まだ新しい警備職員の増員はされておらず、トランプが約束した国境の壁は1マイルも建設されていないが、南西部の国境からの不法移民の数は、トランプ大統領の下でこれまでに60パーセント以上も減少した事を、火曜日に政府関係者が明らかにした。
トランプ氏は不法入国者の「記録的な減少」において勝利を飾っており、人々が不当な労働者と競合する事を防ぐことでアメリカ国民の雇用を既に守っていると言われている。トランプ氏は、元海兵隊司令官のジョン・F・ケリー国土安全保障長官を称賛し、「就任以来61パーセントの減少だ。ケリー長官は素晴らしい成果を収めている」と、ワシントンの労働組合の集会で語った。ケリー氏は水曜日に、国境の状況を調査している上院国土安全保障委員会に対して詳細の数字を報告する予定だ。
元国境警備隊主任のデイビッド・V・アギラール氏は、委員会の最初の公聴会の証言で、トランプ氏の話よりもっと高い率であるかもしれないと語った。彼は、2016年に比べて南西部国境での検挙は3月全体で67パーセント低いと述べた。
アギラール氏は、アメリカ移民税関執行局(ICE)の職員がアメリカ国内で不法移民を追求できるようにし、国境警備を引き締めると断言したトランプ氏のおかげだと語っている。
「この政権は、不法移民に取り組むつもりだと言ってきた。ICEは今までと異なり、国内で活動を始めている。それでメッセージが反響を生んでいるのだ」とアギラール氏は語った。
その数字が発表されたのは、トランプ氏の壁の試作に対する最初の提案の締め切りの数時間前の事だった。
国土安全保障局は、切断やガスバーナーによる破壊などの、障壁を突破しようとする試みに4時間耐えられる30フィート(訳注:約9メートル)のフェンスを要求している。コンクリートの壁と柵が求められるが、選ばれた企業が試作品を作りサンディエゴでテストされる事になっている。
しかしながら、トランプ氏の強硬姿勢のこれまでの成功にもかかわらず、壁が本当に必要かという疑問を提起させてもいる。
ミズーリ州、民主党のクレア・マカスキル上院議員は、国土安全保障局が初期の壁試作の費用として技術基金から2千万ドルを吸い上げたと述べた。
彼女は、当局の初期の試算で、マイル当たり約35ドルとして、来年の75マイル以下の壁建設のために26億ドルが必要とされていると語った。
ノースダコタ州、民主党のハイディ・ハイトカンプ上院議員は、南西部のメキシコとの国境全体にわたる壁が必要だと言っている国境警備職員に会ったことがないと述べた。
「誰1人として、どんな政治的な立場でも関係なく」と彼女は語った。「私はただ私たちがその枠を超える事ができればと願っているだけで、そうすれば国境について行う必要のある事について実際に話せるのです」
アギラール氏と元国境警備隊副主任のロナルド・S・コルバーン氏は、壁を建設する上で技術が最も重要だと語った。しかし両者とも壁は役に立つと語った。
コルバーン氏は、アリゾナ州南西部とカリフォルニア州南東部に渡るユマ地区で国境警備隊を率いていたが、その地域のメキシコとの国境125マイルに渡って障壁が建設される前後の違いについて詳細に語った。当局はかつて、13万8千人の不法移民を逮捕し、自動車で国境を突破しようとする試みは2千7百回を記録し、約3万6千ポンドものドラッグを押収したと彼は語った。
フェンスが完成した翌年、職員も増員され新たな技術も導入されて、自動車による突破この試みはわずか6回に留まり、そのすべてが阻止された。検挙数は約8千4百に低減した。
「現場の国境警備隊員に聞いてみれば分かる」とコルバーン氏は語った。「フェンスの事を彼らに尋ねると、誰もが必要な場所に新しい障壁を作ろうと答える」
彼はまた、障壁によってメキシコ側の住民もより安全になったと述べた。障壁が建設される前は、無法者が自由に闊歩して移民を食い物にし、不法移民輸送業者との間で共謀することが多かった。強盗、障害、レイプ、殺人が多く見られた。
コルバーン氏は、フェンスが作られる前、彼の部隊で200回の攻撃と1,800名の犠牲者があったという記録があると語った。フェンスができてその数字はゼロになったのだ。
国境警備隊員に対する襲撃も劇的に減少したと彼は語った。
国境警備当局は、ユマ地区での成功を他の南西部国境地域に広める方法を見つけようと長い間努力してきたが、2012年の間に進展があったようだ。しかし、中央アメリカからの不法移民は地域のひどい状況に押されアメリカの政策に魅力を感じて、再び急激に増加している。
現在、国境警備隊の検挙数から見てトランプ氏はそれらの数を減らすことができたようである。拘留される人の数は、どれだけの人々が国境を突破しようとしているかを計る大まかな判断材料になるとアナリストは言っている。検挙数が少ないという事は、不法移民の数も少ないという事だ。
アギラール氏は、レーガン政権で議会が多数の不法移民に法的な資格を与える大幅な恩赦を議会通過させ、厳しく取り締まることを約束した後も、同様の低下が起こったと語った。
合法化は行われたが厳しい取り締まりは行われなかった。不法移民はその後の20年で急増した。
「実質的な取り組みが継続されない限り、長続きしない」と、アギラール氏は語った。