<引用元:FOXニュース 2020.6.6-7>ピーター・ナバロ氏寄稿
中国共産党は長年にわたり戦略的覇権の拡大のために危機を利用してきた。例えば1962年のキューバミサイル危機の際、米国とソ連が気を取られている間に中国はインドに侵攻した。中国は戦利品としてインドのアクサイチンを一部併合した。
現在我々は、中国共産党自体が生み出したパンデミックに隠れて、中国が独自の策略を進展させようとし、中国の布教者が権威主義政府を支持する筋書きを拡大しようとする中で、同様の戦略的行動を目の当たりにしている。
こうした行動―香港で民主主義を終わらせようとする中国の取り組みも含めて―に基づいて、COVID-19が19の方法で死の勝利に向けて中国をさらに支持するものとなったかどうか考えてみよう。
以下は2019年の終わりからの時系列の出来事だ。
11月中旬、新型コロナウイルスによる新型肺炎の感染が武漢で起こり始める。中国共産党はその後この感染発生が武漢の海鮮市場で始まったと示唆しているが、武漢の2つの政府研究所では野生のコウモリから採取した珍しいコロナウイルスを扱っている。その上、中国では過去に少なくとも他の1つの研究所でコロナウイルス感染が発生したことがある。華南理工大学の2人の中国人学者は、武漢疾病対策管理センターが発生元である可能性があると認めている。
12月30日、リー・ウェンリャン(李文亮)医師がチャットグループで同僚の医師にメッセージを送り、ヒト・ヒト感染と地域感染を警告する。彼と他の7人の内部告発者は警察に拘束され厳しい非難を受ける。リー医師はその後ウイルスで死亡する。
12月31日、中国の地方当局者が武漢の海鮮市場を消毒する。これを行うことで海鮮市場がコロナウイルスの発生源であるかどうかを決定づける可能性のある最も有力な証拠が破壊される。一方で収集されたウイルスサンプルはまだ世界に共有されていない。
12月初めから今年1月20日にかけて、中国共産党はいいなりの世界保健機関(WHO)を盾に、世界にウイルスを隠ぺいする。中国は、国政的専門家と米疾病対策センターがウイルス調査のために武漢に接近することを拒否する。1月14日にWHOは、コロナウイルスの「ヒト・ヒト感染の明確な証拠は中国当局が実施した予備調査で発見されていない」とツイートする。
1月7日、中国の習近平国家主席は、中国共産党政治局常務委員会に対して「感染拡大の阻止」の要求を出す。それでも習は、中国外交官が1週間後にホワイトハウスを訪れてトランプ大統領や通商チームと握手するのを許している。米国との第1段階の貿易協定が1月15日に署名されて初めて、習は1月20日に中国共産党が拡大を許した「悪魔」のウイルスを公表する。
1月21日、米国の知的財産を盗まないという1月15日の貿易協定での約束にもかかわらず、武漢ウイルス研究所―死のウイルスの発生元である可能性の高い場所―は、米国企業が開発した治療薬、レムデシビルの特許を申請する。米国の特許を侵害するというのが明白な目的だ。
1月下旬、中国共産党は国内の移動を封鎖するが、3月終わりまで海外旅行を許可する。封鎖前に500万人以上の中国国民が武漢から逃げる一方で、何万人もの中国国民が世界中に渡航してウイルスを拡大させ、それによって武漢で阻止されたであろう感染拡大を世界的なパンデミックに変えた。
1月31日、トランプ大統領が勇気ある決断を行う。大統領は、米国入国を試みる14日以内に中国に滞在していた外国人の米国への入国を停止・制限する。中国共産党はそれを「過剰反応」と呼ぶ。翌日、民主党の指名確実大統領候補のジョー・バイデンはトランプを「外国人嫌い」と呼ぶ。
中国ウイルスを世界から隠ぺいしながら、中国共産党は個人防護用具(PPE)の純輸出大国から純輸入大国に転換する。中国のPPE貯蔵には、誰もが欲しがるN95マスク20億個以上が含まれる―そのためミランからニューヨーク、その他で医師と看護師の間で深刻な不足が起きる。
ウォールストリート・ジャーナルが中国のウイルス対応を批判するオピニオン記事(ニュース記事ではない)を出した後、中国共産党は2月19日に北京駐在の3人の同紙記者の資格を取り消す。1カ月後、ニューヨーク・タイムズとワシントン・ポストの記者の資格も取り消し―香港基本法に違反して―香港からの報道にまで禁止処分を拡大する。
