昨年11月8日にニューハンプシャー州で投票者登録をした人の中で、州外の運転免許証を使用していた人は6,500人以上いたが、その後、大部分が州内の免許を取得しておらず、自動車の登録もしていない。
保守派は、投票日に投票者登録できる同州の制度が不正を招いており、それは居住地の証明の確認がずさんであるためだと主張している。
問題の数字は、ニューハンプシャーの下院議長で共和党のショーン・ジャスパー氏が9月7日に発表したものであり、ジャスパー氏が選挙を監視する国務省と公安局に対して問い合わせた内容に基づくものだった。
選挙日以来、共和党の人々は、相当な数の民主党の人々が州外(主にマサチューセッツ州)からニューハンプシャー州にやってきて不正に投票し、選挙が民主党に有利になるようにしたと訴えていた。
ホワイトハウスの政策アドバイザー、スティーブン・ミラー氏は2月にABCニュースに対して次のように語っていた。「ニューハンプシャーで選挙前に働いていましたので、バスで投票者を連れてきているという問題については、ニューハンプシャーの政治に関わる者なら誰でも知っていることだと言えます」
ジャスパー氏の調査結果はそのような訴えを証明するものではないが、一つの裏付けとなるものだ。その詳しい数字は次の通りだ。
- 6,540人が州外の免許証を提示して昨年11月8日に投票者登録して投票を行った。
- 8月30日の時点で15パーセント(1,014名)がニューハンプシャーの運転免許証の発行を受けた。
- 残りの5,526人のうち、ニューハンプシャーで自動車の登録をしていたのはわずか200人強(3.3パーセント)だった。
ニューハンプシャーの法律では、州の免許証を取得するのに居住が確定してから60日を要する。
しかし、11月8日に州外の運転免許証を使用して投票者の登録をした人のうち、80パーセント以上が10カ月以上たった後も州の免許証を持っておらず、また自動車の登録も行っていなかった。
二重投票は違法であり、196人がニューハンプシャーと他の州で投票した容疑で捜査を受けている。
大統領選挙で、ニューハンプシャーでは民主党のヒラリー・クリントンが2,736票差で共和党のドナルド・トランプを破っていた。上院議員を争う選挙では、民主党の挑戦者であるマギー・ハッサンが共和党現職候補のケリー・アヨッテに1,017票差で勝っていた。
不正投票を調査しているパブリック・インタレスト・リーガル・ファウンデーション(Public Interest Legal Foundation)の広報担当ローガン・チャーチウェル氏は、ジャスパー氏の示した数字は同団体が調査した結果を裏付けるものだと述べた。同団体の調査結果では、ニューハンプシャーで居住地の証明なしに投票した人が多いとされている。
保守派の調査団体であるプロジェクト・ベリタスは、2016年の2月にニューハンプシャーで隠しカメラによる調査を行っている。
投票所の職員は、ベリタスの潜入捜査員に「投票するのに州に住んでいる必要はない」「マサチューセッツの運転免許証を使用できる」「身分証明書がなければ書式に記入するだけで良い」と話していた。
「ここに来れば投票してそのまま去っても構いません」と投票所の職員はベリタスに語っていた。
2月にホワイトハウスで上院議員との会談を行った際、トランプ氏はニューハンプシャーで負けたのは何千もの人がマサチューセッツから州境を跨いでやってきて投票したせいだと述べた。また、アヨッテ氏が負けたのも同じ理由、つまり不正投票のせいだと語った。
リベラル派のマスコミは、トランプ氏の訴えを一蹴していた。ボストン・グローブはそれを「事実無根」と評した。
ジャスパー氏にデータを提供した政府機関は、ニューハンプシャーからの転居者である可能性、ニューハンプシャーで運転したことがなかったか、運転をやめてしまった可能性などを考えられる原因として挙げた。また、ニューハンプシャーに居住したが州の免許を取得できなかった可能性もあるという見解だった。
政府機関が発行したデータを示す手紙自体には、州外の人間が不正投票をしたことを示唆する内容はない。
データが示す興味深い事実がもう一つある。6,033人が投票者登録のために居住地の宣誓供述書を書いていたが、国務省がその全員に手紙を送ったところ458通が宛先不明で戻ってきたということだ。