<引用元:デイリー・シグナル 2020.6.25>
「ブラック・ライブズ・マター」は最近運動として、あるいは少なくともスローガンとして、人種的平等と警察の蛮行に対する反対を支持して幅広い支持を集めた。
ピュー研究所の世論調査によると、米国人の3分の2が、非常にまたはある程度ブラック・ライブズ・マター運動を支持するとしている。
ところが、運動の背後で少なくとも1人の自称「熟練のマルクス主義者」が組織を創設したし、その組織は核家族の解体も求めている―多くの支持者の目標から逸脱していると思われる内容だ。
「この中核的な幹部たちは、純粋な怒りと純粋な正義に寄生している」と調査シンクタンクのキャピタル・リサーチ・センター所長、スコット・ウォルターは、本紙との電話インタビューで語った。
「ジョージ・フロイドの死が不当だと考えない者を私は地球上で知らない。だからそれは法律に反していた。だから(関与した4人のミネアポリスの警察官は)起訴されている。抗議している人たちのほとんどは現在の怒りに駆られている。問題はこういう幹部たちがいるということだ」とウォルターは語った。
ウォルターは主として、グループの主要な資金提供者であり、サウザンド・カレンツ(Thousand Currents)の役員でもあるブラック・ライブズ・マターの3人の創設者に言及した。
以下はブラック・ライブズ・マターの創設者と背後の組織について知るべき4つの点だ。
1.BLM指導者は「熟練のマルクス主義者」か?
ブラック・ライブズ・マター運動は、2013年にフロリダ州サンフォードでトレイボン・マーティン(17)が銃で殺されてから始まり、2014年にミズーリ州ファーガソンでマイケル・ブラウン(18)を警官が射殺してから勢いを増した。
グループの共同創設者はパトリッセ・カーン・カラーズ、オーパル・トメティ、そしてアリシア・ガーザで、全員が黒人女性だ。
「まず第一に、我々には実際思想的な骨組みがあると思います。私とアリシアは特に熟練の組織者です。我々は熟練のマルクス主義者なのです」とカーン・カラーズはリアルニュースネットワークとの2015年のインタビューで語った。
カーン・カラーズはこう続けた。
「我々はまあ言ってみれば思想的な理論に精通しています。そして我々が本当にやろうとしたのは、非常に数多くの黒人に役立つような運動を作り上げることだと思います。我々は政治的な骨組みを生み出そうとしてきたのだと思います。我々が黒人社会の中で最も脆弱だと考える人たちを中心とするものであり、本当に我々全員の命のために戦うためのものです」
カーン・カラーズは、同団体のウェブサイトによると、ブラック・ライブズ・マター・グローバル・ネットワーク財団の戦略アドバイザーを務めており、ロスアンゼルス出身のアーティスト兼組織者である。
カーン・カラーズ(36)は、ディグニティ・アンド・パワー・ナウ(Dignity and Power Now)の創設者でもある。収監された人とその家族を擁護する団体だ。フルブライト奨学生である彼女は、ニューヨーク・タイムズのベストセラーとなった「When They Call You a Terrorist」の著者である。
ガーザはカリフォルニア州オークランドの組織者で、国内労働者の擁護団体である「National Domestic Workers Alliance」の特別プロジェクト責任者でもある。
39歳のガーザは、ルート誌の2016年版アフリカ系米国人の成功者100人の中に選ばれたインフルエンサーで、2016年グラマー誌ウーマンオブザイヤーと2016年マリ・クレール誌ニューガード賞の受賞者だ。BET(Black Entertainment Television)の2016年ブラックガールズロックアワードではコミュニティ・チェンジ・エージェントとして認定された。
ブラック・ライブズ・マターの創設者のうち2人は西海岸にいるが、トメティはニューヨークを拠点としている。同団体のウェブサイトには、「ナイジェリア系米国人著者、戦略家、コミュニティ組織者」であり、「国境を越えたフェミニスト」であると説明されている。
35歳のトメティは、運動の初期にオンライン基盤とソーシャルメディア戦略を作り上げた。
同ウェブサイトによると、彼女は「Black Alliance for Just Immigration」の責任者でもあり、ワシントンの国立アフリカ系米国人歴史文化博物館で特集されている。
2.公式の組織はどこか?