1月下旬、中国政府当局者は武漢ウイルス研究所がテキサス大学生物学的封じ込め研究所に新型コロナウイルスの分離株を共有できないようにする。これはこうしたサンプルを共有するという武漢研究所の当初の合意を覆すものだ。中国共産党は、中国軍の有力な伝染病学者でウイルス学者である中国人民解放軍のチェン・ウェイ陸軍少将を、武漢ウイルス研究所の幹部に就任させる。
中国共産党は一部では市民を自宅に封じ込めて、武漢での感染拡大を抑える中、膨大なPPEの備蓄を暴利を貪るために利用する。中国企業はマスク、手袋、ガウン、ゴーグルを巨大な利幅で売り歩く―もともとPPEを提供していたイタリアのような国にPPEを冒頭価格で売り返すことさえも。
さらに暴利を貪るために、中国は世界の市場を溢れさせ始める―スペイン、トルコ、オランダからジョージア、チェコ共和国、そして米国に至るまで―欠陥品の検査キットとPPEで。問題を解決するどころか、中国共産党は「利用者の間違い」のせいにする。
4月4日、国際的な危機から利益を得るための確立された作戦に従い、中国沿岸警備隊の船舶がベトナムのトロール漁船を沈める。中国共産党はそれから80の島、岩礁などを、南シナ海での不当な領海の主張をさらに強めるために追加する。米国国務省は中国共産党に「不法な主張を拡大させるために他国の注意散漫や脆弱性を利用することをやめる」よう警告している。
4月24日、欧州はウイルスに関する偽情報活動についてのEUの報告において中国の過失をごまかすことで、中国共産党の圧力に屈する。4月30日、いかなる責任を認めることも拒む「戦狼」外交を実演し、中国共産党はオランダに台湾にある事実上の大使館の名称を変更するよう求め、さもなければPPEを停止してオランダ製品を中国でボイコットすることになると警告する。
4月29日、中国共産党幹部が、「ウイルスが引き起こす脅威が最初に分かってから数週間を無駄にしたのは」トランプ政権のせいだと述べる。
5月13日、FBIとサイバーセキュリティ・インフラストラクチャー安全保障局は警告を発表し、中国共産党とつながりのあるハッカーが、ワクチン開発を目指す米国と他の外国企業の知的財産を盗もうと試みていると報告する。第1段階の貿易協定で米国の知的財産を盗むのを止めるという中国共産党の約束にもかかわらず、だ。
5月18日、中国共産党は世界的パンデミック対応の支援として2年間で20億ドルを約束する。これは世界的な中国ウイルス対策のために米国が投じた90億ドル以上からすればわずかであり、中国の世界銀行からの借り入れを下回る。中国は、WHOの対応とウイルスの起源に対する公平で、独立した総合的な調査を要求する決議を193の他の加盟国が採択することを阻止しようとしたができなかった。だが、中国共産党はすでにこうした重要な調査を行き詰まらせようとし始めている。
5月22日、香港のデモ参加者をロックダウンと「ウイルスに乗じて」鎮圧した後、中国共産党は新しい安全法で民主主義つぶしに向けて動いている。この法律は香港の街中に中国の安全保障当局者を入れさせ、香港市民の監視を増大させ、平和的なデモと反対意見を罰することを目的とした社会信用採点システムを押し付けるものだ。この弾圧は、香港民主党の創設者である81歳のマーティン・リー(李柱銘)、ニュース発行者のジミー・ライ(黎智英)、そして10人以上の著名な民主派指導者が4月に逮捕されてからのことだ。
我々がやがて前進する中で、中国共産党自体の不正な行為が生み出したパンデミックを利用するために、中国共産党による政治的、経済的、軍事的策略がもっと多く出てくるだろう。
いうまでもなく皮肉なことに、中国共産党は今中国の権威主義ルールが、自由で民主的な法の支配に対する優れた統治制度を提供するという虚構を広めている。しかしながら世論調査が信じられるならば、中国共産党の売り込むものを受け入れる者は誰もいない。
この米国では間違いなく受け入れられないし、これによって我々が注意をそらされないと中国共産党に警告する。我々は中国共産党が一体何をやろうとしているかわかっている。
ピーター・ナバロ氏は製造業・通商政策担当大統領補佐官であり通商製造業政策局の局長である。