<ニューヨーク・ポスト 2019.7.24>マイケル・グッドウィン氏による寄稿
ドナルド・トランプには、自分を中傷する人たちを半狂乱にさせて本当に馬鹿なことをやらせるという特別な才能が与えられている。ロバート・モラーに議会証言を強いるという民主党の決断が、その証拠品1号だ。
どじなボブは壮大な規模の大失敗となった。即座に招いた影響の皮切りはこれだ。すなわち弾劾はもはや選択肢ではない。
24日の痛ましい骨折りの前にはわずかな見込みがあったが、その後の見込みはない。
モラーは、耳が遠いようであり、頻繁にまごつき矛盾したことを話すことも何度かあり、それほどひどかった。
彼の報告書に命を吹き込ませるという民主党の幻想は裏目に出た。
彼の陰鬱なパフォーマンスは、彼の450ページの作品が2016年の選挙をひっくり返して、トランプを追い出すためのロードマップの役目を果たす可能性を全く葬り去った。
モラーの態度は総じて憂慮すべきものだったが、有益でもあった。ロシアの干渉、トランプの共謀、そして司法妨害疑惑に対する2年間の複雑な捜査を主導する能力を持つ者の精神的肉体的活力が、彼には感じられなかったのだ。
どちらかというと、74歳の元FBI長官は、彼が招集した狂信者チームが実施した捜査の名目上のリーダーか何かのようだった。
これは偶然の結果ではない。アンディ・マッカーシーがナショナル・レビューで書いたように、またトランプが繰り返し訴えたように、その検察官たちは主として、ヒラリー・クリントンや他の民主党員に献金していたか、そうでなくてもヒラリー支持が明らかになっていた人たちだった。
ひょっとするとモラーの孤立によって、彼の信頼性を損なうこうした明らかな利益相反を、それらが明らかになった時点から改善できなかったことの説明がつくのかもしれない。
奇妙なことに、モラーがピーター・ストラックをクビにしたのはトランプに対する偏向が明るみに出たためだったが、アンドリュー・ワイスマン主席検察官その他が、クリントンの陣営にいたことを示す報道については懸念を持たなかったようだ。
モラーの孤立からは、彼のチームが作り上げた奇妙な基準のことも説明がつく。トランプの推定無罪は、「潔白を証明する」十分な証拠を見つけられなかったという理由でズタズタにされたのだ。何人かの共和党議員は、検察官というものは起訴することもしないこともあるが、疑いを晴らすのが不可能な基準を課したことはない、と指摘した。
こうした欠陥は報告書を損なう多くの内容の一部であり、ほとんどがまるでニューヨーク・タイムズのトランプ嫌いの記者が書いたように思えるという事実もその1つだ。
(略)
他に公聴会から生じた2つの大きな進展がある。
まず、ナンシー・ペロシ下院議長には今、自分の党を議会運営の仕事に戻す責任がある。彼女は弾劾コーカスとその熱狂的リーダーであるジェリー・ナドラー下院議員に、国民の支持を活気づける時間を与えたが、事実は約束通りにならなず何の成果も得られなかった。
ペロシが彼女の支持者の言うように利口で実務能力があるのであれば、公聴会でモラー時代が終わったことを明確にするだろう。一方で、彼女が躊躇して変人たちに幻想を追わせるなら、無謀にも来年を無駄にし、共和党が2020年に下院を取り戻すチャンスが増えるだろう。
もう1つの進展は、ワシントンの焦点は今捜査官に対する2つの捜査に移っているということだ。最初に落とされるのは、カーター・ページに対して取得された監視令状の再検証となるだろう。実施しているのは司法省の監察長官だ。
1番大きな問題は、コミーとその他の者がスティール文書について機密裁判所に何と話したかという点が軸となる。民主党がその代金を支払ったことを明らかにしていたのだろうか?
トランプが決して大統領にならないようにすることが動機だった、とスティールが言ったことを隠したのだろうか?また裁判官は令状を承認する前に疑惑が立証されていないことを知っていたのだろうか?
だが究極的な捜査は、ビル・バー司法長官が着手したものだ。バー長官は、トランプに対するFBIの偏向に呆れ、最初の捜査の発端と範囲を把握したいと述べた。
「外国でのインテリジェンス能力と防諜能力を米国の選挙陣営に向けて使用することは、私にとって前代未聞のことであり、深刻な一線を越えている」とバーは5月にCBSに語った
また長官は、政治的ライバルに対して法執行機関を兵器化することの危険性について警告し、「民主的に選出された大統領に抵抗し、あらゆるものを投げつけるという考え」は我が国にとっての本当の脅威だと述べた。
バーの報告の締め切りは分かっていないが、私の予測では彼は比較的速い仕事をして、特別検察官よりも確実に速くなるだろう。またモラーがスポットライト浴びる日が失敗に終わったので、バーの調査結果は本物の爆弾となる可能性がある。