<引用元:ポリティコ 2018.7.16>米上院議員ランド・ポール著
米国の敵は少なくすべき。緊張緩和のどこが悪いのか?
ドナルド・トランプ大統領は、ヨーロッパのNATO加盟国との会議を終えて数日後の今日、ロシアのウラジミール・プーチン大統領と会談する。どちらの会談も重要であるが、政治家と国内で報道する人々の間で混乱を引き起こしている。
外交政策は難しい。何が正しく何が間違っているかが不明確な事が多く、それを集団競技として扱う人々は安全と政治に害を及ぼす。
国際問題を政治化するのは危険なゲームだが、だからと言ってワシントンでは策を弄する事を止めることのない人々が余りにも多く、重要な事を忘れてしまっているようだ。つまり米国を安全に守る上では、強くたゆまない外交によって戦争を回避するのが重要だという事だ。彼らはそのための1つの方法として、世界の舞台における敵とは会うことも公然と話をすることもないのだと主張する。
私は反対だ。対話は何億もの生命が危機に瀕している場合特に重要である。米国と核武装したロシアの間の関係はそれに当てはまるものだ。だから私はトランプ氏がNATO同盟国をたしなめたことも、その拡大に疑念を示したことも称賛するし、プーチン氏と話し合いを持つことも称賛する。私たちはそのような自省と対話をもっと行うべきだ。
冷戦の真っ只中を含めたこれまでの歴史で、両国は対話と連絡を続けてきた。キューバミサイル危機の時でさえ外交関係を持ち定期的な連絡を行った。
残念ながらこれまでの2年間、興奮状態を煽る人々がいたためにロシアについて麻痺状態になってしまい、定期的な会談や連絡は止まり、連邦議会を訪れる可能性のあるロシア議員との定期会議に賛同しただけで、「共謀」だと非難を受ける状況である。
米国政府とロシア政府の議員がいずれも、今やいわゆる禁止リストに載っている中、ロシア嫌悪者が造成した険悪な状況によって、文化、教育、また議会のやり取りに空白ができる結果となっている。それぞれの国がお互いにドアを閉ざしたままでは何も成就することはできないだろう。
私たちは、NATOの拡大によってロシアを脅かすのが答えではないと理解しつつ、歴史的な同盟国を維持する手段を見つけ出さなければならない。例えばジョージタウン大学のチャールズ・カプチャン教授は次のように述べている。「ロシア政府の視点からすると、NATOは(ロシアの)強い反対の声を無視して拡大し・・・世界で最も手ごわい軍事同盟をロシア国境に置いている。・・・ロシア政府は脅威を認識し・・・ロシアの外交における対立的な動きと西側との対立の再開を煽ることにつながっている」
当然のことだが、彼らがロシアを怒らせるか怒らせないかという事に基づいて判断する必要はない。だが私たちは行動を起こす前に少なくともその影響を認識すべきだ。大統領のプーチン氏との会談を批判する人の中には、考慮が欠如しすぐに行動に出てしまう人がいるようだ。
ロシアを友人と見なす必要はない。しかし利害――シリア、イスラムのテロリズム、エネルギー――が重なる部分があることは確かだ。それには開かれた対話と関係を持つ事が必要とされる。
トランプ氏がワシントンのエリート政治家に反対してまでも、再びロシア政府との関係を切らずに保とうと前向きであることに私は感謝している。
数週間後には私自身ロシアに赴き、ロシアの指導者と共通の土台について話し合い、さらなる不必要な緊張の拡大を防ごうと試みるつもりだ。貿易、文化交流について、また世界の平和と発展のためにより協力する方法について話し合う。トランプ氏の訪問と私の訪問についてトランプ氏と意見を交換し、また両国の外交官と協力して外遊を実りあるものにし、より良い関係を持てることを期待している。何億もの生命が掛かっているのだ。