ジャーナリストのサラ・カーター氏は、FBIが、トランプ大統領のロシア疑惑の根拠の1つとされている信憑性の確認できない文書を利用して、トランプチームのメンバーを監視、盗聴するために裁判所から許可を受けていたことを明らかにしている。
文書は、フュージョンGPSという会社に雇われたイギリスの元スパイであるクリストファー・スティール氏が作成したもの。昨年10月にはワシントン・ポストの報道により、民主党全国委員会(DNC)とヒラリー・クリントン選挙陣営がフュージョンGPSという会社に資金提供して文書が作成されたことが明らかになっている。
ジャーナリストのカーター氏は、法執行機関など複数の消息筋からの情報として、FBIが米国の外国諜報監視法(FISA)を悪用してトランプ陣営メンバーへの監視許可を得たことを示唆している。
また今後1週間で、FISAの組織的な悪用についてのさらなる情報が表面化するとの情報もある。
ある政府当局者は次のように述べているという。
「(文書が)許可を得るために一役買ったのは確かなことだ。議会はこの件を担当したFBI捜査官を調べ、むしろその文書の何が証明されたのか確認する必要がある。重要な疑問点は文書の情報源に対してFBIが何らかの役割を果たしていたかどうかだ」
また昨年12月にニューヨーク・タイムズは、トランプ陣営へのロシア共謀疑惑の捜査が開始されたのは元選挙スタッフのジョージ・パパドポロス氏に対する疑惑によるものだと示唆する記事を書いた。この件について法執行機関の幹部は次のように述べている。
「文書についてスキャンダルが出ててしまったので、当局の人間はパパドポロスのために捜査を始めたと言って論点をずらそうとしている」
ニューヨーク・タイムズは2017年4月12日付の記事で、トランプ陣営元アドバイザーのカーター・ページ氏に対するFISAによる盗聴の許可が取得された経緯を報道している。その中で、トランプ大統領によって後日解任された当時のFBI長官、ジェームズ・コミー氏は盗聴許可の取得手続きは「厳格な、厳格な手続き」だと説明していた。
サラ・カーター氏も言及しているが、下院常任情報委員会は1月5日に、スティール文書に関するFBIと司法省のすべての資料の閲覧が可能になった。公開要求を行ったのは昨年8月のことだったが、当局側から長らく拒否されていた。