<引用元:デイリー・シグナル 2021.3.11>M・D・キトル
(マディソン、ウィスコンシン州)フェイスブックのマーク・ザッカーバーグCEOとその妻が何億ドルもの資金を全米安全投票イニシアティブに提供した時、「寄付」は「米国の選挙を保護」して「パンデミック中の民主主義を支える」ために不可欠な支援として歓迎された。
だがウィスコンシン州のような激戦州で支援金が本当に獲得したものは、ウィスコンシン・スポットライトが入手した何百ページものEメールと他の文書によると、リベラル団体と民主党活動家による11月の大統領選挙への侵入だった。
グリーンベイ市はザッカーバーグが資金提供した技術・市民生活センター(Center for Tech and Civic Life:CTCL)から合計160万ドルの支援金を受け取ったが、複数の民主党候補者に協力してきた「支援金の指導員」が選挙前に不在者投票箱へのアクセスを許可されていた。
全米在宅投票協会(National Vote at Home Institute)のウィスコンシン州支部長でああるマイケル・シュピッツァー・ルーベンシュタインは、いろいろな意味で市の事実上の選挙責任者となった。
メールから、グリーンベイ市の非常に党派的な民主党のエリック・ゲンリッチ市長とそのスタッフが、市職員のクリス・テスケの権限を奪ってザッカーバーグの支援した「支援金チーム」に引き継がせたことが分かる―選挙法専門家はウィスコンシン州選挙法の明白な違反だとしている。
またそれらのリベラル団体は不正に選挙制度に入り込み、ザッカーバーグの資金の600万ドル以上を分け合う州最大のコミュニティである、「ウィスコンシン5」と呼ばれるものと協調していた。
メールは、明確な政治的目標を持つ民間の「公平な選挙」団体に管理権限を明け渡すことの危険性を露呈している。
ウィスコンシンでの公式最終結果では、民主党のジョー・バイデン候補がドナルド・トランプ大統領を49.6%対48.9%の投票で破り、2016年にトランプが勝利した州を逆転させた。
ウィスコンシン州議会選挙運動委員会の委員長を務めるジャネル・ブランドチェン州下院議員(共和、メノモニーフォールズ)は、最初にシェイ・ソートウェル州下院議員(共和、ツーリバーズ)が情報公開要求によって入手したグリーンベイ市のメールは、10日の選挙管理委員会公聴会での中心となるべきものだったと述べた。
「ゆくゆく、もし我々が対処しなければ、ウィスコンシン州の政治システムが破たんすると思います」とブランドチェンは述べた。
外部の支援
6月、CTCLは州の5大都市に合計630万ドルの支援金を提供すると発表した。グリーンベイ市は約110万ドルを受け取り、その後追加で50万ドルを受け取った。
資金は「COVID-19パンデミックの中で選挙管理を支援する」ために使用されるという名目だった。民主党色の濃厚な牙城である「ウィスコンシン5」は、資金確保のために協力した。
支援金は、保守派の言論を黙らせているソーシャルネットワーク大手であるフェイスブックのCEOが出した2億5千万ドルの「贈り物」のおかげだった。ザッカーバーグは極めて重要な11月の大統領選挙前に、「安全な選挙」という目標のためにさらに1億ドルを投じることになっていた。
支援金に政治が付随することは早い段階で明らかだった。
「私はどこから何百万(ドルの支援金)が来ているのかとフェイスブックで人々が不満を訴えるのを読みました。政治的になる可能性があると思います」と、当時グリーンベイ市職員だったテスケは市の財務部長でテスケの上司だったダイアナ・エレンベッカーに対する6月14日付のメールで書いた
テスケは、市長の首席補佐官であるセレスタイン・ジェフリーズが「支援金を提供する団体の顧問が選挙で『我々を協力してくれる』ことについて話していたが、私はそれについて何も知らない」と書いた。
最終的に、顧問らはグリーンベイの選挙管理の「協力」で広範な役割を果たすことになる。
「グリーンベイ居住者全員が8月と11月に安心安全に投票する機会を持てるようにするために、支援金を活用できることを心から期待しています」とゲンリッチ市長は、支援金を発表するプレスリリースの中で述べた。
市長は支援金を支持し、グリーンベイ市議会はその財源を承認した―支援金提供者の条件付きで。
「CTCLは我々が前提条件に従わなければ資金を返してもらうと言いました」と、選挙後にアリゾナ、ミシガン、ペンシルベニア、そしてウィスコンシンで選挙手続きの合憲性に異議を申し立てたウィスコンシン有権者連合( Wisconsin Voters Alliance)の控訴を担当するエリック・カーダル弁護士は述べた。「市はCTCLに支援金の活用方法を報告しなければならず、その後(CTCLは)全ての非営利団体を紹介しました」
