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トランプの大統領の座を守るために全米で起きた訴訟に関して知っておくべきこと

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<引用元:ヘリテージ財団 2020.11.7

(選挙法改革イニシアチブ、シニア・リーガルフェロー:ハンス・フォン・スパコフスキーとミース・センター、リーガルフェロー:ザック・スミスによる解説)

2020年大統領選挙日は普通では済まないと誰もが知っていた。それでも、1月20日に誰が米国大統領になるかまだ分からないというのは、注目すべきことのように思える。

そして、ドナルド・トランプ大統領がさらに4年務めるのか、新たに就任するジョー・バイデン大統領となるのか、しばらくの間分からないかもしれない。

報道機関が接戦となった大統領戦の勝者を宣言したとしても、それは公式結果ではない。州が選挙の紛争を解決し、結果を認定するのに12月8日まで時間がある。それから12月14日の全州の選挙人会議で、大統領のための選挙人団投票が行われるのだ。

通常、誰が大統領選挙で勝ったか分かるのにこれほど長い時間が掛かることはないが、そうなれば前代未聞だ。ブッシュ対ゴアのことを思い起こして欲しい。テキサス州知事のジョージ・W・ブッシュとアル・ゴア元副大統領の間の選挙戦は、12月まで決定しなかったが、その時点で最高裁が介入して、フロリダで州裁判所と選挙管理人の犯したミスのための投票再集計の継続を終了させた。

再びそうなることは誰も望んでいないが、選挙関係の訴訟はすでに目まいがするようなペースで進行しており、非常に激しい争いに姿を変えた選挙に決着をつける上で中心的な役割を果たす可能性がある。

主要な州での法廷闘争を以下で考察する。

ペンシルベニア州

ペンシルベニアでの訴訟は、選挙のかなり前から始まっていた。完全に意見の割れた米国最高裁判所は4対4で暗礁に乗り上げ、11月6日金曜日までに受領した不在者投票を集計することを義務付けるペンシルベニア州最高裁の判決が残された。

またペンシルベニア州最高裁は、選挙後に郵送されたという証拠を提示できる場合を除き、遅れて受け取った投票を拒否できない―そして有権者の署名の不一致を理由に投票を拒否できないと判決を下していた。それが多くの法的管轄区域で使用された投票の整合性を保つ基本的手順だ。

米国最高裁は、選挙前の紛争に関する判決を求めるその後の要求も拒否したが、今、選挙後の紛争に関して判決を下すという気の進まない立場に身を置くことになったかもしれない―それが事実上、明暗を分ける可能性がある。おそらくこうした事実を認識して、トランプ大統領の陣営は4日、裁判に介入するための申し立てを申請した。

それでも、それだけがペンシルベニアでの係争中の訴訟ではない。ややこしい話だが辛抱して欲しい。

同じく4日、トランプ陣営は、フィラデルフィアで監視員が票の集計を実際に監視できるほど十分近くまで接近できるよう求める訴訟を起こした。ペンシルベニア州地方裁判所は要求を棄却したが、翌日、ペンシルベニア控訴裁判所が判決を覆した

控訴裁判所は、「即時に発効とする・・・全ての候補者、監視員、あるいは候補者の代理人は、徹底的な調査の過程に同席することを許可され・・・6フィート以内で徹底的な調査の過程の全ての側面を監視することが許可される。その際にはマスクの着用とソーシャル・ディスタンシングの維持を含め、全てのCOVID-19対策手順を守ることとする」と述べた。

フィラデルフィア選挙管理委員会は、同日(5日)、ペンシルベニア最高裁に緊急上訴を提出し、控訴裁判所の判決撤回を求めた。上訴はまだ審理中だ。だが他らなぬこの物語がそれで終わったわけではない。

ペンシルベニア中間控訴裁判所が命令を出した後、トランプ陣営はフィラデルフィアの連邦地方裁判所で訴訟を起こし、選挙管理委員会は「それでもなおトランプ大統領と共和党の代理人や投票監視員の監視なしに、投票の集計を継続している」と主張した。

フィラデルフィアが裁判所命令に従うことを拒否しているとすれば、明らかにこの問題は解決されるべきものだ。

またトランプ陣営と共和党全国委員会は訴訟を起こし、不在者投票者・郵便投票者が欠けている本人確認の証拠を提出するための締め切りを、ペンシルベニア州務長官が11月9日から11月12日に不当に延長したと訴えた。

ペンシルベニア州裁判所の裁判官は、「郡選挙管理委員会は、2020年11月10日、11日、12日に本人確認が受領・確認された投票を、2020年11月9日とそれ以前に本人確認が受領・確認された投票から分離せよ」と命じ、判決を保留した。

