち抜き、ホワイトハウスから排除しようと全力を挙げて取り組んできたのであり、モラーの捜査が陰謀の中心だと彼は主張する。

ハンソンは、トランプの陳腐な論点を詳細に説明して、2016年の選挙をコントロールするためにロシアとそれとなく共謀したのは、トランプではなくヒラリーの陣営だったと主張している。トランプが実は、「彼が糾弾されたまさにその時点からロシア共謀の被害者」だった、と彼は主張する。

この説は、スティール文書、つまりイギリスの元スパイであるクリストファー・スティールが、トランプとトランプ陣営とロシアとの様々なつながりを調査するためにまとめた文書が、実際はクリントンがホワイトハウスを勝ち取るのを支援するために計画された、クレムリンの偽情報だという考えに基礎を置いている。だがこれは、常識は言うまでもないが、理屈に合わない。それが起きた時、文書のセンセーショナルなネタは、トランプの就任式前夜、2017年1月にバズフィードによって初めて世間の注目を集めた。クリントンとFBI幹部が共謀してトランプを妨害しようとしていたなら、なぜすでに所有していた文書を、トランプ陣営に深刻な損害を与える可能性のあった選挙前に、メディアにリークしなかったのだろうか?当然のことながら、これはハンソンが敢えて考慮しない疑問だ。

残念ながら、上の3つのばかげた段落だけでも多くの無知がある。

選挙直後に自動投票機に異議を申し立てる訴訟が連続して起こされたこと、最初の弾劾条項、選挙人による投票を覆そうとする取り組み、報酬条項、憲法修正第25条、また硬直化したローガン法を行使しようという必死の取り組み、その後のモラー捜査、悲喜劇的なマッケイブとローゼンスタインの無血クーデター、そして多数の下院捜査の意図は一体何だったのか?――選挙以外の手段で大統領の地位を放棄させるということでないとしたら

2018年9月5日の「匿名」のニューヨーク・タイムズ論説ほど、そうした意図が臆面もなく書かれたことはめったになかった。――それが出たのは、ホワイトハウスを崩壊させるようなことの1つ、ボブ・ウッドワードによる最新の内部関係者の話が公開されたのと同時だった。匿名のトランプ政権高官は、自身とそのレジスタンス(#Resistance)連合が、トランプ政権内部に浸透し、密かに官僚としての権力を利用して、自分たちの高い分別と倫理観で不愉快だと判断したあらゆる大統領の取り組みを、無効にしようとしていると豪語した。(「この混沌の時代には、効果のない慰めかもしれないが、米国人は部屋の中には大人もいるということを知るべきだ」と匿名の人物は読者に再確認した。)不祥事を起こした、選挙で選ばれていないFBI元副長官のアンドリュー・マッケイブが自ら認めた話によると、彼と司法副長官のロッド・ローゼンスタインの両名は、――ローゼンスタインが盗聴器を身に着けることを真剣に考えるまで――憲法修正第25条の適用で選挙で選ばれた大統領を排除する可能性について話し合っていた。熱狂的な出世第一主義者のマッケイブは、FBIの自分の手先を、ジェフ・セッションズ司法長官に差し向けなければならなかったとも我々に伝えている。――しかも我々全員の利益のためだという。

なぜ司法省とFBIの高官は、退職した外国人がまとめた未検証の文書が根拠であることを、FISA裁判所に完全に通告せずに、米国市民に対する監視を求めたのだろうか?その外国人は、未検証のロシア人から情報を仕入れ、彼自身FBIからコンサルタントとしての職務を解雇され、密かに2つの防火壁を経由してクリントン陣営に雇われており、また文書を立証するために利用された報道記事の情報源でもあった。

進行中の大統領選挙の秘密を探る情報提供者とのやり取りに、FBIはどんな用件があるのだろうか?サマンサ・パワー国連大使が、おもに任期の最後の年に、米国政府が監視した米国人の氏名(一部は不思議にもリークされた)を開示する要求を260回以上行い、それから宣誓証言で、実際にそうした要求をしたのは自身ではなく、「彼女の名前で」別の(正体不明の)誰かが行ったと主張したのは、一体全体なぜだったのだろうか?ショーンフェルドは無視したが、FBIと司法省の20名以上の職員が解雇され、配置換えされ、降格され、退職、または辞任したのには理由がある。また、245回に渡って、FBI元長官が議会に宣誓証言として、議員の質問に対する答えを思い出せない、または知らないと主張したのにも理由がある。いつかIRSの監査官にその方策をいつかやってみてはどうか。

