<引用元:デイリー・シグナル 2023.8.7>ハンス・フォン・スパコフスキー氏による論説
(メリック・ガーランド司法長官の完全な承認を受けた)ジャック・スミス特別検察官によるドナルド・トランプ前大統領に対する起訴は、米国の政治制度に対する攻撃であり、憲法第1条によって保護された、真剣な選挙・政治問題について自由に議論、論争、また異議を唱えるための基本的権利に対する攻撃である。
それは、司法省の究極的な武器化、つまりバラク・オバマ時代のエリック・ホルダー司法長官から始まり、ガーランドが上司で政治的後援者であるジョー・バイデン大統領の有望な政敵を排除するために完成させた変革だ。それ以上でも以下でもない。
トランプは、米国に対する詐欺の共謀、当局の手続きの妨害、そして米国民の投票権の抑圧の容疑に対し、3つの連邦法―米国法典第18編の371、1512、241節―における4つの重罪で起訴された。
なぜかといえば、起訴状によるとトランプが、「自身が実際は勝利した」と主張することで2020年大統領選挙の結果を疑問視する「嘘を広め」、「全国的な不信と怒りの雰囲気」を作り出し、「選挙運営に対する国民の信頼を損なった」ためだとされている。
それは通常、ニューヨーク・タイムズの論説で見るような言葉であり、起訴状で見るものではない。意見であって事実を実際に表現した物ではないのだ。
トランプと同様に、2020年大統領選について同様の疑念を持ち続ける米国人は何百万人もおり、スミスのうさんくさい法理論によると、その結果について彼らが今も疑問を持ち続けたことで、訴追の責任を負うことになったというのだ。
突飛に聞こえるかもしれないが、そんなことはない。
主張が真実か否か?それは関係ない
この司法省や今日のFBIを超える法執行権の乱用はないだろう。2020年の選挙の妥当性に関するこれらの主張が真実かどうかは、この刑事事件の争点とは無関係だ。
連邦政府―この場合ではスミス、ガーランド、また司法省―は、アメリカの 「真実 」の決定者ではない。その主張が不合理であろうとなかろうと、選挙結果を疑った人を刑事告発する権利も権限もない。
それには、1824年の大統領選挙が自分から盗まれたと主張したアンドリュー・ジャクソンと同様、ヒラリー・クリントンやステイシー・エイブラムスのような同年代の人物も含まれる。
トランプがよりによって、コロンビア特別区の大陪審に起訴されたことにも注目してほしい。D.C.の有権者はバイデンに92%の票を与えたが、トランプは5%強だった。司法省のベテランなら(私も含まれるだろうが)、D.C.の大陪審はハムサンドを食べた共和党員を喜んで起訴すると言うだろう。
トランプが同地区で、公平な陪審員の前で公正な裁判を受けることは不可能だ。テロリストに対するような本当に重大な事件は、通常、ポトマック川を渡ったヴァージニア州の連邦裁判所に提訴されるのもそのためだ。司法省の検察官が、事実や法律にかかわらず共和党議員を確実に有罪にしたい場合を除き、ワシントンの陪審員やワシントンの裁判官を信用していないからだ。
(以下略)