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中国の革新に向けた活動における中国人留学生と研究者(報告書)

<引用元:米中経済安全保障調査委員会 2020/10/7 >米中経済安全保障調査委員会による報告書、「Overseas Chinese Students and Scholars in China’s Drive for Innovation」のエグゼクティブ・サマリーのみを抜粋

著者:アナスタシア・ロイド・ダミヤノヴィッチ(Anastasya Lloyd-Damnjanovic)、アレクサンダー・ボウ(Alexander Bowe)

エグゼクティブ・サマリー

  • 中国の指導者は長い間、科学技術を中国の総合的な国力へのカギと見なし、米国のような先進国から合法・違法な手段で獲得しようとしてきた。1990年代以降、中国政府は、中国人留学生と研究者が海外で獲得した科学技術のために、彼らを引き入れて利用するための体制、プログラム、またインセンティブの広大なエコシステムを作り上げてきた。
  • このエコシステムは、米国や他の国の大学にいる前途有望な中国人留学生と研究者のスポンサーとなり、長期的に彼らが中国に帰国するよう奨励し、多国籍企業を利用して科学技術のノウハウを外国に滞在する人々から中国本土に向かわせている。こうしたエコシステムの目的は、北京が米国との全国的な競争に勝利するために必要とする技術と才能を供給するために、米国の大学の資源を利用することだ。
  • 北京の科学技術移転エコシステム―海外留学のための奨学金、才能ある人材の採用計画、起業家パークを含め―に関連する多くのプログラムは、中国人民解放軍の能力を向上させ中国共産党の目標を進める特定の技術とノウハウを収集することによって、中国の軍民融合戦略に貢献している。
  • 米国にいる中国人留学生と研究者の全人口は、2006年から2007年までの学年度の約6万8千人から、2020年1月の約37万人にまで劇的に増加した。傾向は、中国の近代化政策によって推進され、米国の政策決定と、グレート・リセッション後、財源を多様化させる上での大学の利益によって強化された。こうした学生と研究者のうち約13万人は、科学、技術、工学、数学(STEM)分野での大学院の学位を得ようとしている。中国人留学生と研究者は、米国の海外留学生のおよそ3分の1を占めており、学術界と米国経済に多大な貢献をしてきた。米国に来ている中国人留学生と研究者の大部分は、正当な学術活動に従事しており、世界での米国の影響力を補強する文化交流の一環となっている。しかし、不確定な規模の少数は、中国の技術移転組織に参加し、米国の国家安全保障上の利益とは正反対の制度を支えている。
  • 技術移転リスクとして警告されたビザ申請の5パーセント未満が、最終的に拒否されている。不正な技術移転の審査に関わる米国機関は、アナリスト不足と技術移転リスクを評価する分析的レビューの大量に残ったバックログに苦労している。その上、機密技術の移転の可能性に関する機関内部の懸念の存在は、必ずしも申請の拒否の法的根拠とはならない。
  • 米国の法律は、世界的でますます統合された中国の技術獲得構造の性質や、科学技術知識の正当な移転の優先に向けた転換の説明責任を負わない。中国政府は、「基礎研究」とみなされる科学的知識、技術的プロセス、そして専門知識を、民間・軍事技術への応用の可能性を理由に、積極的に獲得しようとしている。こうした知識の合法的移転を認める米国の法律は、慎重さを要求される研究において米中両国の学術環境がますます緊密に関与していることを考慮しない、時代遅れとなった可能性のある前提に基礎を置いている。
  • 中国政府の科学技術獲得と搾取エコシステムの範囲と貪欲さは、米国にとって懸念すべき意味合いを持つ。米国で教育を受けた中国の学生と研究者が中国に帰国して、海外で開発した研究を商品化する時、彼らを雇用した米国企業は先行者の機会を失い、資金援助した米国機関―米国の納税者も含めて―は、投資のリターンを奪われる。さらに困ったことに、北京は「軍民融合」の戦略を布告し、科学技術専門知識を持つ者は国の活性化という目的を果たすべきだと指示しているので、国に関連する機関は中国の軍事能力を高め、中国共産党の利益を促進するためにこうした専門知識を吸収して利用する恐れがある。
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