<引用元:ウォールストリート・ジャーナル 2017/10/25>(WSJ編集委員による社説)
ロシアが米国の政治体制の中に疑惑を広めていたことが判明している。それに支援、加担したのは民主党であり、ことによるとFBIも含まれていたかもしれない。これは昨年メディアで優勢だった話から180度転換したということであり、完全に捜査する必要がある。
ワシントン・ポストは24日、ヒラリー・クリントンの選挙陣営と民主党全国委員会が共同でドナルド・トランプ氏に対するロシアの偽情報にまみれた悪名高い「文書(ドシエー)」の費用を支払ったことを暴露した。米国の法律事務所(パーキンス・クーイ)を経由して支払いをフィルターに掛け、その法律事務所がフュージョンGPSの政敵調査の専門家を雇った。フュージョンのほうではイギリスの元スパイを使って疑惑をまとめさせたが、それはおもにクレムリンにつながりのある匿名の情報源に基づくものだった。
仲介者をよくよく調べると、民主党がロシアに費用を支払って米国の大統領候補に関するでたらめの疑惑をまとめさせたようだ。「共謀」と言っていた人が誰かいたのではなかったか?
<中略>
もっと厄介な疑問は、たとえ不注意からだったとしても、ロシアの偽情報工作の支援にFBIが一翼を担ったかどうかということだ。FBIが2016年にその文書を保有していたことは分かっており、報道によると選挙の前段階でスティール氏(イギリスの元スパイ)に仕事を継続させるのに費用を支払うことを議論していた。これが起きたのは、FBIのジェームズ・コミー元長官がトランプ陣営とロシアのつながりの疑惑に対する捜査を強化しているときのことだった。
核心を突く二つの疑問:FBIによるトランプ陣営に対する捜査はあの文書がきっかけだったのか?また、コミー氏と捜査員はトランプ陣営幹部に対して外国情報監視法による盗聴許可を得るためにそれを証拠として使用したのか?
議会捜査チームはFBIの役割について焦点を当てる必要があり、ポール・ライアン下院議長が25日に、FBIが議会の資料要求に「迅速に」応じることを求めたのは正しいことだ。セッションズ長官は司法省のロシア疑惑捜査から忌避しているが、ローゼンスタイン副司法長官と共に強く透明性を求めることはできる。また、ライアン下院議長はデビン・ニューネス情報委員長を再任命してロシア疑惑捜査を主導させるべきだ。なぜなら民主党がニューネス氏を非難したのは、一つにはフュージョンに対する追求から振り払うことを目的としていたからだ。
またこうした点からロバート・モラー特別顧問の捜査につていも疑問が生じる。フュージョンの報道が意味することは、ロシアの選挙干渉におけるFBIの果たした役割を今度は捜査しなければならないということだ。—FBIと司法省は、モラー氏の捜査が議会の捜査チームとの協力を妨げていると主張しているわけではあるが。
モラー氏はFBIの元長官であり長年コミー氏と密接に一緒に働いていた。モラー氏は十数年FBIを率いていきた。そのFBIに対して信頼に足る捜査を実施するには余りにも立場が近すぎると言っても、それはモラー氏の真摯さを非難するものではない。利益相反をめぐる政治的混乱が更に起こることを避けるために、辞任するのが国にとって尽くす最善の道となるだろう。
米国市民は米国の民主主義に対するロシアの干渉の範囲と本質について完全な説明を受けるべきであり、それはトランプ陣営幹部の会談に対して行ったのと同様にスティール文書を追求するということを意味する。