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司法副長官の秘密の覚書公開、ロシア疑惑捜査の正当性の疑念晴れず

ナショナル・レビューのアンドリュー・C・マッカーシー氏は、ロシア疑惑捜査に特別カウンセルが任命された根拠に法的な問題があると指摘してきた。ローゼンスタイン司法副長官が昨年8月に書いた、モラー特別カウンセルの捜査権限に関する覚え書きが先週公開されたが、ほとんどが黒塗りされていることもあり疑問は解決していないと同氏は結論付けている。

一方、共和党のマーク・メドウズ議員は、司法省に請求している資料が2週間の期限を過ぎても提出されないことにいら立ちを隠さず、司法副長官の「弾劾」の可能性にまで言い及んでいる。資料とは、トランプ陣営の元アドバイザーのカーター・ページ氏に対する監視令状、ヒラリー・クリントン氏のメール捜査、マッケイブFBI前副長官の解雇勧告に関するものだ。

以下、ナショナル・レビューのマッカーシー氏による「The Rosenstein Memo」(2018.4.4)から一部を引用翻訳する。


 

司法副長官が特別カウンセルに送った指針が、黒塗りをされた状態で公開された。

8カ月前の2017年8月、ロッド・ローゼンスタイン司法副長官は、ロバート・モラー特別カウンセルに対して、モラー氏が捜査権限を持つ犯罪についての指針を密かに与えていた。指針が出されたのは5月17日にモラー氏が任命されてから約10週間後のことだった。この指針は犯罪捜査の根拠を説明するためのものであり、特別カウンセルの法的権限を限定するものだ。

読者は覚えているだろうが、小欄では司法副長官がそのような指針を与えていないことを批判してきた。むしろ私が強く主張してきたのは次のようなことだ。ローゼンスタイン氏はモラー氏を起用して防諜捜査を実施させている。それは特別カウンセル任命のための十分な根拠とならない。規定では犯罪捜査の根拠が必要とされている。

では・・・私は間違っていたのか?いや、正しかったのだ。

4月3日の朝分かったことは、モラー氏が2日の夜裁判所に提出した資料に基づいたものだ。それは、ローゼンスタイン氏がモラー氏の法的権限を拡大したことが、2017年8月2日付の機密扱いの覚え書きに記述されていたということだ。その覚え書きが出されるちょうど1週間前の7月26日のコラムで、私はローゼンスタイン氏による任命に不備があることを総合的に説明し、「特別カウンセルが捜査の権限を与えられている潜在的犯罪が何であるのかを厳密に指定」すれば、問題を是正できるだろうと提言した。誤解のないように言うと、ローゼンスタイン氏の任命に不備があると批判していたのは私だけだと言っているのではない。もちろん、法令を遵守するようにすべきだという提案を含め、他の人たちが首尾一貫して辛辣に批判してきたとは思わないが。(例えば、「Mend, Don’t End, Mueller’s Investigationを参照)

(中略)

大統領と司法長官との間の緊張が頂点に達したのは、2017年7月19日のことだった。それは、ニューヨーク・タイムズがトランプ氏とのインタビューを報道した時であり、その中でトランプ氏は、セッションズ氏がロシア疑惑捜査の監督者の立場から忌避すると分かっていたら、彼を任命していなかっただろうと述べていた。この爆弾発言をめぐって何日か論評が出されており、私自身の寄稿したコラムもその一つであった。そこで私は、特別カウンセルによる際限のない捜査が行われるのはセッションズ氏のせいではなく、トランプ氏自身の責任であると主張した。

モラー氏の法的権限を明確にすることを提案

ニューヨーク・タイムズによるトランプ氏のインタビューとその余波によって、ローゼンスタイン氏が特別カウンセル任命の正当性を示す犯罪捜査の根拠を明示していないことに、新たな注目が集まった(私にとっては歓迎だが)。前述の7月26日の私のコラムでは、ローゼンスタイン氏による任命が管理規定に適合していない理由を繰り返し説明した後、次のような所見と提案で締めくくっていた。

モラー氏は、その捜査権限が制限される犯罪を指定されないまま、証拠漁りを行うために招かれただけでなく、防諜捜査は機密扱いにされている。結果としてモラー氏の捜査は、完全に秘密裏に進められている。調査対象に境界がなく、特別カウンセルが何をどういう理由で調査しているか公開されることもない。

大統領はツイッターで司法長官をせっつくのではなく、大統領らしく振舞って、司法省が連邦の規則に従うよう指導することもできるだろう。

セッションズ氏には、忌避したことが、相反となる犯罪捜査に対して欠格であることを制限する規定に準拠しているかどうか、検討するように指示することもできる。

ローゼンスタイン氏には、特別カウンセルの任命が規定に準拠しているかどうか検討するように指示することができる。というのも、規定ではそのような任命は犯罪捜査か司法省が相反するような起訴に限定されるからだ。さらには特別カウンセルが捜査の権限を与えられているのが、どのような潜在的な犯罪であるのかを厳密に指定するよう指示することもできるだろう。