また共和党の候補者と職員は、投票に不備のある有権者に通知して「不備」を矯正するチャンスを与える―州法では認められていない―というモントゴメリー郡当局の判断に、異議を申し立てる訴訟を起こした。

パブリック・インタレスト・リーガル・ファウンデーションのように、他の外部団体も訴訟を起こした。同団体は、ペンシルベニア州務部に対して、具体的には正確な有権者名簿の維持を怠り、死亡者、州外移動者、投票資格のない者を除外できなかったとして訴えを起こした。

ジョージア州とミシガン州

トランプ大統領の陣営は5日、ジョージア州とミシガン州の両方で法的な異議申し立てに敗北した。

ジョージアでは、共和党監視員が、チャタム郡(サバンナ)選挙管理委員が期限に遅れた投票を期限内の投票と混合しているのに気付いたと述べた後、トランプ陣営は訴訟を起こした。ジョージアでの不在者投票は、選挙の日の終わりまでに受領されなければならない。紛争の両当事者から証言を聞いた後、ジョージア州裁判所の裁判官は訴えを棄却した。

ミシガンでは、ペンシルベニアのように、トランプ陣営は票の集計過程に「意味がある程度に参加して監視する」許可を求め州務長官に対して訴訟を起こした。

ところが、おもに地元の職員が行った票の集計はすでに完了したため、裁判官は要求を棄却した。彼女は、有意な救済の余地は残されていないと見解を述べた。

ジョージアでは他の主張も申し立てられたが却下された。説明がつかないことは、認定された選挙監視員が投票と票の集計の過程のあらゆる側面を監視できることを義務付けた州法に、なぜ選挙管理人が従うことを拒否したか、ということだ。

フィラデルフィアと全く同じように、疑問を抱かずにはいられない―何を隠そうとしているのだろうか?

ネバダ州

トランプ陣営は、多くの投票資格のない者―故人、非居住者―が投票しているというネバダでの訴訟もちらつかせたが、訴訟は起こしていない。ネバダの有権者名簿の重大な問題には十分な証拠書類がある。パブリック・インタレスト・リーガル・ファウンデーションが裏付けたのもその1つであり、カジノや質屋といった営利企業、そして空き地に不法に登録された有権者を示す動画が最近発表された。

アリゾナ州

アリゾナで、パブリック・インタレスト・リーガル・ファウンデーションは、選挙管理人による間違いのために投票ができないと主張する有権者を代表して、マリコパ郡に対しても訴訟を起こした。彼らは、光学読み取り用の投票で使用されるコンピューター・スキャナーが処理できないのに、投票用にシャーピー(油性マーカー)を与えられたと訴えている

これからどうなるのか?

明らかに、今回の選挙は重大な訴訟を生んだ。郵便投票と、州立法機関の許可なく選挙を目前にして選挙手順を変更することに関して、我々が発した警告を選挙管理人が聞き入れていたなら、多くの事は回避できたのではないかと思わずにいられない。

また、選挙管理人が、候補者と政党に手続きに対する完全なアクセスを保証する州の法律に従っていたなら、こうした問題の一部を避けられたかもしれない。それができないと、選挙の完全性に対する国民の信頼を維持するのに不可欠な透明性は損なわれる。

2つのことを肝に銘じるべきだ。

第1に、選挙を損なう不正、詐欺などの問題の証拠を集めることは、極めて困難で費用が掛かる。2004年にインディアナ州裁判所が不正選挙事件で指摘したように、「選挙戦を支配する時間的制約は、主として選挙管理人の重要な利益と必要性を満たし、最終的な公益を満たすよう意図されており、不正が広がり多種多様となった選挙では全く機能しない」。

第2に、裁判所は通常、結果の正当性に関して疑問を呈する問題の可能性を示す実質的な証拠があっても、選挙の結果を覆すことをとても渋る。従って、トランプ陣営の主張の理非がどうであれ、法廷では苦戦を強いられる。

この時点で明確なことがある。つまり、合法的に投票された票は重要であり、集計されるべきだ。合法的に投票されなかった票はそうではない。

こうした訴訟が、州議会が選挙のずっと前に成立させた明確な選挙ルールがあれば、遅れや選挙後の問題を避けられるということを思い起こすきっかけとなることを願いたい。

言い換えれば、1736年にベンジャミン・フランクリンが懸命に助言したように、「1オンスの予防は1ポンドの治療に値する」。

(この論文は最初、2020年11月6日にFOXニュースに掲載された)

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