ブラック・ライブズ・マターは複数存在するようだが、最も有名な創設者に関連する主要な団体で最大規模の寄付金を集めているのは、ブラック・ライブズ・マター・グローバル財団だ。
同団体のウェブサイトによると、組織は約40の支部から成る全国的なネットワークとなっている。
ブラック・ライブズ・マター・グローバル財団から、本紙の質問への直接の回答はなかった。2日間の調査後、広報のジョーダン・ジャクソンがメールでメディアの要求が「殺到」していると答えた。
「誰かがこの要求を満たすことができるようになれば、できるだけ早くご返事します」とジャクソンは述べた。
2016年に501(c)(3)非営利団体である左傾慈善財団のサウザンド・カレントが、ブラック・ライブズ・マター・グローバル財団の資金提供者となった。
その結果、財団は独自の免税資格を持たないまま、国税庁に990フォームという書類を提出する必要のないサウザンド・カレントのプロジェクトの1つとなっている。
非営利団体の監視団体であるキャピタル・リサーチ・センターによると、サウザンド・カレントは、2019年にBLMグローバル・ネットワーク財団に割り当てた寄付金として335万ドルを報告した。
5月25日にミネアポリスで、警察の逮捕中手錠をされたままの黒人男性フロイドが死亡してから寄付の約束は急増した。そうした寄贈者には大企業も含まれる。
「サウザンド・カレントは2016年以来BLMの資金面のスポンサーとなっており、財務、会計、助成金管理、保険、人事、法令順守を含めて事務管理の支援も行っています。BLMに対する寄付はBLMの活動支援のための寄付に限定されています」とサウザンド・カレントは本紙に対してメールで答えた。
BLMグローバル・ネットワーク財団に対する他の質問は保留にされた。
サウザンド・カレントは2017年度と2018年度の納税申告によると、カリフォルニア州サンタクラリタに拠点を置くブラック・ライブズ・マター財団に対して、合計90,130ドルの助成金を与えたと報じられた。
バズフィードによると、この2つ目の団体はブラック・ライブズ・マター・グローバル・ネットワーク財団とは独立した個人事業だ。フロイドの死後、サンタクラリタの財団は430万ドルの寄付を集めたとバズフィードは報じた。
さらに複雑なことに、ムーブメント・フォー・ブラック・ライブズという別の団体はAlliance for Global Justiceの財政支援を受けている。
キャピタル・リサーチ・センターによると、W.K.ケロッグ財団は地域のBLMグローバル・ネットワーク財団支部の組織支援のために、サウザンド・カレントを通して3年で90万ドルの助成金を与えた。
最近ではいくつかの大企業が、ブラック・ライブズ・マターに寄付すると発表した。
アマゾンはBLMグローバル・ネットワーク財団を含めた12の団体に1,000万ドルを寄付すると発表し、マイクロソフトは25万ドルの寄付を約束した。AirbnbはNAACPとBLMグローバル・ネットワーク財団に合計50万ドルを寄付すると発表した。
ジョージ・ソロスの支援するオープンソサイエティ財団は、報道によるとブラック・ライブズ・マター運動の関連団体に約3,300万ドルの貢献をしたという。しかし、キャピタル・リサーチ・センターによると、その資金がBLMグローバル・ネットワーク財団に渡ったのかは不明だ。
3.組織は何を求めているのか?
ブラック・ライブズ・マター・グローバル・ネットワーク財団は、そのどちらかといえば主流派から外れた見方を、多くは幅広い言葉で表現しながら隠さない。
「我々は、母親、両親、子供たちが安心できるレベルまで、互いと特に子供たちを共同で世話する拡張された家族および『村』として互いを支えることで、西洋で規定された核家族構造の前提条件を破壊する」と同団体はウェブサイトで述べている。
ウェブサイトでは「同志」という言葉を何度か使い、ある例ではこう述べてている。「我々は共感を実践する。我々は同志に背景について知り、通じようとする意思を持たせる」
同団体は「我々は黒人という立場に悪びれることはない」としながら、アフリカ系米国人運動の中には伝統的になかったものに重点を置いている―性的指向と性自認だ。
「我々はトランスジェンダーの兄弟姉妹が参加し主導する場を設ける。・・・我々は自己に言及しシスジェンダー特権を破壊して、黒人トランスジェンダー、特にトランスに敵対する暴力によって偏った影響を受け続ける黒人トランスジェンダー女性を向上させるために必要な取り組みを行う」
ブラック・ライブズ・マター・グローバル・ネットワーク財団は、「同性愛者に賛同するネットワーク」だとしている。
「我々が集まる時、異性愛を基準とする考えに固執することや、むしろ(自分がそうでないと公表するのでなければ)世界の全員が異性愛者だという考えから自分自身を解放する意図を持って集まる」としている。
また年齢差別とも戦っており、「我々は年齢による差別から解放された世代間の共同ネットワークを育てる」としている。
4.サウザンド・カレントとは何か?
サウザンド・カレントは、ブラック・ライブズ・マター・グローバル・ネットワーク財団の金銭的な面倒を見ており、自分たちを「人類が、自然と相互に依存し合い、愛情あふれ、公平で公正な社会を作る創造的な勢力として繁栄する世界を思い描く」組織だと説明している。
注目すべきこととして、サウザンド・カレントの理事会の副会長は、ノースウェストとワシントンD.C.のビル爆破に加わり有罪となった重罪犯のスーザン・ローゼンバーグである。
24日のメールで、本紙はサウザンド・カレントにローゼンバークの理事会での立場について質問した。その朝、団体の理事に関するウェブページにはローゼンバーグの短い紹介があった。午後遅くまでには、そのページは利用できなくなり、「申し訳ございません。このページは存在しません」というメッセージが表示された。
ローゼンバーグは、May 19th Communist Organization(5月10日共産主義組織)の略であるM19のメンバーだった。彼女の回顧録「An American Radical」には、16年間の連邦刑務所での生活が詳述されている。
1984年の判決手続きで、ローゼンバーグは支持者に「米国帝国主義の打倒のために戦い続ける」ことを強く訴えた。
「彼らの持つ最大の爆弾が米国首都で爆発し、民主党の奴隷主、ジョン・C・カルフーンの立派な肖像が破壊された。ウェザー・アンダーグラウンドは彼女からすると十分に過激ではなかった。そうした人々の中には最終的に弱腰になって株のブローカーになる者もいた。それは彼女にとっては十分でなく、彼女はずっと過激なままだった」とキャピタル・リサーチ・センターのウォルターはローゼンバーグとM19について述べた。
M19の爆破は、報道によると1984年のロナルド・レーガン再選を阻止するための混乱を引き起こすことが目的だったという。ローゼンバーグは1960年代、ウェザー・アンダーグラウンドのメンバーだった。ビル・クリントン大統領は、2001年1月の任期最終日に彼女の58年の刑期を減刑した。
キャピタル・リサーチ・センターによると、サウザンド・カレントは、他の様々な中道左派の理念を支援する支援組織でもあり、遺伝子組み換え生物の反対に重点を置いてきた。
寄贈者にはマッカーサー基金、NoVo財団、リブラ財団がある。2018年の年間歳入は680万ドルだった。