「お手伝いしましょうか?」
関係者の重要人物の1人が、全米在宅投票協会の選挙安全策担当州支部長であるシュピッツァー・ルーベンシュタインだった。
同協会は「選挙支援」ネットワークの多くの左傾協力団体の1つであり、CTCLとは切っても切れない関係である。CTCLの創設者・理事は、全米在宅投票協会のための「顧問サークル」に入っている。
シュピッツァ―・ルーベンシュタインは、ウィスコンシンでの同団体の取り組みの責任者に任命されたが、履歴書によると民主党選挙運動で働いた経歴を持っている。2012年には「猛烈なリベラルの」民主党で元ニューヨーク市議会議長のメリッサ・マーク・ビバリートのインターンを務めた。
シュピッツァー・ルーベンシュタインは、グリーンベイ選挙管理委員が市職員に戻ってきた不在者投票を訂正したり、「是正」したりするのを手伝おうとした。
「署名や立会人署名の住所がない不在者投票を是正するのを我々がお手伝いしましょうか?」と彼は市職員のテスケに、10月7日のメールで書いた。
ウィスコンシン選挙管理委員会は職員が不在者投票の間違いや脱落を修正することを許可したが、元民主党選挙スタッフが「手伝う」ことができるとは言っていなかった。
市職員はシュピッツァー・ルーベンシュタインの申し出を断った。
市長のオフィスは圧力を加えた。
「支援金指導員は、投票修正プロセスについてさらに話し合うためにあなたとの面談を求めています。あなたの都合を彼らに知らせてください」とゲンリッチの首席補佐官であるジェフリーズはテスケに要求した。
シュピッツァー・ルーベンシュタインは、全米在宅投票協会が他のところにも同じことを行ったことを職員に請け合った。
「我々にはミルウォーキーで彼らの手続きのために協力したプロセスマップを持っています。我々は有権者に注意する電話の定型文といっしょに、拒否された不在者投票について発送する手紙を適応させることもできます(我々は人々に電話をさせることもできますので、それについては心配無用です)」と彼は書いた。
ジェフリーズは、メール(彼女が送ったものだが)を見たことがないのでコメントできないとウィスコンシン・スポットライトに答えた。自分にそのメールを送ってきても、おそらく確認する時間がない、と彼女は答えた。
過度の「手伝い」
テスケの我慢も限界を超えていた―そして彼女の事務所も制御できなくなっていた。複数のメールから、市長、市長の首席補佐官、市の特別選挙管理委員会、そしてグリーンベイ選挙管理委員会で我が物顔に振る舞う非営利団体の侵入者に対する市職員の対する不満が高まっていたことが分かる。
市職員の彼女は8月末に上司で財務部長のエレンベッカーにこう書いた。「ご存知の通り、他の職員ともども私は非常に不満を感じています。これ以上どうすればいいのか分かりません。私は手続きについて説明しようとしていますが聞く耳を持ってもらえません。あなた、私、そして市長が行った前回の会議後、ドアは開かれているはずだとしても市長に話すことはできないと感じています。手続きの知識を持たない人々がどうやって我々に選挙管理の方法を教えることができるのか理解できません」
10月22日、事態は限界に達したようだ。テスケは2人の職員が辞めたいと考えており、もう1人は新しい仕事を探しているとエレンベッカーに伝えた。彼らは市長オフィスから無視されるか、いじめを受けていた。
「彼らは泣きながら私に電話してくるか、泣きながら家に帰ったと言います」と職員は述べた。
テスケは支援金チームのコンサルタントがウィスコンシン州の選挙法を理解していないのではないかと思った。
「私はこれらの支援金の人々が判断しようとしている顧問を我々に派遣する時、その意見が合法的か否かも尋ねました。全ての州にはそれぞれ異なる選挙法があります。そしてこのグループはイリノイ州から来た人たちです。彼らは締め切りが過ぎたという理由から、期日前投票所の追加はあり得ないということをとっくに指摘するべきでした」と彼女は7月9日にエレンベッカー宛てのメールで書いた。
最終的にテスケはもう我慢できなくなった。10月22日に彼女はメールで休暇を取ると書いた。年末までに彼女は正式に辞職して近くのアッシュウォーベノン地域で同様の職に就いた。
テスケはウィスコンシン・スポットライトのコメント要求に回答しなかった。
選挙の鍵
テスケが不在となり、シュピッツァー・ルーベンシュタインとそのチームは今度の選挙での関与を増加させたようだ。全米在宅投票協会の州支部長はどこにでも顔を出すようであり、グリーンベイの選挙管理のほとんど全ての面を主導した。
