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司法省の基準を無視したモラー捜査の狙いとは?

ロシア疑惑捜査を率いるロバート・モラー氏の捜査網が、トランプ大統領へと迫る中、ナショナル・レビューのアンドリュー・C・マッカーシー氏が、3月17日付の「Mueller’s Investigation Flouts Justice Department Standards (モラーの捜査は司法省の基準を無視)」という論説で、モラー氏の目論見を解説している。

先日紹介したワシントン・タイムズの記事では、ロシアのトロール工場関連の起訴と、ポール・マナフォート氏のパートナーであるリック・ゲイツ氏に対する起訴が、いずれも「政府に対する詐取の共謀」という稀な罪を適用したものだという話を紹介した。

マッカーシー氏の今回の解説は、元検察官ならではの論理でそれをさらに深く切り込んでいる。その指摘は要約すると次のようなものだ。

ゲイツ氏は司法取引に応じて一部の罪を認めた。しかし、本来なら最高20年の懲役となるマネーロンダリングなどは罪に問わず、より軽微な最高5年の懲役の罪のみが適用されていた。

司法取引では、最も重大かつ容易に立証可能な罪を認めさせるように、司法省では指導されている。その基準をモラー氏はなぜか完全に無視しているというわけだ。また、司法取引は通常、他の犯罪捜査に有利に働くような内容を認めさせるが、その点についても不自然なことがある。

ゲイツ氏が認めた「米国政府に対する共謀」の根拠となる犯罪には、ゲイツ氏自身が直接関わるものは含まれておらず、それらは全てマナフォート氏が関わっているものだった。さらにそれにはマネーロンダリングなどの重罪は含まれていない。つまり、マナフォート氏も事実上、重罪から免除される可能性を得たことになる。

ではなぜそのような異常なことを行っているのか?以下にマッカーシー氏の論説から引用する。(強調は当サイト編集)

モラーはこの拡大解釈を採用しそれに従った。つまり、たとえ議会がそれを犯罪と見なすにはあたらないとしていても、リヴァイアサン(訳注:国家のこと。ここでは政府機関を指すと思われる)がその転移機能を実行する能力を、どのような方法であっても2名以上の人物が妨害しようとして行うことは、おそらく全てが起訴可能な「米国に対する共謀」となり得るということだ。ゆえに、外国の代理人としての登録を怠った2名は、FARA(外国代理人登録法)を犯すことを共謀しただけでなく、司法省が正確な外国代理人登録を維持する業務を害することによって「米国に対して共謀した」ということになる。財務省は国外の米国人が所有する資産を監視しているが、外国銀行口座報告書を提出しなかった2名は、その業務を害することで「米国に対して共謀した」ということになる。

・・・そしてこの論理を拡大して、例えば大統領とその部下がFBI長官を解任したとしたら、あるいは特別カウンセルの解任を検討したとしたらどうか。たとえ憲法がこれを認めており、それを禁じる法律がないとしても、同様に政府の捜査機能を妨げることで「米国に対して共謀を行った」と見なされないだろうか?

同氏は、「米国に対する共謀」という犯罪は連邦法には存在せず、371条で犯罪とされているのは「米国から詐取することを」共謀することであると以前から、またここでも述べている。

また、この元検察官は次のように結んでいる。

ゲイツとマナフォートに対するこれらの訴えは、「ロシアとの共謀」とは何の関係もないものだ。ローゼンスタイン(司法副長官)がモラーを任命したのはその捜査のためだったというのに。この件が司法省の正規の検察官から起訴されていても全くおかしくない。このために特別カウンセルは全く必要なかった。また正規の検察官は、揺るぎない司法省の指針を堅く順守する司法省幹部の監督の下で、このような立件の仕方をすることはないだろう。

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