ドナルド・トランプNEWS

アフガン崩壊をトランプのせいにするな、オバマの責任だ

<引用元:ワシントン・フリービーコン 2021.8.13>ジェームズ・カラファノ氏による論説

アフガニスタンから唐突に撤退するというジョー・バイデン大統領の決断は、目に見える出口戦略なしに同国を残忍で破壊的な混乱に陥れた。バイデンはタリバンにカブールの米国大使館を見逃すよう懇願した後、現在、大使館職員を早急に空路で退避させるために3千人の軍隊を派遣している。

現段階でこの大失敗からもたらされる唯一の価値は、我々の指導者が目を覚まして、オバマの外交政策は大失敗でありきっぱりと放棄しなければならないものだと認識するかもしれないということだ。不幸にもこの教訓は、またも多大な犠牲、つまり人類にとっての広範囲の悲惨な状況と米国の国益に対する脅威増大によってもたらされた。

何が起きたかを確認しつつ、まず、この失敗が不可避で全てドナルド・トランプ前大統領の失敗だというデマを排除しよう。

実際には、トランプ政権の間にアフガン政府の多くの欠陥にもかかわらず、アフガニスタンは大きく進歩した。政府は国の大部分の地域を支配していた。実際に経済成長があった。女性は働くことができた。子供は学校に行くことができた。

その上、安定したアフガニスタンを維持することによる地域安定の促進コストは、十分に無理のない範囲だった。米国がアフガニスタンで1年間に費やすコストは、かつて1週間に費やしていたコストを下回っていた。米軍はアフガン軍を訓練し助言していた。米国の兵士は戦争に加わらず、死傷者も出していなかった。これは明らかに持続可能だった。

では一体全体どうして、慌てて逃げだすというバイデンの悲惨な決断がトランプのせいになるというのか?トランプはタリバンと交渉をしていたが、それは何の問題もなかった。交渉は条件に基づくものだったし、トランプは明確にタリバンがその行動に責任を負うものとしていた。

さらに、トランプ政権は、最終的にもしタリバンを信用できないと判明したら、残存する米軍はタリバンに対して本格的な抑止力を示し、米国の利益を守るのに十分であるように規模と範囲が調整されることを確認していた。

トランプは実際、ほとんど解決した問題をバイデンに手渡した。バイデンが行うべきことは、力を持った立場から永続的調停を交渉するか、タリバンが約束を破った場合はアフガニスタンで最低限の戦力を維持するかだけだった。その代わりにバイデンは、タリバンが現地でやっていたことにかかわらず、ただ切り上げて軍隊を帰還させると決定した。

委ねられた条件を考慮すれば、タリバンの攻撃は驚くことではなかった。バイデンがアフガニスタンを見捨てたことに付け込まないはずがない。タリバンは完全にわかっていた。自分たちが殺人、レイプ、強制結婚、そして暴力の限りを尽くすことを、この大統領が止めようとする可能性がゼロに近いということを。

もちろん、バイデンはトランプのせいにするだろう。彼はタリバンのせいにするだろう。バイデンはあらゆる弁解をして、望む通りの話を広めることができるだろうが、口で弾丸を止めることはできない。これは最悪の事態だ。状況は彼が軍を撤退させるまで崩れなかった―そして彼が決断したことのためにこれが起きたと結論付けざるを得ない。

もっと大きな問題もある。これは単発の決断ではなかった。これはオバマ・バイデン外交政策のパターンの一部だ。そして現在の政策はほとんど同じ人々によって管理されているのだから、驚くことではない。

イラクで、多くの時間と労力を費やして国を安定化させた後、バラク・オバマ元大統領は急激に米軍を撤退させた。山火事を鎮火した消防士が、万が一火災が再発する場合に備えて居残るのを止めるよう命じるようなものだった。ISISは一夜のうちに急成長し、現代の歴史で最も大きく強力なテロ国家を作り上げた。

リビアで、オバマは陰から主導することを強く主張した。そしてムアンマル・カダフィがいったん状況から姿を消すと、オバマはベンガジの外交使節が破壊されるまで急低下する治安情勢を無視した。

これがオバマ・バイデンの戦略だ。危険な状況で撤退し、急速に悪化しないことを願う。そしてそうした甘い期待が報われなかったら?今度は弁解だ。責任転嫁し、問題解決はそっちのけだ―選択の余地が全くないのでなければ。

米国の敵を前に、オバマ・バイデン外交政策の基本姿勢は調整と宥和だ。残念なことに、悪い奴らは馬鹿ではない。彼らは8年間オバマの戦略を学んでおり、どうすべきか知っている。悠然とした自己弱体化に付け込むということだ。

バイデンは全く同じ外交政策を継承している。ノルドストリーム2ではロシアに屈した。COVID-19起源については中国に対決することを拒んでいる。テヘランには米国をイラン核合意に復帰させて欲しいと訴えている。

ここから何も良いことは生じない。

<ジェームズ・ジェイ・カラファノ氏は、ヘリテージ財団外交防衛政策研究所の副所長>

 

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