ローゼンスタイン氏が犯罪を指定してからようやく、モラー氏を呼んでその権限の拡大を求めることができる。それも他の犯罪の証拠を合法的に発見したことを示すことができればだ。

このようなことが行われていれば、つまり規定に従っていれば、(そのようなものがあったとして)どのような犯罪を犯したという容疑が大統領にかかかっているか、大統領を始め我々全員に分かるだろう。

現在分かっているのは、8月2日にローゼンスタイン氏が機密扱いの覚え書きを提出し、犯罪捜査の様々な根拠を説明することで、任命書の不備の訂正に取り組んだということだ。

マナフォート氏がモラー氏の起訴取り下げ請求へ

我々が覚え書きについて知るようになった経緯については、考えてみるだけの価値がある。

3週間前、ポール・マナフォート氏は、モラー氏がコロンビア特別区で自らに課したマネーロンダリングについての起訴の取り下げを申請した。取り下げ申請の伏線として、マナフォート氏は1月に民事訴訟を起こしていたのだが、マナフォート氏がロシア政府の支援するウクライナの政党と取引していたことに基づいて、特別カウンセルが自らに課した容疑は、ローゼンスタイン氏の任命書に述べられている権限を越えていると同氏は主張している。任命書は2016年の選挙へのロシアの干渉に焦点を当てていた。

当時私が主張していたように、マナフォート氏の主張は重大なものだ(判事が犯罪事件を扱う前に棄却請求を行うのではなく、別に民事訴訟を起こすという策は適切ではなかったのだが)。とはいっても、ローゼンスタイン氏は、マナフォート氏のウクライナとの関わりから生じた犯罪を捜査するための権限を、モラー氏に追加で与えることで任命書の不備を容易に是正できるだろうと私は述べていた。

ローゼンスタイン氏が8月2日の覚え書きでやったことは、まさしくそれだったということが判明した。

ローゼンスタイン氏は8月2日の覚え書きをなぜ書いたのか?

覚え書きの中で、司法副長官は、最初にモラー氏を任命するとした文書で犯罪捜査について触れなかった理由を、次のように説明している。ローゼンスタイン氏は、「特定の個人に関係する特定の捜査を確認せずに」モラー氏が任命されていることを、一般市民に意識せたかったのだというのだ。

懐疑論者だと言いたければ言って欲しい。ローゼンスタイン氏がそれを意図していたとすれば、任命書を出すのと同時に(つまり5月17日に)モラー氏の権限を規定する機密扱いの覚え書きを出すことができただろう。何と言っても、特別カウンセルの犯罪捜査の権限は、10週間後ではなく、特別カウンセルの任命時に確定されるべきものであるのだ。

ローゼンスタイン氏がモラー氏の権限を拡大したのは、賢明にも、最初そうしなかったことに対する反発に価値があると結論付けたからだと私は考えている。さらに、2017年8月まで、ローゼンスタイン氏はモラー氏がマナフォート氏を(リチャード・ゲイツ氏と共に)起訴するのを見込んで待っていなければならなかった。そうなるまで3カ月弱かかった。ローゼンスタイン氏とモラー氏にとって、ローゼンスタイン氏がより明確な法的根拠を明言しない限り、マナフォート氏の起訴で逆風を受けることになるのが明白であった。

ローゼンスタイン氏の8月2日の覚え書きが機密扱いになっているという事実は、ロシア疑惑捜査が基本的に防諜捜査であるという事実を浮き彫りにしている。そのような捜査は機密扱いとなる。犯罪捜査では慎重に扱うべき情報は厳しく保たれるが、機密扱いとなることはほとんどない。

(中略)

このような意味で、8月2日の覚え書きでモラー氏の権限を拡大したことは、5月17日の任命書にある当初の権限の付与同様に有益なものではない。任命書ではモラー氏に、「ロシア政府とドナルド・トランプの選挙陣営と関係のある個人との間での、いかなるつながりや協力関係」をも捜査する権限を与えていた。ロシアと「つながり」を持つことも、「協力」することも犯罪ではない。念のために行っておくが、メールアカウントのハッキングでロシアに協力することは犯罪となる。だがローゼンスタイン氏は、そのようなことは全く主張していない。よって拡大したとしても、「共謀」が特別カウンセル任命を促すことにつながるような、どのような犯罪をローゼンスタイン氏が疑っているかは依然として分からないのだ。

スティール文書は関わっているのか?

最後に、「ロシア政府が2016年の選挙に干渉しようと試みたことに関して」、マナフォート氏がロシア当局と共謀したという訴えの元は何であるのか?

(略)

すると以下のような疑問が生じる。

(以下略)

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