(三猿の)見ざる

ショーンフェルドが残念ながら妄想しているように思える点は、損害を与えたであろう選挙前に、その未検証の中傷を広めようという取り組みがなかったから、文書は重要ではないという奇妙な主張にある。

なぜすでに所有していた文書を、トランプ陣営に深刻な損害を与える可能性のあった選挙前に、メディアにリークしなかったのだろうか?当然のことながら、これはハンソンが敢えて考慮しない疑問だ。

それを読んで笑うべきか、それとも泣き叫ぶべきだろうか?私がその疑問を「考慮」しないのは、それを質問するほど愚かな人がいるとは思わなかったからだ。

マザージョーンズのデイビッド・コーンヤフーニュースのマイケル・イシコフのようなジャーナリストが、トランプ=ロシア共謀疑惑を選挙前に記事にしており、大部分が、政府消息筋の暗黙の了解を得てリークされた文書の中傷内容を基にした騒ぎであったことを知らないのだろうか?リークされた根拠のない話は、大きく広まるとともに増幅された。それらは実際トランプ陣営にダメージを与えたし、文書を仕掛けてその未検証の疑惑を広めさせるというオバマ政権高官側の取り組みを、実に反映していた。――それは、個人的な政治的計略を進めるためにリークを行うという、FBIで今も続く悪い習慣と一致している。

FISA裁判所の令状――少なくとも1つは選挙前に発行された――は、一部、スティール文書の報道記事を根拠としており、まさにそれらの報道機関に、回覧されるような形で、リークされていたものだった。するとなぜ、またどうしてメディアは、2016年9月にカーターページについて、正真正銘のトランプ=ロシア共謀犯として報道していたのだろうか?――というのもその頃、米国政府は、10月に差し迫ったページ監視のためのFISA令状要求を準備するために、スティール文書を使用していたのだ。カーター・ページを根拠にして、トランプをロシアとつなげる2016年秋の選挙前の狂乱の間、ポリティコのジュリア・ヨッフェは次のように書いていた。

ワシントンは完全に「レッド・オクトーバーを追え!」モードに入っており、ページの痕跡を見失わないようにするためには、そうするしかなかった。それはますます無限の兆しの様相を帯び始めており・・・私に限ったことではない。見たところ、私が話した人は全員ワシントン・ポストとも話をしていたようだ。

英国の裁判所の資料で発覚したのは、FBIの接点であるスティール自身が文書をヤフーニュースにリークし、その後、可能性の低いトランプの大統領当選を妨害するため、またはトランプが勝つという可能性の低い状況が起きた時に、「結果の法的正当性」を疑問視する根拠を示すための保険としてそうしたのだ、と主張したということだ。ニューヨーカーのジェーン・メイヤーですら次のように、スティールが、10月の終わりに自分でメディアにリークする前に、選挙前に、多くのオバマ政権高官の間に自身の主張を植え付けたのだと報道した

フュージョンにせき立てられ、スティールはマスコミに裏で話すことに決めた。「西側の元情報局員」とだけ紹介されて、彼は、マザージョーンズのデイビッド・コーンに、トランプのロシアとのつながりに対する「かなり大々的な調査」の一環として、自らがFBIに情報を提供したのだと話した。彼は、「これは、党派的政治を遥かに超える、非常に重大なことだ」と指摘した。

司法省の高官であるブルース・オーは、妻が文書のことでスティールと一緒に働いていることを連邦政府の書式で公表しておらず、フュージョンGPSのグレン・シンプソンとクリストファー・スティールの両方に会っていた。その上、FBIと司法省の高官ともミーティングをしていた。

つまり、グレン・シンプソンが、選挙後まで司法省高官のオーとは会っていないと主張して、議会委員会に嘘をいったのにも理由があったのだ。

言うまでもなく、選挙後に政府からのリークはこれまでにないほど急増した。――が、2016年11月8日まで、FBI幹部は文書のことを、予想していたクリントンの地滑り的勝利には必ずしも必要のない「保険」としか見なしていなかったために過ぎない。トランプの勝利から時を移さず、スティールの中傷は、トランプ候補者を止めるのではなく、予想外の大統領の地位を覆す意図で使用されるようになった。

(以下略)

(ナショナル・レビュー寄稿者のビクター・デイビス・ハンソンは、ハドソン研究所の上級研究員であり、近著The Case for Trumpの著者。)

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