シュピッツァー・ルーベンシュタインは選挙の2日前に市の連絡係であるアマード・リベラへのメールで次のように書いた。「票は容器内のトレイ・箱に入っていますか?私は今KIにいますが、終日容器を動かす必要があるかどうか、あるいは壁に固定して票を拠点間で移動するためにトレイか何かを使えばいいか把握しようとしています」
グリーンベイのハイアットリージェンシーにあるKIコンベンションセンターは、選挙管理員が市の集計本部を置き、終盤には不在者投票が保管される場所として決定した場所だった。
集計本部は元々シティーホールの予定だったが、広さの制限とCOVID-19の懸念からコンベンションセンターに移動することを余儀なくされた。ある時点で、市の職員は全米在宅投票協会の代表者と話した後、「(選挙監視委員が)建物内に入らないようにするために」どうすれば市がシティーホールの集計本部をライブ配信できるかについて「ブレーンストーミング」していた。
シュピッツァー・ルーベンシュタインは不在者投票が保管される部屋の鍵を与えられていた。ハイアットリージェンシーのチェックリストは、スタッフに次のように指示していた。「大宴会場のドアを開錠する時にマイケル・シュピッツァー・ルーベンシュタインが保証するまでは、大宴会場を開錠してはならない」
1月初めにブラウン郡職員を辞職したサンディ・ジュノは、シュピッツァー・ルーベンシュタインが「選挙前の数日」KIセンターの大宴会場の5つの鍵のうち4つを持つことが契約で規定されていたと述べた。
グリーンベイ市は文字通り、選挙の鍵をニューヨークから来た民主党の工作員に渡したのだ。
道を踏み外したグリーンベイ
ジュノはグリーンベイでの選挙の実施方法に懸念を投げかけた。彼女はウィスコンシン州選挙管理委員会に、集計本部の場所は「選挙に影響を及ぼす外部団体のために働く人物の影響に染まっている」と考えていると伝えた。
選挙管理委員会弁護士のネイサン・ジュドニックは、市が団体と協力することは禁止されていないが、「現場で務めている監視人と不在者投票開票点検委員会が判断を下すべき人々である」と述べた。
しかし、シュピッツァー・ルーベンシュタインと一団が多くを支配していたのは明らかだ。
ジュノは、市長オフィスが主導するグリーンベイ当局は、選挙のずっと以前にブラウン郡職員との連絡を絶ったと述べた。
「ブラウン郡の中で本当に道を踏み外した自治体が1つありました。2020年にグリーンベイは全く自分勝手に行動しました」と彼女は述べた。
市は郡と連絡を持っていなかったのかもしれないが、「ウィスコンシン5」、特にミルウォーキー選挙管理委員とは連絡を取り協調していたことがメールから分かる。
ウィスコンシン有権者連合のカーダル弁護士は、リベラルの非営利団体は市職員の権限を奪うために市長オフィス、グリーンベイ市議会、そして特別選挙管理委員会と協力したのだと主張している。
ウィスコンシン州選挙法は、地方自治体職員が選挙の管理を行うと明確に定めている。CTCLの選挙安全策支援金には、市がこうした左傾団体に合法的には得られない権力を与えるよう抑制する条件が付随しているとカーダルは述べた。
市長とそのチームには、市議会同様、市職員の選挙での役割を制限したり奪ったりする法的権限はなかった。
問題は選挙の不正ではなく、第三者団体と市によって法律が破られたことであり、選挙制度の完全性に疑問を残しているとカーダルは述べた。
「理解すべき重要な点は、こうしたこと全てがいかに合法的に権限がないことかということです」と、トーマス・モア・ソサイエティの特別法律顧問も務める弁護士は述べた。
CTCLの幹部はウィスコンシン・スポットライトからのコメント要求に回答しなかった。
ブランドチェン選挙運動委員長は、もし立場が逆だったらリベラル有権者も同じ懸念を持っただろうと述べた。
「例えるなら、(共和党の)ウォーキシャ郡で誰かがティーパーティに選挙を管理させていたらどうかということです」と議員は述べた。
共和党支配の議会は最近、加熱した大統領選挙につながった無数の選挙完全性の懸念に対する答えとして、いくつかの改革法案を提出している。
法案パッケージには、職員と選挙管理員が投票を訂正することを禁止し、選挙人と不在投票の立会人が間違いや脱落を修正するという本来の意図に立ち返る法案が含まれる。
別の改革案では、民間の資金は州を通じるよう義務付けており、これによってウィスコンシン州で最大の最もリベラルな都市以外にも資金を分割することになる。
「私の選挙区民は2020年の選挙について多くの懸念を持っていました。グリーンベイのこうしたメールのあちらこちらで見たものが、その懸念を正当化しています」とブランドチェン議員は述べた。