2月16日、いわゆる「ロシア疑惑」を捜査するロバート・モラー特別顧問は、大統領選挙に干渉したとしてロシアの13人の個人と3つの企業の起訴を発表した。しかし依然としてトランプ陣営との共謀の証拠は発見されず、選挙結果への影響もなかったとしている。
起訴されたロシア人は、フェイスブックやツイッターによる工作を行ったとされている。また、トランプ氏を応援する集会を主導したとも報道されている。しかし、トランプ陣営との共謀の証拠は皆無だ。
ロシアは確かに干渉した。しかし、ロシアの目的は政治的混乱であって特定の候補者を応援したり、貶めることではなかった。ポリティコが2017年11月に報道した記事によれば、ロシアはトランプ氏が大統領選挙に勝利した直後、反トランプの広告を掲載していた。
以下がその広告だが、「私の大統領ではない」というタイトルの画像と共に「国民は心底未来に怯えている!レイシズムが勝利し、無知が勝利し、性的暴力が勝利した。トランプを止めろ!レイシズムを止めろ!」と扇動的な文句を添えて抗議集会への参加を促している。
同様に、同紙の10月31日の記事ではフェイスブックとツイッターの法務担当者も、ロシア関係者が選挙後トランプを弱体化させようとしたことを認めている。(当サイトでもその抜粋を紹介している。)
フェデラリスト紙の共同創業者であるショーン・デイビス氏は、ツイッターで、トランプ陣営に対するロシア共謀疑惑捜査の発端となった「スティール文書」を作成した英国人であるクリストファー・スティール氏を引き合いに出して、次のように述べた。
「米国の選挙に外国人が干渉するのが連邦犯罪であるなら、クリストファー・スティールはいつ起訴されるのだろうか?というのも彼は連邦当局に嘘をつき、誤った情報を与えたのだから」
If it’s a federal crime for foreigners to interfere in U.S. elections, when can we expect the indictment of Christopher Steele, who lied to federal officials and fed them false information?
— Sean Davis (@seanmdav) 2018年2月17日
またデイビス氏は「スティール氏がロシアの新興財閥のために働いていたと分かったら、どう対応すべきだろうか?」ともコメントしている。
スティール氏とロシア新興財閥との関連については、全く根拠の無い話ではない。
米上院司法委員会は2月9日、ロンドン在住のある弁護士に質問状を送った。その中で、ロシアの振興財団であるロシア・アルミニウムの社長であるオレグ・デリパスカ氏とクリストファー・スティール氏の関係について尋ねているのだ。その弁護士はデリパスカ氏の弁護士だとされているという。
「スティール文書」について、その大元の依頼主とされるヒラリー・クリントン氏の選挙陣営と民主党全国委員会(DNC)は、仲介する法律事務所に合計約920万ドルの資金を支払った。それ自体は違法なことではない。
しかし、クリストファー・スティール氏は英国人であり、そのもたらした影響は決して小さなものではない。またその背後にロシア人がいたとすればなおさらのことだろう。