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ロバート・モラーを止めることは私たち全てを守ることにつながる(論説)

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<引用元:ザ・ヒル 2018.5.20>ビル・クリントン元大統領の元アドバイザー、マーク・ペン氏による論説

「ディープステート」はディープに自暴自棄の状態だ。司法省監察官のレポートが公開されるまであとわずかとなり、またロバート・モラー特別カウンセルが、1年かけてもドナルド・トランプを仕留めそこねる中、彼らも報いを受ける時が近いことを知っている。

現時点で、FBIと司法省の最高レベルがヒラリー・クリントンの「問題」を終わらせるために、自分たち自身のルールを破ったということでほとんど間違いないが、監察官は何が行われたのかを、あるいはもっとあけすけに言えば、何が行われなかったのかを文書化することになる。これについての1年に渡る捜査は、ジェームズ・コミーFBI前長官を非難する結果とならざるを得ないだろう。またおそらく、ロレッタ・リンチ前司法長官についてもだ。フェニックスの空港の滑走路で彼女が行った、クリントン元大統領との「側近抜きの」秘密の会合で、まさか麻雀をしていたわけではあるまい。

この報道のさなか、そしてトランプへの捜査を開始するための確かな、検証された証拠が欠如していたことに議会捜査担当者が焦点を合わせる中、情報機関と司法省の現役当局者とOBは、自分たちの評判を守るために考え得る全てを投げ売ろうとしている。

だがそれも裏目に出ている。彼らはまず、オーストラリア外交官のアレクサンダー・ダウナーの話を出した。トランプ陣営の外交顧問であった、ジョージ・パパドポロスと酒場で話した内容を覚えていた人物だ。しかし、FBIは彼から話を聞くべきだとどうやって知ったのだろうか?クリントン財団に対する2,500万ドルの献金には、ダウナーの署名があった。それほど想像力を働かせなくても、彼がクリントン財団の工作員と近い関係にあり、そこから国務省に情報が中継され、FBIに連絡が行ったということで全てがつながる。これはインテリジェンス(諜報活動)ではなかった。最初から政敵調査のようなものだったのだ。

マルタの教授からのまた聞き(訳注:のまた聞きのまた聞きのまた聞き)のレポートによって、トランプ陣営の4,5人のメンバーを大量に標的にすることが正当化されることなど全くない。クリストファー・スティールは、虚偽の選挙運動ファイリングによってスポンサーを隠蔽され、彼の書いた真偽不明で非現実的な文書を中心とした、巨大な反響室を作り上げるのに大きな成功を収めた。その文書はマスコミとFBIの間であちこちで飛び交うことになり、複数の情報源があったようだが、全てが同じ結論へと導かれた。

捜査員は、何度繰り返しても何の成果も得られなかった。FBIのスパイによるおとり捜査を何度か行ったが、デロリアン(訳注:1982年にFBIの麻薬おとり捜査で逮捕された自動車会社創業者)のように、テーブルの上に現金があるのを収めたビデオを入手することはできないということが分かった。それでも捜査を終えるどころか、ディープステートはそれを更に拡大しただけだった。彼らの手にあるのは、ロシア人と限定的に数回接触したという事実だけであり、トランプ自身とかかわりのあるものは皆無だったが、それでも彼らは推し進めた。スティールにけしかけられ、トランプとその仲間は不正であるに違いないと単純に信じた。彼らはただ十分に詳しく調べる必要があった。

ことによると、時系列の中で最も闇に覆われた出来事は、ロッド・ローゼンスタイン司法副長官が、自ら個人的に辛らつな言葉でコミーの解任を提言した後、特別カウンセルを任命したことかもしれない。ジェフ・セッションズ司法長官が身を引く中、ローゼンスタインとモラーは、自分たちの(利益)相反を無視し、ともかく実権を握った。ローゼンスタインは証人であり、モラーはコミーの友人であるので両者とも不適格だ。

クリントン財団の元弁護士を含む16名の検察官をそろえ、予算は未公表のまま、モラーの捜査は焦土作戦のようなやり方を取ってきた。トランプ陣営全体、トランプのビジネス上の取引、政権全体に至るまで。そして今や、ロシアどころか他の国にまで及ぼうとしているようだ。

大統領の初期の弁護チームは、モラーが何も見つけなければ終わらせるだろうという甘い考えを持っていた。それどころか、捜査員が発見したものが少なければ、それだけ一層彼らはむきになり、範囲を広げた。大統領と今度の弁護チームは、良い方向に進んでおり、全てに適切な制限を設けている。

この手続きは、すぐに止めなければならない。できることならば上院の投票のずっと前にでも。モラーの捜査は、公平で、限定的かつ偏りがないというよりも、党派的で、無期限の取調べとなってしまった。それが先例となれば、国政選挙や政権に参加しようと考える人全員にとっての脅威となる。

その起訴は、無関係の罪状や脅威が家族に及ぼされるという圧力を証人に与え、あるいはロシアのインターネット・トロールに対する起訴のように、パブリックリレーション効果のためだけのものになった。まるで「博士の異常な愛情」に出てくる、世界を救うものとされていたのに逆に破壊してしまう地球破壊兵器のように、モラーの捜査には「オフ」のスイッチが付いていない。つまりモラーをクビにすることはできないのだ。彼は、クリントン大統領を捜査した独立カウンセル、ケン・スタールのように、敗北する必要がある。

「オフ」スイッチを見つけるのは容易ではない。第1段階としては、司法省の監察官によるレポートが、コミーを証人席から叩き出すことだ。次に捜査の発端の全容と、本物のインテリジェンスが欠如していたことが、明るみに出される必要がある。法務長官は、本人も秘密捜査の対象であるが、自身の司法省を取り戻す必要がある。セッションズは、ジョン・ヒューバー連邦検事と共にすぐさま行動を起こす必要がある。ヒューバーは、監察官のレポートに従って、コミーとマッケイブの問題についてFBIに対する内部検証を実施するために任命された。それからセッションズは、他の権力乱用に対して幅広い捜査を発表する必要がある。

大統領の弁護チームは、新たに発揮した積極姿勢を言葉から行動に移す必要がある。つまり、モラーとローゼンスタインが忌避しなかったことを司法業務査察室に提訴し、法廷に出て特別カウンセルの方策に疑義を呈するのだ。その方策の例を挙げれば、彼らは無関係な事柄に対して選択的に起訴し、一般調達局のメールを違法に押収し、FBI職員のピーター・ストラックとリサ・ページのメールを隠蔽し、また司法長官に許可された範囲がないままに活動している。(法令では司法長官は忌避することが求められるが、それでも範囲についての責任は残されていると思われる。)

最終的には大統領が止めさせることにしても良いだろう。ホワイトハウスからテレビ中継でもして、2時間かけて証言を行う。米国が最後にロシアの影響力に取りつかれたのは、1950年代のマッカーシーの公聴会でのことだった。それは、ジョセフ・マッカーシー上院議員(共和、ウィスコンシン)が、陸軍顧問弁護士のジョセフ・ウェルチの友人を攻撃して、ウェルチが「あなたには良識がないのか」という有名な言葉を発した時にようやく終わりを迎えた。この件では、事実上大統領のすべての友人と家族が中傷の的となり、それが都合よくマスコミにリークされている。

モラーを止めることは、1人の大統領や1つの党の話に留まらない。全ての大統領と全ての党に関わる問題だ。ディープステートを一掃して改革し、諜報活動が最大限に確かな証拠なしに、野党の選挙運動に対して決して利用されることのないようにするという話だ。弁護のための資金を必要とすることなく、人々が選挙運動や政権のために働くことができるようにするという話だ。私たちの相違に決着をつけるために選挙を頼みの綱とするという話だ。

著者マーク・ペン(Mark Penn)氏は、マーケティング・サービス会社を専門とする未公開株式投資会社であるStagwell Groupの業務執行社員であり、Harris Pollの会長。1995年から2000年までクリントン大統領の世論調査担当者とアドバイザーを務め、その間にはクリントン氏に対する弾劾が行われた。

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